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2009年10月10日 (土)

「遂行」解説ページ

Hachirougata0910055 画像は秋田の友人からのプレゼントで
八郎潟です。

 「おまえな、『あれはできるけど、これはできん』ちゅうのはいかんぜー。」
「会社の経営っちゅうのは、何か1つだけできればいいっちゅうもんやないんや。様々なことに対応できんとなー…。」

「その問題を解決しよう思うたら、アンタ、誰かと組むか、どこかの組織に入るかせにゃあー…。」
とは、とある人の主張であり解釈。

 これは、議論に勝ちたい(負けるのが嫌いな)人の論理、すなわち自分の方に勝ちを引き寄せようとする会話術の1つである(と私は思うのですが…)。

 この会話相手の主張(解釈)に対して、
「コーチは他人のフンドシで相撲を取る職業」
「そういわれても…」、
と悩むコーチ。

 えっ、
あなたにはそんな経験・体験がおあり!?

ならば! タイトルの「遂行」という語句が掲載されている論語の一条が参考になる! と思い、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 朝日文庫の「衛霊公第十五」から抽出して、その訓読(読下し文)と現代訳、ならびに吉川博士の解説を読みやすく、わかりやすい形に加工してお届けします。

 まずは、訓読、すなわち読下し文です。

えいの霊公れいこう、陳じんを孔子こうしに問う。
孔子こうしこたえて曰わく、
俎豆そとうの事ことは則すなわち嘗つて之れを聞けり。
軍旅ぐんりょの事ことは未まだ之れを学まなばざる也なり
明日みょうにちついに行く。

 次に、その現代訳です。

衛のくにの君主、霊公が戦争の仕方について孔子に聞いた。
これに対して、孔子は次のようにこたえた。
「まつりの儀式に関する事柄については、以前に聞いたことがあり、知っています。
しかし、戦争の仕方については学んだことがありません。」
と言って、その翌日、衛のくにを立ち去った。

 続いて、吉川博士の解説です

・「陳」の字は、すなわち「陣」の字と同じであって、戦争の陣立てについての方法である。

・衛の霊公は、すでにたびたび見えたように、暗君である。

・この条は孔子が二度目に衛に逗留したときのこととすれば、四十年にわたる霊公在位の最後の年であり、すでに老齢であったであろう霊公は、すなわちこの年になくなる。

・そうした霊公から軍事についての質問を受けた孔子は、こたえた。「俎豆そとう」の俎とは、祭りその他儀式のときに肉をのせるまないた、「豆」とは、やはり儀式の際の食物を盛る木製のたかつきである。

つまり、「俎豆之事」とは、礼儀に関する事柄を意味し、それならば先輩から聞き知っております。
しかし、「軍旅之事」、一万二千五百人の部隊が「軍」であり、五百人の部隊が「旅」であるが、そうした戦争に関する事柄、それは勉強したことがありません。

そういってその翌日、衛のくにを立ち去った。

・孔子は「軍旅之事」も心得てはいたが、わざとこたえなかったのだと、おおむねの注釈にいうが、そうした穿鑿は無用であろう。「軍旅之事」についてはこたえなかったということ自体が、貴重なのである。

・「明日遂行」の四字を、皇疏、邢疏などは、次の章の始めにかぶせるけれども、劉宝楠にしたがってこの条の終わりにつづける。

はじめからあまり期待をよせにくい霊公に対し、なお一縷の望みをすてなかった孔子は、この日の霊公の質問のばからしさ、気まぐれによって、さいごの見きりををつけ、そのあくる日、とうとう衛を退去した。

「遂」の字は、そうした心理的葛藤ののちの決断を示すが、「遂」の字をより効果的あらしめるためには、四字を上につけることが望ましい。

 んんっ、
「四字を上につける」?
二字では…?

 それはさておき、孔子は、マルチ人間を求める、つまり何でもかんでも他人に頼る君主の愚さを説いている!?

とも読める一条ですが、この背景には衛の国のお家騒動があり、
霊公はその問題を武力によって解決しようとして孔子に軍事のことについて訊いた。
それを察した孔子が、関わりを避けたこと。

そしてもう1つの背景が、霊公に対する孔子の不信感であった。

 この論語の一条をそのよううに考えれば、冒頭の話も、
相手が信頼するに足る経営者である場合は必死にサポートし、
そうでない経営者であれば、そこそこに立ち去るべし!

というのがこの条のいわんとするところ、すなわち教えであり、学ぶべきところ!
かな? と私は考えたのですが…。

 そして、さらに学びを深めるため、「角川新字源」にてタイトルの熟語他を検索したところ、次のように記載されていた。

【遂行】すいこう 事をなしとげる。やりとおす。

【俎豆之事】そとうのこと まつりの儀式に関する事がら。〔論・衛霊公〕「俎豆之事、則嘗聞之矣」

【軍旅】ぐんりょ ①軍隊。旅は、おおぜいの意。②戦争

 おぉ~、
この条については、吉川博士の解説のほうが詳しい。
軍旅についても、遂行についても、
吉川博士(朝日文庫?)に軍~配!

 では、あなたにお伺いします。

 あなたは、相手の問いの馬鹿らしさ、気まぐれさに嫌気がさして「遂行ついにゆく」、つまり見きりををつけて交際を絶った人が、これまでに何人います?

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