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2009年3月12日 (木)

「懐居」解説ページ

Ranten0903091 画像は秋田の友人からのプレゼントで
蘭展の続きです。

 近況と題した次のメッセージとともに届きました。

元気ですか。

秋田にも一歩一歩春がやって来ています。
春の報せのバッケ(フキノトウ)が顔を出してきました。
天ぷら、煮浸し、油いため、バッケ味噌と色々な食べ方があります。
ちょっと苦味があるとの事で私は何れも食したことが有りません。

 うーん、
これがいい!

 様々な調理の仕方や料理はあれども
「私は何れも食したことがない」
という言葉が彼を表現している。

 そして、食したことがないそのわけは
「ちょっと苦味がある」と。

 私ならどんな味か、どの程度の苦味か?
そんな興味にひかれてバッケ料理に箸がおもむく。

 んんっ、
ひょっとして、苦味は心の臓に悪いのかな?

 それで、彼は興味があれども箸をつけないのかなー、
などと考えている間に、蘭の写真を見てまたまた古い記憶が。

 「○○先生、蘭ですかー」
と、廊下ですれ違いざまに、若い先生が年配の先生に畏敬と尊敬の念を持って問いかけた。
否、いわゆるお追従というやつ。

「素晴らしい蘭ですねー」と。

 それを察してか、年配の先生曰く、
「蘭は蘭でもつまらんじゃよっ」
と、低い声でさりげなく一言。

 くだんの若い先生は「……」。
言葉を失った。

 これは、今を去る35年前、私の眼前で交わされた会話であった。

 そこで、頭に浮かんだのが、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 朝日文庫の「憲問第十四」の一条。

 では、同書からの引用を主に、訓読(読下し文)とその現代訳、ならびに解説を読みやすく、わかりやすい形に加工してお届けします。

 まずは、訓読、すなわち読下し文です。

(し)(いわ)く、
(し)にして居(きょ)を懐(おも)うは、
(もっ)って、士(し)と為(な)すに足(た)らず。

 次に、その現代訳です。

孔子が言った。
紳士でありながら、私的な生活のことばかりを考えている人間は、
紳士たる資格がない。

 続いて、吉川博士の解説です。

・居とは、元来気らくな座りかたであるが、ひいては、私宅、また私宅における私的な生活を意味する。

・「懐」の字は、新注系統の訓のように「おもう」と訓ずれば、そのことを気にかけることであるが、古注系統の訓のように、「やすんず」と訓ずれば、私的な生活の安楽さの上に、あぐらをかくことである。日本語としてはことなるが、中国語の「懐」は、両者をあわせ含むとしてよい。

 では、「角川新字源」にはどのように記載されているか?
という興味をもって検索してみた。

【居】キョ:「なりたち」形声。尸(尻しり)と、音符古キョ(ひらく意→胠キョ)とから成り、もと、ひざを開いてすわる意を表わした。(以下割愛)

【懐】カイ:「なりたち」会意形声。旧字は、心と、いだく意と音を示す褱カイとから成り、心にいだく、「なつかしむ」意を表わす。常用漢字は省略形による。

 う~ん、
1勝1敗。

角川新字源」では、「居」についての「なりたち」が吉川博士の解説と一致することを確認できた。
 が、「懐」の字には「おもう」という意味は確認できたものの「やすんず」という意味も、その訓読みについても直接的な表現には遭遇できなかった。

 しかし、
【懐土】かいど:現在の住居に満足し安んじる。〔論・里仁〕「君子懐徳、小人懐土」

【懐徳】かいとく:徳に安んじ固く守る。一説に、徳に心がけ、失わないようにする。〔論・里仁〕「君子懐徳」

という論語「里仁篇(りじんへん)」の言葉から、「やすんず」という意味が確認できた。
納得 !!

 では、冒頭の年配の教師が後輩の教師につれなく答えたそのわけは?

 若い先生の落ち着きのないその態度や振舞いが教師としての品性に欠けている!と、日頃の後輩の軽率な言動を内心快く思っていなかったものか、
それとも、「教師とは、かくあるべし!」
という先輩教師の無言の教えであったか。

 はたまた、「君に欄のよさがわかるのかね?」
「失礼ながら、君が欄のよさを見抜く目を持ち合わせているとは私には思えないがね……。」
という先輩教師の、そんな言外の言葉が私には聞えた。

 それにしても、当意即妙のお答えお見事!

 では、あなたにお伺いします。
あなたは、居(きょ)を懐(おも)う人?土(ど)を懐(おも)う人、
それとも徳(とく)を懐(おも)う人ですか?

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