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2010年5月27日 (木)

時習 PART2

Yukiwarisou10032008 画像は秋田の友人からのプレゼントです。

 さて、県道12号線を横切って岩屋寺橋を渡り、
狭い舗装道を岩屋寺へと歩く。

 「危ないよっ!」と背後から聞こえる愚妻の声。

その声に振り返ると、姫路ナンバーのワンボックスカーが、
道幅一杯にそろり、そろりと近寄ってくる。

「おっ、兵庫県の…、『車で88ヶ所参りをしている』と言うとった人や。」
と私が言えば、「ホント、大きな車やねー。」
「あの車なら手足を伸ばして、車の中でゆっくり眠れるねー」
と返す女房殿。

 しばらく歩くと、両脇に土産物店。
その狭い山道を登りはじめると行く手には急な坂道。

 「こんなに急やったかねー。」
とあえぎながら歩む女房殿。

 「ホント。確かにきつい!」
「でも、下を見てみぃー。まだこれだけしか登ってないんやでー。」
「ということは、それだけ歳をとったということよ。」と返す私に、

「いぃやぁー、結構登っとるやない。」
と眼下を見下ろしながら答える女房殿。

 そんな会話を交わしながら歩を進める道すがら、
下りの人々とすれ違う。

「こんにちはー」と、こちらから声をかければ、
「こんにちは」と、参拝を終えた全ての人々が笑顔で応える。

その声と笑顔に元気を頂戴して、急勾配の山道と石段を登り目的地に到着。

 参拝もそこそこに、私は転落死事故のあったという地点に。

 そこには、2人の女性の後から慎重にそろりそろりと一段ずつ梯子を降りる初老と思しき男性の姿が。

 その光景を見た私は、「おぉ~、元気やなぁー、女性は!」
「それにしても、えらい慎重な人やなぁー、この男の人は…。」
と、思いながら岩面に垂直状にかかる梯子を見つめる。すると、

「もう、下りるよー。」
と聞き覚えのある声がする。

「おぉー、もう、下りるかー。わしはここを登ってみようと思うんや」
と振り向いて答える私の視線の先には愚妻の視線が。

その視線を無視するかのように、勢いよく(と本人は思ってはいるが…)登って、上から下を見ると高い!
怖い。足がすくむ。

 まさしく、「往きはよいよい、復りは怖い!」。
いきおい、梯子を下りるのに慎重にならざるをえない。

 その様子を遠くから眺めていた女房殿いわく、
「へっぴり腰やったでー。」と。

 たしかに! 女房殿の指摘どおりかも!?

今にも笑い出しそうな膝にムチ打って、勢いよく梯子を登り、上から下を覗いた瞬間、身震いした私の身体のどこかに、恐怖心が宿っていたとしてもおかしくはない。

 そんな恐怖心も忘れ、石段を降り始めて暫く経つと、
「おっ、やっぱり下り坂はいかん。膝にこたえる。」
「痛めている膝がまた痛とうなった。」と嘆く私に、

「登り坂で膝を酷使している上に、石段を降りると膝に負担がかかるからねー。」と、いつにもなく優しい女房殿。

それもそのはず、彼女はいつも下り坂には強い(登り坂に弱い分)。

 そうこういいながらも、無事、山門まで下る。
そこには団体と思しき年配の男女6、7名がたむろしていた。

 「上まではあとどれくらいですか?」と尋ねる彼らに、
「そうですねー。ここからですと、あと3分の2ぐらいですかね。」
「がんばってくださいね。」
と我ら夫婦どちらから言うともなく答える。

 この答えを聞いた途端、「ほな、ワシ、もう止めた。」
「引き返す。」とおっしゃる男性が一人。

 山門を少し下った所で、「正直に言わんほうがよかったかね。」
「『あと、もうちょっとですよ。』といったほうがよかったかねー。」
と反省する女房殿。

「ほぅやなー…、『嘘も方便』いうしなー…。」
「でも、考えてみぃー。途中で心臓麻痺を起こしたり、あとちょっとのつもりが、行けども行けども険しい上り坂と石段の連続。途中でギブアップして、『あいつら夫婦は…』と恨みごとを言われるかもわからん。」

「そんなことを考えたら、正直に言うたほうが良かったんちゃう。正解やったんちゃうか?」と答える私。

「そうやね。そのほうがよかったね。」
と珍しく素直な女房殿。

 ようやく県道まで出ると、1台の車が橋を渡る光景に遭遇する。
「おんっ、黒塗りのベンツで車遍路かいな。」
「ヤッチャンちゃうか?」という私のつぶやきに、

「いぃやぁー、裕福そうな、いかにもエエとこの人という感じの夫婦が乗っとたよ。」と答える女房殿。

 また、帰りの車中からは、車は車でも自転車遍路に、歩き遍路の人々の姿も見える。

 「今夜はどこで野宿やろかー。寝袋下げとったけど…。」
「人生いろいろ。ひと様々やねー。」と、のたまう女房殿。

 その女房殿の「久万へ行かん?」「大宝寺さんへ」への楽しみは、国道沿いの産直市場。
そこでのショッピングが、彼女の楽しみの1つでもある。

 そこで、例によって例のごとく、帰りに2軒の店舗に立ち寄る。
はやっている店と、そうでない店の違いは、教科書に記載の通り!

 「教科書で学んだこと(礼儀)を実習してみる、すなわち実践して身につけることが『時習』である」と貝塚茂樹博士はおっしゃる。(『論語現代に生きる中国の知恵』 講談社現代新書)

 この日、私が遭遇した人々の行動(遍路姿・様子)と、産直市場の実態は教科書どおり!
であった。

 あとは、そこから先。
何を考えて、どのように行動(実践)するか。

それが、数年後には結果、違いとなって現れる。

それに気づいて、新たな行動を開始する。

これが「時習」の教えるところかな?
と感じた私の1日でした…。

 あなたは、何を見て、どのように考え、どんな行動を開始します?

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