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2008年6月19日 (木)

「忿戻」解説ページ

 今―昔   現在―過去。
長い―短い  長期―短期。
速い―遅い  敏行―逡巡・躊躇。
変革―維持  創業―守成。
初め―終わり スタート―ゴール。
上手いー下手 稚拙―老巧。

と、シチュエーションの切り口はいくらでもある。

 で、突然、「この一週間、どんな切り口でみて、新たな気づきや発見がありましたか?」
と,問いかけられたあなたは、つむじを曲げますか?

 あなたの答えを待つ間に、「今昔」という切り口からの視点を紹介します。

 ネタは、いつものように『論語』 吉川幸次郎(著)  中国古典選5 朝日文庫からの引用です。

 では早速、同書の「陽貨第十七」からの引用を主に、多少の変更や他の書籍も参考に、漢文は割愛し、訓読と、その現代訳、ならびに吉川博士の解説をお届けします。

 先ずは、訓読、すなわち、読下し文です。

(し)(いわ)く、
(いにし)えは民(たみ)に三(み)つの疾(やま)い有(あ)り。
(いま)や或(ある)いは是(こ)れすらも之(こ)れ亡(な)き也(なり)
(いにし)えの狂(きょう)や肆(し)、今(いま)の狂(きょう)や蕩(とう)
(いのし)えの矜(きょう)や廉(れん)、今(いま)の矜(きょう)や忿戻(ふんれい)
(いにし)えの愚(ぐ)や直(ちょく)、今(いま)の愚(ぐ)や詐(いつわ)るのみ。

 次に、その現代訳です。

 孔子が言った。
過去の時代には、人民のもちやすい欠点として、3つのものがいわれた。
いまはその3つの欠点さえ、なくなりかけている。
過去の無法者は、自由奔放というよさがあった。現代の無法者は、ただ出鱈目である。
過去の傲慢なものは、かどがあり、骨があったが、現在の傲慢なものは、腹を立て、人と衝突するだけである。
過去のおろかものは、愚直であったが、いまのおろかものは、卑屈に人をだますだけである。
無法、傲慢、ばか、という悪徳さえも、現在は堕落し、それはそれなりにもった良さを、喪失している。

 続いて、吉川博士の解説です。

・「古者」の二字は、過去の時間を意味する。(漢文は、「子曰」に続いて「古者民有三疾」とあります。)

・「狂」なる概念については、泰伯第八の「狂にして直ならず」、子路第十三の「狂者は進んで取る」をも参考すべきである。

 で、「狂」なる概念については理解できている。
 また、「矜(きょう)」についてもわかる。
同様に、「愚(ぐ)」や「直(ちょく)」も、「詐(さ)」についても吉川博士の現代訳で納得できる。

 しかし、もやもやとした未完了感のあるのが、次のワードである。
その未完了感を解消すべく、今回も「角川新字源」の力を借りることにした。
で、「角川新字源」を検索すると、それぞれ次のように記載されていた。

【肆】:意味が①~⑲まであったが、目的の意味は⑪ほしいまま。かってきまま。ほしいままにする。「放肆」であり、【恣・肆】:気まま、しほうだいにするで理解できた。

【蕩】トウ:意味が①か~⑩まであり、それぞれ熟語が紹介されている。目的の意味は、⑤とめどがない。しまりがない。「逸蕩」⑥ほしいまま。酒食などにおぼれる。「放蕩」⑦みだす。やぶる。

【廉】レン:「なりたち」が广と、音符兼ケンレン(かどだつ意→剣ケン)とから成り、へやのかどになっている所の意を表わす。また、斂レンと通じて、行ないの正しい意に用いる。と、ありこれで納得!因みに、意味は①~⑧まであった。

【忿戻】ふんれい:いきどおりさからう。人と争う気が強く、ねじけていること。〔論・陽貨〕「今之矜也忿戻」

と、あったが、さらなる理解のために、『朝の論語』 安岡正篤(述) 明徳出版社を見た。
その中で、安岡正篤翁は、次のように語っておられる。

昔は民に三つの疾があった。
今日の世の中はそれが亡(な)くなったかもしれぬ。
三つの疾とは「狂」―理性が足りない、「矜(きょう)」―誇り・気どり、それに「愚」だ。

昔の狂は肆(し)だった。肆とは、ほしいままと読みまして、平たく申しますと、思い通りに振る舞うことです。すなわち自分の信ずるところを遠慮気兼ねなく存分に振る舞った。
今も狂はあるが、今の狂は蕩(とう)のみ。今の狂はでたらめで、何もない。人間がくづれておる。
昔の人間の矜というものは廉であった。潔癖だった。今のプライドは忿戻、正(まさ)しく「怒れるつむじ曲り」に過ぎない。

昔の愚は直、馬鹿正直であった。しかし今の愚や詐のみ。今の愚はうそだ。

 これで、納得!
三者(3冊)を見るとスッキリです。

 因みに、この切り口は、単―複、すなわち単数と複数ですね。

 では、あらためて冒頭の質問です。
あなたは、どんな切り口で考えると、どのような気づきや発見がありましたか?

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