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2009年9月24日 (木)

「粟五秉」解説ページ

 「わし、田舎に1町歩ほどの畑があるんよー。」
「その草引きだけでも大変なんよ。特に夏場は。」

「親父が残してくれた財産なんやけどな、どうしたものかと思うて…。」

 「先日もな、道路に面した側の3反だけ売ってくれ、という人が居っての…。」
「わしゃー、それはいかん! いうとるんや。」

「そりゃそうやろ、仮に、坪単価1万円で売ったとしても1千万円よ」
「そうしたら、残りの2千坪が二束三文になってしまうやないか。」

「仮に評価額を、坪@5千円としても1千5百万円の価値があるのによ」
「それで、わしゃあー、いかん、売らん、いうて断っとるんやけどな…。」

「10a(アール)まとめて全部買うてくれるんなら考える、とも言うとるんよ。わしは。」
とYさんは言う。

 さて、あなたはこの話を理解できたでしょうか?

度量衡の換算ができれば、理解しやすい話なんですが…。

 そこで今日は、論語の中から度量衡に関する話題、つまりタイトルの「粟五秉ぞくごへい」という語句が掲載されている一条を、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 朝日文庫の「雍也第六」から抽出して、その訓読(読下し文)と現代訳、ならびに吉川博士の解説を読みやすく、わかりやすい形に加工してお届けします。

 まずは、訓読、すなわち読下し文です。

子華しか、斉せいに使つかいす。
冉子ぜんし、其の母ははの為めに粟ぞくを請う。
わく、之れに釜を与あたえよ。
さんことを請う。
わく、之れに庾を与あたえよ。
冉子ぜんしれに粟ぞく五秉ごへいを与あたう。
わく、赤せきが斉せいに適く也、肥馬ひばに乗り、軽裘けいきゅうを衣る。
れ之れを聞く。君子くんしは急とぼしきを周すくうも富めるに継がず。

 次に、その現代訳です。

弟子の子華(公西華こうせいか)が斉のくにへ使いに行くことになった。
弟子の冉子(冉有ぜんゆう)は、母のために留守手当として粟こめを出すよう孔子に願い出た。
孔子は、その手当てとして粟を「一釜(6斗4升)、与えよ」と答えた。
この孔子の回答に対して「もう少し増やして欲しい」と冉有はお願いした。
孔子は「では、公西華の母親に粟を庾(16斗)、与あたえよ」と答えた。
しかし、冉有は無断で粟を五秉ごへい(800斗)与えた。

この事実を知った孔子は「赤(子華の実名)が斉の国へ行くときには肥えた馬に乗り、軽い毛皮を着ていたではないか(赤はなにも暮らしに苦労していない、否、裕福な暮らしぶりをしているではないか)。

「君子は貧乏人に対しては援助の手を差し伸べるが、富者をさらに富ますようなことはしない」というではないか! 私はそんな言葉を聞いている(といって孔子は冉有を非難した)。

 続いて、吉川博士の解説です

・子華しかとは、弟子の、姓は公西こうせい、名は赤せきの、字あざなであって、公冶長篇で、「赤や如何」、という孟武伯の問いに、「赤や、束帯して朝に立てば、賓客と言わしむべきなり」と、孔子の答えた、外交的人物である。

・この条は、子華が、隣国の斉のくにへ、孔子の使者として出張したときのはなしであり、斉に使いす、とは、孔子のために使いに行ったのだいうことに、諸家の説が大体一致している。

・さて第二句の、「冉子ぜんし、其の母の為めに粟を請う」とは、やはり弟子の冉有ぜんゆうが、子華の母のために、留守手当のこめを、やって下さいと、孔子に頼んだのである。すると孔子は、答えた。一釜いちふぶんだけ届けなさい。

・釜とは、ます目の単位であって、度量衡のことにも詳しい徂徠は、日本のます目では、五升七合五勺弱になるといっている。

それではあまり少なすぎると、冉有は思ったので、「益さんことを請う」、もう少しおやり下さいとたのんだ。

すると、じゃ、もう少しふやすかねといい、「之れに庾を与あたえよ」、といった。

・庾は、徂徠によれば一斗四升三合七勺強である。

しかし、冉有は、それでも少なすぎると思い、独断で、五秉ごへいぶんのこめを与えた。

・秉へいも単位の名であり、三たび徂徠によれば、五秉は、七石一斗八升五合九勺強である。

徂徠の計算を信ずれば、孔子の原案とは、百二十五倍乃至は五十倍の差があるところの、たいへんな額である。

・そのことをあとで聞いた孔子は、いった。それは余分なことである。

「赤せきの斉せいに適くや、肥馬ひばに乗り、軽裘けいきゅうを衣る」。
こんど子華が斉にゆくときのいでたちは、よく肥えた上等の馬に馬車をひかせ、軽い毛皮の外套、毛皮は軽いほど上等であるが、それを着こんで、意気揚揚と出かけたというではないか。
つまりかれは経済的に、ちっとも困ってはいない。留守手当を必要とする状態ではない。

・「吾れ之れを聞く」、私は生活の教えとして以下のようなことを聞いている、「君子は急とぼしきを周すくうも」、つまり生活の危急にある者には経済的な援助をするけれども、「富めるに継がず」、金もちには、それ以上継ぎ足してやらない、そういうことがあると聞いている。そういって冉有を非難した。

・つまり孔子の意向としては、がんらい留守手当は全く出さなくてもいいと思ったのだが、せっかくの冉有のたのみだから、ほんのかたちばかりやれ、といったのに、冉有がその意向を察しなかったのを、非難したのである。

 おっ、
あるある!
このような事例は、師弟の間柄のみならず、上司と部下の間にも。

 そして、オーナー社長と社員の間にも!
という話は後日に譲るとして、今日は度量衡、升目の話。

 「釜」「庾」「秉」を、「角川新字源」でそれぞれ検索すると次のように記載されていた。

・【釜】フ 意味②春秋・戦国時代の量の単位。六十四掬きく(一掬は一升)をいう。

・【庾】ユ 意味②ますめの単位。中国古代の十六斗(約31リットル)

・【秉】ヘイ 意味③穀物の量をはかるますめの名。十六斛こく〔論・雍也〕「粟五秉」

 おぉ~、、
ここでやっと、タイトルの語句に遭遇!

 んっ、
「1秉=16斛」。

 じゃあー、1斛は? 
ということで、さらに「角川新字源」を見てみると次の通りであった。、

【斛】コク 意味①容量の単位。十斗。石。→付・度量衡表 

 そこで、付録の度量衡表を見ると、「周・春秋・戦国時代の換算表」があり、それによれば次のようになる。

・1斛=10斗=19.4ℓ(1斗=10升=1.94ℓ)

・1釜=4区、64升=12.416ℓ

 ではでは、と喜び勇んで計算してみるも、
吉川博士の解説(徂徠の説)とは、一致しない。

 おぉー、悩む~。

五秉(1,550ℓ)は、たしかに一釜(12.416ℓ)の125倍弱ではあるが…。

 う~ん、
今夜も、また眠れな~い(笑)。

 では、あなたにお伺いします。
あなたは眠れない夜をどのように過ごします?

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