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2008年1月31日 (木)

「聞一以知十」解説ページ

何回も同じ事をワシに言わすなやっ!
一回教えたら同じ事を何度も訊くなっ!
一を聞いたら十を知らんかいっ!

一を聞いて十を知るという言葉があるやろ。
ワシが言った事をよく聴いて、自分で考えんかい。

一を聞いて十を知るという言葉があるけど、お前は一を聞いてもその半分も理解でけん奴っちゃなー。

社会に出たら、一から十までは誰も教えてくれへん。
いま、ここ、学校に居るときに、一を聞いたら十を知る習慣を身に付けんと社会に出て泣くことになるぞ!

などと、幼い頃から新人時代までは、事あるごとに耳にしたのがタイトルの「一を聞いて以って十を知る」という言葉であった。

しかし、その出典にまで言及する者は誰一人としていなかった。

したがって、その言葉を聞くと意味は理解できても、出典が「論語」であるとは知らなかったし、最近はあまり耳にする機会も少なくなった。

その懐かしい言葉を思い出す出来事が、つい最近あった。

そこで、その記事を書くにあたり、何というタイトルを付したらよいか?と考えて「角川新字源」を検索してみた。

過去の経験からは、漢文を直読した熟語が多いので、論語の当該条から漢文の文言を順に区切って、例えば「聞一」とか、「知十」などと、手当たり次第に検索してみた。

しかし、該当する言葉には遭遇できなかった。
それで匙を投げた。

諦めかけていたときに、少し時間をおくことに気づいた。
なぜか時間をおくと視点が変わるのである。

暫く放置した。
その後に、
「一を聞いて以って十を知る」というではないか、ならば、「一部」の【一】で始まる熟語を検索してみよう、と考えた。

「あった!」最後尾から2番目に、

【聞一以知十】いつをきいてもってじゅうををしる:一つの事を聞いて十の事を知る。才知のすぐれていること。〔論・公冶長〕

と「角川新字源」には記載されていた。

そこで、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 朝日文庫の「公冶長第五」を検索してみた。

同書は、漢文と訓読、そしてその意味と解説という構成になっているのであるが、「一を聞いて以って十を知る」という言葉が、この条からの出典であるとはどこにも記載されていなかった。

今日は、その条を漢文の部分は割愛して、訓読、すなわち読下し文とその意味、つまり現代訳と解説を同書からの引用を主に、要約・削除・加筆・箇条書き(・形式)等に加工してお届けします

まずは、読下し文です。

(し)、子貢(しこう)に謂(い)いて曰(い)わく、女(なんじ)と回(かい)と、孰(い)ずれか愈(まさ)れる。対(こた)えて曰(い)わく、賜(し)や何(な)んぞ敢(あ)えて回(かい)を望(のぞ)まん。回(かい)や一(いち)(き)いて以(も)って十(じゅう)を知(し)る。賜(し)や一(いち)を聞(き)いて以(も)って二(に)を知(し)る。子(し)(い)わく、如(し)かざる也(なり)。吾(わ)れと女(なんじ)と如(し)かざる也(なり)

続いて要約した現代訳です。

孔子が子貢にむかっていった。お前と顔回(がんかい)とは、どちらがすぐれていると思うか。
子貢は答えた。私は、とても顔回の足下にも及びません。顔回は一つのことを聞いただけで、その周囲にある十のことを察知します。しかし、私は一つのことがらから、せいぜい二つのことがらを知る程度です。
孔子は言った。その通り!お前は彼に及ばない。いや、この私もお前とともに、顔回には及ばない。

次は吉川博士の解説です。

・顔回(がんかい)、字(あざな)は子淵(しえん)こそは、孔子の最も大事な弟子であった。

・子貢(しこう)、端木賜(たんぼくし)は「弟子列伝」によれば、顔回より1つだけ年下の、いわば同年輩の弟子であり、競争相手でもあったであろう。

・賜(し)とは子貢の名であり、望とは遠方からのぞみ見ることである。

・「吾与女弗如也(われとなんじとしかざるなり)」という最後の一句は、「蓋(けだ)し以って子貢を慰(なぐさ)めんと欲した」のであると、漢(かん)の包咸(ほうかん)は説く。

・朱子(しゅし)の新注では、「吾れ女(なんじ)に如(し)かざるを与(ゆる)さん」と読み、与(よ)は許(きょ)であって、彼に及ばぬというお前の意見におれも賛成する、と読む説は、包咸の説の方がまさるであろう。

さて、私は一を聴いて幾らを知ったのか?
その気づきと体験のあれこれは、また週末にお届けします。

そこで質問です。
あなたは、一つのことを聞いて、その周りにあるいくつのことに考えが及びますか?

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コメント

一度言ったらキチンと直せ。
癖、習慣を直そうと思えば耳にたこが出来るまで言ってやっと直る。

一回教えたら同じ事を何度も訊くなっ!
基本、本質が解らなければ何度訊いても同じこと、時代も違うので確り説明し教えるのが人を育てる
最適な方策と思います。

繁ちゃん、コメントありがとうー。

なるほどー、「耳にたこ」ができるぐらいねー。
私も1年半前ぐらい前まではそのように信じていましたよ。
「わかるように説明せんかい!」ともね。

but、今はコーチング・スキルの方が効果的なことに気づきました。

具体的には、聴く・質問する・承認する・リクエストするなどのスキルとティーチングを併用します。

人は、自分で気づいて、その気にならないと行動の変容が起こりませんから。

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