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2008年1月11日 (金)

「徳風」解説ページ

思い出したくもない話である。
4人、会社を辞めていだくことになった。

論語を知らぬ世代、つまり若い経営者にまつわる話でもあり、
その後始末と後日譚である。

彼は、2:6:2の法則とか、8:2の法則や、俗にいう働き蟻の法則などいう言葉は知識としては有していたかもしれない。しかし、やむにやまれぬ事情があったようである。

そんな話の顛末や、私の「気づきと体験あれこれ」は、例によって今週末にお届けします。

そこで今日は、その頃に一世を風靡した言葉、「リストラ」という名の下に行われた解雇の是非について原理的に説明されている!と、私が信じる論語の章を「顔淵第十二」から抽出した。

その前に、タイトルの「徳風」を「角川新字源」で検索してみた。

【徳風】とくふう:徳が人を感化することを、風が草をなびかすのにたとえたもの。〔論・顔淵〕

ということで、早速、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 朝日文庫からその章の訓読を引用しながら、また、その現代訳と解説については同書からの引用を主に、その他の書籍も参考にしながら要約やら解釈を加えてお届けします。

まずは訓読、すなわち、読み下し文です。

季康子(きこうし)、政(まつりごと)を孔子(こうし)に問(と)うて曰(い)わく、如(も)し無道(むどう)を殺(ころ)して、以(も)って有道(ゆうどう)を就(な)さば、如何(いかん)。孔子(こうし)(こた)えて曰(い)わく、子(し)、政(まつりごと)を為(な)すに、焉(いずく)んぞ、殺(ころ)すを用(もち)いん。子(し)、善(ぜん)を欲(ほっ)して民(たみ)(ぜん)なり。君子(くんし)の徳(とく)は風(かぜ)、小人(しょうじん)の徳は草(くさ)。草(くさ)、之(こ)に風(かぜ)を上(くお)うれば、必(かなら)ず偃(ふ)す。

現代訳は、

季康子が政治の要諦について孔子にたずねた。
「もし、法律に背く無法者を死刑にして、徳行の者を援助・奨励したらいかがでしょうか?」

孔子が答えた。
「あなたは政治をしているのです。すなわち、正しさの原動力となっているのです。なのにどうして、人命を絶つという方法を使えますか。あなたが善を行う気になれば、人民も自然に善になります。為政者の徳は、例えば風であり、被支配者の徳は草です。草は、風を与えれば、きっとなびきます。」

また、同書には次のような解説も付されていた。

・「以就有道」(以って有道を就(な)す)の「就」の字は、「就は成す也」、つまり有道者の生活を援助完成するという古注にしたがう。
「学而第一」の「就有道而正焉」(有道に就(つ)いて正す)、と似た言い方であるが、そこが有道者に接近するという意味であるのとは、やや違った意味として読む。

・「草上之風」(草、之(こ)れに風を上(くお)うれば)の「上」の字は、「尚(しょう)」と同音であり、意味は「加也」と、諸注にいう。

・この条を含めた以上の3条の孔子のこたえは、同趣旨である。後の「子路第十三」に、「其の身正しくば、令せずして行われ、其の身正からざれば、令すと雖も従わず」というのも、また同趣旨である。
みなあまりにも唯心的であり、理想的である如く響く。
しかし、「子、政を為すに、焉んぞ殺すを用いん」、之は永遠の真理である。

また、昭和の碩学、安岡正篤翁は、その講演録、『朝の論語』 明徳出版社の中で、次のように述べておられる。

孔子は、あくまでも政は正であり、政治は正しくなければならぬ。そして政治家はまづ自分自身を正すことが根本で、それによっておのづから人心風俗も正されるということを力説し、徳治主義により、権力主義的・法治主義的政治を排斥したのであります。

孔子は迂遠どころではない。少年の頃から、あらゆる苦労をいたしまして、その上、長じて各地を遊歴し、よく社会民衆の事情にも通じておりましたから、権力主義や法治主義の政治に対しては、結局民衆がその裏をかき、そして恥づるという人間に大切な心をなくしてしまふことを知ってをりました。

いかがですか。
これを失われた10年といわれる日本の政治のみならず、企業や組織、家庭に置き換えて熟読いただくと現状の問題点やら原因がよく理解できそうですね。

では、ここで早速質問です。
あなたは、この10年間で何を失い、何を得ましたか?

<「徳風」解説ページ 附録

・「あなたは政治をしているのです。すなわち、正しさの原動力となっているのです。」と筆者が訳したのは、「前前条の言葉によれば、正しさの原動力になっている」という吉川博士の解説を元に「政者正也」(政(せい)なる者は正(せい)なり)という言葉のある2章前の訳を付け足しました。

・「角川新字源」で【徳風】という熟語をを検索して、「風が草をなびかす」云々という意味から、「草上之風(そうじょうのかぜ)」という四字熟語を想起して、草に関する熟語を「角川新字源」で検索してみたが、遭遇できなかった。

そこで、『易』 本田 斉(著) 中国古典選2 朝日新聞社の中から、「易」の卦「巽為風(そんいふう)」の象伝を見てみた。
そこには次のように書かれていた。

象曰。随風巽。君子以申命行事。
象に曰く、随風(ずいふう)あるは巽(そん)なり。君子以て命を申(かさ)ね事を行う。

随とは前のに後のが継続する意味。風に風が続くのが巽である。風はすみずみまで行き届く点で命令に似ている。君子は、風に風が継いでいるこの卦に象って、命令を何度も反復し、民に徹底させてから、事を実行に移す。為政者の徳を風に、民を草に譬える発想は、『論語』顔淵篇にも見える。

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コメント

リストラで一言
今では安ければ良いとの風潮。原価主義を間違っていると思います。
人を育て善い物を適正な価格で創る。
ことわざで「安物買いの銭失い」というが、物には適正な価格があると思います。
価格には安全、安心も含まれています。
地域の商店も真心で安心、安全、コミニケーションの場で有れば繁盛するのではないでしょうか。

繁ちゃん、コメントありがとう。

勝てば官軍、負ければ賊軍ですね。
世の中は、必ずしも正しいもののみが「いつも勝つ!」
とは限りませんよねー。残念ながら。

また、「安い物には勝てん」というのも現実ですね。
粗悪品は論外ですが。

何が正で、どんな政治や、どんな経営、どんな育て方をするか?
それが求められているのですね。

正義は「最後には必ず勝つ!」という言葉を信じて、
自らに恥じない生き方をする必要があるのですね。

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