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2010年3月13日 (土)

「磷緇(りんし)」解説ページ

Ranten1002063 画像は秋田の友人からのプレゼントで、
「世界の蘭フェア」の1コマです。

 「あんた、石部金吉いしべきんきちやな~」
という言葉を、何度か耳にされた方もおありでは?

 そこで、今日は、「磷緇りんし」という言葉の紹介。

 な~んか、肩がこりそう~(笑)

 えっ、
石部金吉いしべきんきちと磷緇りんしがどうつながるんや!?
ですかー。

それは、見てのお楽しみ~。

 早速、いつもどおり、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選5 朝日文庫の「陽貨ようか第十七」からの引用を主に、他の書籍をも参考に、肩のこらない程度に、加筆、または割愛してお届けします。

 まずは、訓読、すなわち読下し文です。

わく、然しかり、是の言げんる也なり
かたしと曰わずや、磨して磷うすらがず。
しろしと曰わずや、涅でつして緇くろまず。
れ豈に匏瓜ほうかならんや。
いずくんぞ能く繋かかりて食われざらん。

 次に、その現代訳です。

孔子が答えた。「そうだ。そう言った。しかし、こんな言葉もある。」
「真に堅いものは砥石にかけても薄くならない。」
「また、真に白いものは黒い土で染めても黒くならない。」
(それが私だ。)
「それに、私はひさごではない。」
「ぶらさがったまま、食されずにいられようか!」と。

 続いて、吉川博士の解説です。

・「磷りんは薄き也、涅でつは以って皂くろを染む可し」というのが、古注の孔安国こうあんこくの訓であり、緇は黒き也」は、常訓である。

・焉イズクンゾ能ク繋カカリテ食ワレザラン、と最後の「食」の字を受身に読み、人に食べられない苦瓜にがうりのように、おいてきぼりになるのはいやだ、の意に解したのは、仁斎及び清儒のある者の説に従う。

・別の読み方として、焉イズクンゾ能ク繋カカリテ食ワザラン、瓜は静物であるから、ものを食べないが、私は人間である、瓜のように、じっとぶら下がってものを食わないわけにはいかない、と読むよみかたがあるが、かえって難解な説と思われる。

<中略>

また全くの異説として、匏瓜とは「うり」でなく、天上の星の名前だ、というのが、皇侃おうがんの「義疏ぎそ」に一説として見え、徂徠そらいも同説であることを、附記しておく。

 う~ん、
「焉能繋而不食(焉いずくんぞ能く繋かかりて食われざらん)」には諸説ありそう。

 そこで、他の本に解決を委ねることとした(それらによると次の通り)。

わたしは苦瓜にがうりなどではない。人に見向きもされず、いつまでもさらし者になっているのは耐えられんのだ。(『人間孔子』 李 長之(著) 守屋 洋(訳) 徳間文庫)

私はあの棚にぶら下がっているヘチマではない、ぶら下がったまま人に食べられずじまいになるのはいやだ。
せっかく才能も理想も能力も私はもっているのに、ぶら下がったままで人から食べられない。
それは苦い瓜だからと、ある注釈者は申しますが、それはともかくとして、そうした状態のままでいるのはいやだ。
だからおれは行くつもりだ。
そこにもおれの理想を働かせる場所はあるのだ。(『論語について』 吉川幸次郎(述) 講談社学術文庫)

 おっ、
どうやら、「食われざらん」が正解のようー。
やれ、やれ。

 ホッとしたのも束の間!
「苦瓜」とあったり、「ヘチマ」と書かれていたり、
何が正解? 

 ちなみに、苦瓜はゴーヤともいわれ、今では人気食品の1つ!

 では、では、と「角川新字源」を検索すると次のように記載されていた。

【匏瓜】ほうか ①うりの一種。ふくべ。ひさご。〔論・陽貨〕「吾豈匏瓜也哉、焉能繋而不食」②星の名。

 おぉ~、
「星の名」までもー。吉川博士の解説と一緒!

が、苦瓜という固有名詞は、「角川新字源」には見当たらない。

 そこで、このか弱い手で、あの重たい広辞苑を持ち出してきて、さらに検索し、次の答え(記載)を得た。

ふくべ【瓠・瓢】②ウリ科の一年草。ユウガオの一変種。果実から干瓢(かんぴょう)を製する。

ひさご【瓠・匏・瓢】①ユウガオ・ヒョウタン・トウガラシなどの総称。特に、その果実。

 そして再び、「角川新字源」を開いて、タイトルの熟語を検索すると、

【磷緇】りんし すりへらされてうすくなり、そめられて黒くなる。外界の情勢に支配されること。〔論・陽貨〕「不曰堅乎、磨而不磷、不曰白乎、涅而不緇」

とあった。

 蛇足ついでに、前述の『論語について』の中には、「不曰堅乎、磨而不磷、不曰白乎、涅而不緇。(堅かたしと曰わずや、磨して磷うすらがず。白しろしと曰わずや、涅でつして緇くろまず)」についての現代訳として、次のような記載があった。

おれはそういった妥当でないものと一しょになっても、私のこの堅さはそのためにすり減ることはない。
私はたいへん潔白な人間だ、いくらどろをかぶっても黒くなることはない。

 そして、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選5 朝日文庫の解説中には、「暗に、私はそれであるというのである。」とあり、
磷緇りんしという熟語が、「外界の情勢に支配されること」の比喩として使われることについても納得!

 う~ん、それにしても、
この章の前半部分を割愛したとはいえ、長い!

が、「磷緇りんし」と「石部金吉」とのつながりについて、私はまだ説明していない。

 すでに、賢明な読者の方々にはお分かりのこととはいえ、老婆心(老爺心?)ながら、

いしべきんきち【石部金吉】(石と金と二つの硬いものを並べて人名めかしたもの)きわめて物堅い人。融通のきかない人。(広辞苑)

 おっ、
「磷緇りんし」=「石部金吉」ではない!(汗;)
「磷緇りんし」≒「石部金吉金兜いしべきんきちかなかぶと」(極端な堅物)でもなさそうー。

「磷緇りんし」≠「石部金吉」でした~(笑)。
ねっ!

 では、あなたにお伺いします。

 あなたは、どんな人?
磷緇りんし、すなわち、周りの環境に影響を受けやすい人ですか。

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