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2008年2月 7日 (木)

「聞道」解説ページ

 わしゃー、これさえ完成さしゃあ、いつ死んでもええ。
 わしは、お前のその言葉を聞いて安心した、もう、いつ死んでもいい。

 聞道(きくならく)、日本人の道徳は「恥の道徳」であるという、そして、それを代表する言葉の1つが、
「武士道というは死ぬことと見つけたり」
という山本常朝の「葉隠」の一説である。

 これは、単に「死」を讃美しているだけの言葉ではなく、生き方、すなわち、自分の内側、――内面――を磨くことの大切さを教えている。

 これらは、私が成長する過程でよく耳した言葉であった。、

 しかし、それらの言葉は「葉隠」がもとであったか、はたまた、「論語」の章がもとで、そのような心情が吐露されたものであったのかまでは知る由もなかった。

 その気づきと体験あれこれは、また週末にお届けするとして、今日は、「聞道」という熟語の意味と、その語句が挿入されている論語の章などを紹介します。

 まず、【聞道】を「角川新字源」で検索すると、次のように記載されていた。

一. ぶんどう/みちをきく:人の行なうべき道を聞き知る。〔論・里仁〕「朝聞道、夕死可矣」

二. きくならく:聞くところによると。人の言うのを聞くと。道は、言うの意。〔孟浩然・詩〕「聞道梅花早」

 どうやら2種類の意味があり、その使い分けが必要のようだ。

 では、早速一方のほう、つまり、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 朝日文庫 「里仁第四」からの引用を主に、それに、加筆、割愛、要約などの加工を施し、漢文、訓読とその現代訳、および解説をお届けします。

 まずは、漢文です。

子曰、朝聞道、夕死可矣

 続いて読下し文です。

(し)(い)わく、朝(あした)に道(みち)を聞(き)かば、夕(ゆうべ)に死(し)すとも可(か)なり。

 その現代訳です。

その日の朝、正しい道を聞き得たならば、その日の晩に死んでもよろしい。

 次に同書から吉川博士の解説を意訳・要約すると

・これは、宋の朱子の新注に従って読んだのであるが、それがむしろ普通の読み方であり、またそれでよろしいであろう。

・古注では、道とは、世に道あること、つまり道徳的な世界の出現を意味するとし、そうした世界の出現を聞いたが最後、自分はすぐ死んでもいいとさえ思うが、そうしたよい便りを聞かずに、自分は死ぬであろう、という孔子の言葉として読むが、何となくそぐわない。

・陶淵明が、「貧士を詠ず」と題する詩に、「朝に仁義と与(とも)に生くれば、夕に死すとも復(ま)た何をか求めん」とうたっているのは、古注の意味でこの句をふまえているようである。

 大要は以上の通りではあったが、ここで気になったのが、『朝の論語』 安岡正篤(述) 明徳出版社の開巻直後に書かれている「新序」の言葉であった。

朝に道を聞く、夕に死する可なりとは、古来最もよく世に知られてをる名言(論語・里仁)であるが、思ひきったことを言ったものだと青年の頃は軽く感受しておった。年をとるといふものは又有り難いもので、そのうちに斯の語が折にふれて身に沁むことを覚え、或時、「古人は朝聞夕改を貴ぶ」という話(晋書・周処伝)を発見して、なるほど一字の妙に感心した。<後略>

 この一説を見て、私は自分で書いた冒頭の言葉が理解できた。

 これをオートクラインというか、パラクラインと称するか――自分で書いていて自分で気づいたのであるから、オートクラインではあるが、人の言葉、つまり安岡正篤翁の言葉で気づいたという点ではパラクラインである――はともかくとして、正(まさ)しく、「年をとった」故に冒頭の言葉を想起したのだ。

 そして、「朝聞夕改」という四字熟語が書かれていたので「角川新字源」で検索してみた。

【朝聞夕改】ちょうぶんせきかい:朝に自分のあやまちを聞けば、夕べに改める。〔晋・周処伝〕

と、あった。

 さらに、そのすぐ後には次の熟語が記載されていた。

【朝聞夕死】ちょうぶんせきし:朝に人としての道を聞いたら、その夕方に死んでもくいはない。〔論・里仁〕「子曰、朝聞道夕死可矣」

 これには改めて、視野の狭さというか、1つの熟語、つまり「聞道」という熟語に遭遇した安心感で、それ以上の検索を中断という安易な選択をしたことの反省と、熟語や言葉を知らぬ、つまり、「論語読みの論語知らず」という言葉を再認識した。

 そこで質問です。
いや、まだ1つ残っていましたね。
「聞くならく」という言葉の説明が。

【聞説】きくならく:聞くところでは。→聞道きくならく

というように「角川新字源」には記載されていた。

 では、改めてお聞きします。

 あなたは、課題達成のための1つの選択肢が見つかっただけで安心していませんか、他にもっと効果的な選択肢はありませんか?

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