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2007年7月14日 (土)

比周

5007052603_2画像は秋田の友人からのプレゼントで、山野草展からの1枚です。

さて、「比」と「周」については、先の「比周」解説ページでおわかりいただけたでしょうか?

・「君子は周して比せず、」とは、
りっぱな人は心から仲のよい友とはなるが、徒党・派閥は組まないものだ。

・「小人は比して周せず。」とは、
つまらぬ人間は徒党を組むが、心からのほんとうの友にはならないものだ。

こんなふうに貝塚茂樹博士は解説されていましたよね。

そして【比周】とは、
①親しくする。転じて、仲間を組んで悪いことをする。
②比は、私心で親しむこと。周は、正しい道で交わること。

角川新字源」には、そんな2つの意味がありましたよね。

では、【徒党】とは?
・いっしょに事をする仲間。同類。
・ある事をたくらんで集まった仲間・団体。
・なにかよからぬ事をたくらむために寄り集まった集団・仲間。

検索する辞書によっては、こんなふうに微妙にその意味合いがちがう?と感じました。

また、「たくらむ」とは、「企(たくら)む」と書き、「くわだてる。」、「計画する。」という意味なのですが、一般的には、

謀反をたくらむ、よからぬたくらみ、悪事をくわだてる」などとあまりよくない使われ方をしますよね。

そして、「悪党」という言葉はあっても、「善党」という言葉は聞きませんよね!?

そこで、次に【党】について「角川新字源」で調べてみました。

「人と、音符尚ショウとから成り、もと、西方の種族の名を表わしたが、古くから俗に黨(とう)の略字として用いられている。」とありました。

そして、その【黨】トウとは、
「意符黒と、音符尚ショウタウ(さえぎる意→障ショウ)とから成り、もと、さえぎられてはっきりしない意を表わした。借りて「なかま」の意に用いる。」とありました。

「黒」と「さえぎる」という言葉からはあまり良い印象は受けませんよね?

しかし、【党】には①鮮明でない。はっきりしない。②仲間などのほかに⑪「よい(善)。うつくしい。」という意味もありました。それに、

【党論】(とうろん)という熟語には、「①正しい議論。②その党派の主張する議論。」という2つの意味があることも知りました。

したがって、「党」=「なかま」自体には「悪」とか「たくらむ」とかいう意味はないようです。

しかし、君子は「周して比せず」、つまりりっぱな人は群れないので善党という熟語が存在しない。

かたや、小人は「比して周せず」、すなわちつまらぬ人間はとかく群れたがる。群れるとよからぬことをたくらむ、ということで悪党という言葉ができた!?

そんなふうに考えたのですが如何でしょうか?

そこで今日の本題は、それでも「徒党」を組まなければならないそのわけ。

それは、弱者が生き残るための手段!?
つまり、「赤信号、皆で渡れば恐くない」という理屈。

人は弱い生き物であり1人では何もできないが、集団になるとシナジー(相乗)効果を発揮し、弱者が圧力団体と化すことも夢ではない?

これっ、現実ですよね!?
○○組合とか、□□会、△△法人などといわれる集まりを見ても。

また、強いものが集まっての談合、メディアを賑わす闇カルテルなどからも!

そして、私の記憶にあるのは、業界の弱い体質を改善するためには組合をつくる必要がある、という話と大企業に対抗するためには政治家の力を借りる必要がある、という論理。

そのためには、「数とカネの力が要る!」と主張し続け、終いに倒産に追い込まれたオーナーの言動。

それに、ときの総理との「よしみ」により、その力を借りたものの同業他社の協力が得られず、ひとり貧乏くじを引くきっかけとなった業界の主導者。

このような現状を見ると、「徒党をくむ」、ということも一見簡単そうで、なかなか難しいことなのですね!?

これは、私心、つまり自己の利益のみで親しむ人や正しい道で交わろうとしている人など、その集団を構成する人々の意見・考えや思いを纏める人が必要となる。

そして、その人に求められる資質、それは見識と胆識、つまり正しい知識を自らの知恵に変えて、義利を弁え、所信を実行する力。

そんな人物といわれる主導者が存在しないと一見効果的に見える組合などの集まりも頓挫するものなんですね。

裏を返せば、そんな清濁併せ呑むりっぱな指導者がいれば組織、集団が構成できる。

そして、多くの人々、つまり大衆はその人物の下に集まる。

そこで、「比周」という熟語を知って気づいたこと、それは、
集団、組織には胆識の人、すなわち人物といわれる人の存在が欠かせない。

そして、正しい道で交わろうとしている人の集まりであっても、年月を経るに従いその集団は各人の私心の集まりと化す危険性をはらんでいる!

そんなふうに考えたのですがいかがでしょうか?

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