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2009年9月10日 (木)

「恵人」解説ページ

 あの人は「きとく」な人やなー、
いつも朝早くから、1人で、黙々と公園の掃除をして…。とか、

 ドライブの途中に、何気なく道端を見たら、野菜の置かれた無人スペースが。
そこで、車を停めて見ると、「ご自由にお持ち帰りください」と書かれた貼紙が…。

なんと、このご時世に「きとく」な人が居たものよっ!

などという言い方をするが、果たしてその「きとく」という意味は?
と思い「広辞苑」を見ると次のように記載されていた。

きとく【奇特】(キドクとも)特にすぐれて珍しいことl。また、行為などすぐれて賞すべきこと。殊勝。

 では、タイトルの「恵人けいじん」とは?
と同書を検索したが見当たらない。

 そこで、「角川新字源」を検索してみた。
が、こちらにも、その記載がない。
グリコ!

 では、タイトルの「恵人」はどこにー…? 
ということで、その熟語が掲載されている一条を、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 朝日文庫の「憲問第十四」から抽出して、その訓読(読下し文)と現代訳、ならびに吉川博士の解説を読みやすく、わかりやすい形に加工してお届けします。

 まずは、訓読、すなわち読下し文です。

るひと子産しさんを問う。
わく、恵人けいじんなり
子西しせいを問う。
わく、彼れを哉れを哉
管仲かんちゅうを問う。
わく、この人ひとや、伯氏はくしの駢邑べんゆう三百さんびゃくを奪うばう。
疏食そしを飯くらい、歯としを没おわるまで怨言えんげんし。

 次に、その現代訳です。

ある人が、孔子に子産の人物評価を求めた。
孔子が答えた。子産は「恵人」、すなわち仁の人、愛情に満ちた人である、と。
次に、ある人は子西という人物を問うた。
孔子は「彼をや、彼をや」と言い、「評価するに値しない人物である」ごとくに答えた。
最後に、ある人は管仲について尋ねた。
孔子は、管仲が駢べんという邑むらに、三百軒の小作を持っていた伯氏はくしという人が、不届きをしたので、その知行ちぎょうを剥奪した。
しかし、伯氏は粗末な食事をしながらも、一生を終えるまで、管仲に対して怨みがましいことを言わなかった、という事例を紹介して、管仲の人となりの批評に変えた。

 続いて、吉川博士の解説ですが、今回は長いので最小限に? 割愛してお送りします。

・三人の政治家についての評価である。

・或る人の質問が第一の対象とした子産は、東里の子産である。中小の侯国鄭ていの執政として令名があった。

 或る人がその子産の評価を問うたのに対するここの孔子の答えは、「恵人なり」。
古注の孔安国は、「恵は愛也」と訓じた上、さらに昭公二十年の「左伝」に、時あたかも三十歳の孔子が、子産の死を聞いたときの哀悼の言葉、「子産は古いにしえの遺愛なり」を引く。
「恵」の字を「愛也」と訓ずるのの根拠を示したのであり、しからば「恵人也」の三字は、愛情、恩恵に富む人物、そうした意味にちがいない。

・次に質問の対象となったのは、子西しせいを字あざなとする人物であるが、孔子にちかい春秋時代、この字あざなをもつ人物は、数人ある。うちどれを指すかは、早くから議論が分かれた。
 古注に引く馬融ばゆうは、二説をあげる。
  -第一説は、子産のいとこであり、同じく鄭ていの簡公かんこうの執政であった公孫夏こうそんかとする。
  -第二説として「或いは曰わく、楚の令尹れいいん子西しせいなり」という。

 新注以下、後世の注釈はおおむね馬融の第二説を取り、楚の令尹であった子西とし、鄭の執政の子西としない。何にしてもそれに対する孔子のこたえ、「彼哉彼哉」は、あの男はね、と否定的な語気である。
 -古注の馬融の説に、「称するに足る無きを言うなり」。 
 -朱子の新注に、「之れを外にする詞ことばなり」。
批評の範囲にはいらない語気だというのである。
おそらく当時の口語であり、それをそのまま記録したと思われる。

・次にある人の質問は、管仲かんちゅうを対象とした。孔子より二百年ばかり前、斉せいの桓公かんこうの宰相であり、春秋時代の最も大きな政治家と、意識されて来た人物である。われわれの比率でいえば、徳川家康である。

 最初の二字、「人也」は読みにくい句であり、普通の説は、古注新注とも、「あの人は」と、以下の文章を提起するためめの主格句とする。

管仲というあの人物は、駢邑べんゆうというところに、三百軒の小作をもっていた伯氏はくしなる人物が、不届きをしたので、その知行を剥奪したが、伯氏はその処置に満足し、貧乏をして、粗末な食事をしながら、一生のあいだ管仲に対して、怨みがましい言葉を発しなかった。この一事だけでも、偉大な政治家であったことがわかる。

・「飯疏食」の三字は、同じ表現が述而第七に見える。「飯」は動詞。「疏食」は野菜ばかりの食事、もしくはわるいこめ。

・「没」は尽、「歯」は年、である。

 ふぅ~、
吉川博士による3ページ半弱に亘る解説、それを端折たり、要約しての引用を試みたりとはいえ、それにしても長い!
疲れた~(笑)。

引用だけでも精根尽き果てた、とはいえ…。

 んんっ、
「没は尽、歯は年、である」、と吉川博士は述べておられる。

「没=尽」は、何となく合点はいくが…。

 また、「歯=年」については、「歯、目、チョメチョメ」などと、老境にさしかかった人を評する言葉を耳にする機会が度々あるものの…、と思いながらも、それぞれの語句を「角川新字源」にて検索してみた。

【没】ボツ 意味⑤「おえる。つくす(尽)
とあり、その左側を見ると、次の熟語が!

【没歯(齒)】ぼっし ①一生涯。歯は年齢の意で、よわい(齢)がなくなるまでの意。

 ならば、「歯=年」をわざわざ調べるまでもないと思いつつも、そこはそれ!…(笑)。

【歯】「シ」という音に、訓「は」が付され、
意味②よわい(齢) とし(年)。年齢。「年歯」
とあった。

 おっ、
そういえば、「トシハ」もいかない子供という言葉を聞いた記憶がある!
 
 そこで、「広辞苑」を検索すると、

としは【年歯・年端】年齢のほど。年ばえ(年齢の幼い場合にいうことが多い)
とあった。

 また、【令名】を「角川新字源」検索したものの見当たらず。そこで、「広辞苑」を検索すると次のように記載されていた。

れいめい【令名】よい名声。ほまれ。また、よい名前。

 再び、「角川新字源」に戻り、以下の気になる熟語を検索した。

【遺愛】いあい ①ある人の仁愛にむかしの人の仁愛のなごりがあること。〔左伝・昭20〕「古之遺愛」

【知行】1.ちこう 知識と行為。 2.ちぎょう ①武士の領地。②君主からあたえられた扶持ふち。給料。

 おぉー、
つかれた~。

私は何のために、何を求めて、どこまでぇー…(笑)。
目標・ゴールは、一体どこ?

 おっ、
今日のゴールは、冒頭の「奇特な人」と「恵人」がイコールであるか否かであった。

 そこで、あなたにお伺いします。
「奇特な人」=「恵人」でしょうか?

NO! ですね。

では、その違いは?

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