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2008年4月 4日 (金)

「惑志」解説ページ

Ran0803038  画像は秋田の友人からのプレゼントです。

 お前ぇ、「それはOさんの仕事や」、
「Oさんに、それを見抜くだけの眼力があるか否かは、ワシにはわからん。」

などと、そんな無責任な言い方をしてよくも放置したな!

と、こちらの説明には聴く耳もたぬ!
態度で怒気鋭く罵ったKさんが、数日後に辞を低くしてきた。

 その経緯(いきさつ)はこうである。

 Kさんの部下のOさんのところへクレームが入った。
Oさんが、そのクレームの原因をつくったAさんを責めた。

 その詰問に堪(たま)らず、Aさんは、冒頭のような言葉を、この私がいったという。
それを聞いたOさんが、Kさんにホウ・レン・ソウした。

 で、Kさんの心の中に惑志(わくし)が起り、冒頭の場面となったのである。

 その詳細については、週末にお届けするとして、今日は、『論語』 吉川幸次郎(著)  中国古典選4 朝日文庫 「憲問第十四」から「惑志」という言葉のある章を、同書からの引用を主に、読みやすく、理解しやすい形に加筆や割愛をして、訓読とその現代訳、ならびに吉川博士の解説をお届けします。

 先ずは、訓読(読下し文)です。

公伯寮(こうはくりょう)、子路(しろ)を季孫(きそん)に愬(うった)う。
子服景伯(しふくけいはく)(も)って告(つ)げて曰(いわ)く、夫子(ふうし)(まこと)に惑(まど)える志(こころざし)(あ)り。
公伯寮(こうはくりょう)に於(お)いては、吾(われ)(ちから)(なお)(よ)く諸(これ)を市朝(しちょう)に肆(さら)さん。
(し)(いわ)く、道(みち)の将(まさ)に行(おこな)われんとするや、命(めい)(なり)
(みち)の将(まさ)に廃(すた)れんとするや、命(めい)(なり)
公伯寮(こうはくりょう)(そ)れ命(めい)を如何(いかん)せん。

 その現代訳です。

季孫(きそん)氏の家老である子路(しろ)を、公伯寮(こうはくりょう)は主人の季孫(きそん)に讒言(さんげん)した。
子服景伯(しふくけいはく)が、子路のために心配して孔子に注進して言った。「主人季孫は、公伯寮の讒言によって、気持ちがぐらついています。」
「公伯寮がごときなら、私は彼を殺し、その死体を市場なり政府の前にさらすだけの権力を持っております。」
孔子は言った。「季孫が子路を信用して、道徳政治を行うも天命、天の意志である。」
「公伯寮の讒言が功を奏して、道徳政治が廃れるのも天の意志である。」
「公伯寮ひとりが、天の意志をどうすることもできない。」

 続いて吉川博士の解説です。

・公伯寮(こうはくりょう)は、「史記」の「弟子列伝」に、「字は子周」と見え、しからば、72人の弟子中の1人であるが、この条によれば小人である。

・「固」の字は、ここでは「まことに」と訓ずるがよいであろう。

・この条における孔子は、もっとも運命論者であるように見える。
<中略>
下論における孔子は、上論の孔子よりも、より多く運命論者であるように感ずる。しかしその運命論は、結局において悲観的なものではない。

この条も公伯寮という個人が、歴史の運命に逆らえるものか、というのは、歴史の運命がどの方向に向かっているかを、暗黙に語るごとくである。

・子路を擁護した子服景伯(しふくけいはく)を古注は、「魯の大夫、子服何忌」とし、新注は、「子服何」とする。いずれも「左伝」に見えるが、二人は別人である。<中略>子服景伯は孔子の学問に敬意を払う教養ある家老であった。

 蛇足ながら、タイトルの「惑志」を「角川新字源」で検索すると、次のように記載されてはいましたが、論語の「ろの字」も発見できませんでした。

【惑志】わくし①心をまどわす。②まどいの心・疑心。

 また、タイトルの部分の1節のみの漢文は「夫子固有惑志」とあり、この訓読として、「夫子(ふうし)は固(まことに)(まど)える志(こころざし)(あ)り」という読み方を吉川博士は採っていました。

 そこで質問です。
あなたの心の中に起った惑志は誰のどんな讒言でしたか?
そのときあなたは、その惑志をどのようにして終結させましたか?

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