リンク集

« 及門(きゅうもん) | トップページ | 硜硜(こうこう) »

2010年8月 7日 (土)

「硜硜(こうこう)」解説ページ

Photo_2 画像は秋田の友人からのプレゼントです。

 「細かいなー、あのT社長は。」
「あれじゃー、大変やろうな―、社員は…。」
「オレなら3日と続かんわ。」と語るHさん。

 「え-、おっしゃるとおり、細かそうな方ですね。」
「でも、どこの社長も細かいのでは…?」
「それに、本来社長といわれる人は細かくてナンボでは?」
と問い返すNさん。

 「うん、たしかに!」
「しかし、程度もんやでー。」
「あそこまでいくとなー…。」

と主観的な思い、すなわち自らが感じた気持ちを語るHさん。
この続きは後日のお楽しみ! です。

 そこで今日は、「硜硜こうこう」というタイトルの熟語が出てくる一章を
『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 朝日文庫の「憲問けんもん第十四」からの引用を主に、加筆・修正、または割愛してお届けします。

 まずは、訓読、すなわち読下し文です。

、磬けいを衛えいに撃つ。
を荷にないて孔氏こうしの門もんを過ぐる者ものり。
わく、心こころる哉かな、磬けいを撃つ乎
すでにして曰わく、鄙いやしい哉かな、硜硜乎こうこうことして、己おのれを知る莫き也なり、斯れ己おのれのみ。
ふかければ則すなわち厲れいし、浅あさければ則すなわち掲けいせよ。
わく、果なる哉かな、之れを難かたしとする末し。

 次に、その現代訳です。

孔子が衛のくににいたとき、いえでひとり磬けいという楽器を演奏していた。
そのとき、草でつくったもっこを荷にない、孔子のいえの門前を通り過ぎる人がいた。
その人が言った。「考えのありそうな磬けいの叩き方だ。」
しばらくするとまた言った。「つまらない。かたくなな人だ。『誰も自分を認めてくれない。』と、あの磬けいの音は訴えている。だとしたら意識にあるのは自分のことだけ。」
「うたの文句にも、『深い川ならざんぶりと、浅い川なら裾をからげて渡れ』というではないか」(このいえの主人も、もう少し臨機応変に生きたらどうか)。
この批評を聞いて孔子が言った。「思い切りのいい意見(考え)だ! 私のような苦衷、難儀さがあの人には末いのであろう」。

 続いて、吉川博士の解説は以下の通りです。

・「磬けい」とは、石でつくった打楽器であり、たかく澄んだひびきを発する。日本では実物が寺院にある。

・「蔶」は簣と同じく、土をはこぶもっこであるが、竹かんむりと草かんむりは、材料のちがいであろう。

・「荷」は動詞であり、にのう。

・「硜硜乎」とは、磬の音の形容であるとともに、磬の音に象徴された演奏者のかたくなさをいう言葉でもあろう。

・うたの二句は、いまの「詩経」では「邶風はいふう」の、「匏有苦葉ほうゆうくよう」の第一章に見える。

・この批評をきいて孔子のいった言葉は、難解である。果なる哉、とは、そういう考えかたは勇敢である、というふうに読める。

・末之難矣の四字は、文法的にも難解であるが、しばらく、之れを難しとする末し、私がこうやっている難儀さ、苦衷、それがかれには末いのであろう、の意としおく。もうひとつくだけば、それなら世話はない、の意である。

何晏かあんの注の意味はそのように見うける。末ばつの字の意義が、同子音の無と同じであること、これは疑いない。

また上の訳は、斯己而已矣を、斯れ己おのれのみ、とする古注に従ったのであり、新注は、斯れ已まんのみ、自分を認めてくれるものがないなら、それまでだ、の意とする。

・「史記」の「孔子世家」では、三度目に衛に立ちよったときのこととし、衛の霊公が孔子の進言を聴き入れないので「苟しくも我れを用うる者有らば、期月のみにして可なり、三年にして成る有らん」、

また晋しんの仏肸ひつきつの招聘に応じようとして、「吾れ豈に匏瓜ほうかならんや、焉いずくんぞ能く繫つながれしままに食くらわれざらん」といったというあとに、この条をおく。

 んっ、「硜硜乎」とは、演奏者の「かたくなさ」をいう擬態語であり、
「細かさ」をいう言葉ではない!?

つまり、{かたくなさ」≠「細かさ」!?

 う~ん、
社長業とは万事に細かいこと!
というNさんの思い込みやかたくなさが冒頭の言葉(会話)を生んだか…?

 そこで、「かたくなさ」と「細かさ」の違いを『広辞苑』にて検索してみると、次のように記載されていた。

○ かたくな【頑】
 ①すなおでなく、ねじけているさま。偏屈。
 ②融通のきかぬさま。片意地なさま。頑固。
 ③愚鈍なさま。劣って見苦しいさま。
 ④教養がなく、また情趣を解さないさま。

○ こまか【細か】
 ① はなはだ小さいさま。
 ② くわしいさま。
 ③ 綿密。入念。精巧。
 ④ 親切。ねんごろ。

 おぉ~、「かたくなさ」と「細かさ」とは、似て非なるもの!
大いに違う。

 ちなみに、「さ」はその程度を表す接尾語であり、また、「細かい」と「細か」もニュアンスが違う(意味に微妙な違いがある)。

 冒頭のSさんが、T社長を批評した言葉、それは、
「T社長はちっちゃい。細か過ぎて、気が詰まる。気の休まる時がない人。」という意味であった。

 そこで、タイトルの熟語「硜硜こうこう」を『角川新字源』にて検索すると次のように記されていた。、

【硜】コウ/キョウ 「硜硜こうこう」は
 ・ かたい石を打つ音
 ・ 磬けいという石の楽器の音。
 ・ かたい音の形容。
 ・ 人物の小さくかたくるしいさま。
  〔論・子路〕「硜硜然小人哉」
 ・ いやしいさま。〔論・憲問〕「鄙哉硜硜乎」

 んんっ、
「硜硜乎」=「いやしいさま」とは…?
う~ん、ちと、合点がいかぬ!

ここは吉川博士の「硜硜乎」とは、「かたくなさをいう擬態語である」
という解説の方が私にはぴったり(ヒット)!

 では、あなたにお伺いします。

あなたの周りにいる細かい人に対して、一言だけ言っておきたいことがあるとしたら、それはどんなことです?

« 及門(きゅうもん) | トップページ | 硜硜(こうこう) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「硜硜(こうこう)」解説ページ:

« 及門(きゅうもん) | トップページ | 硜硜(こうこう) »

2024年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック

無料ブログはココログ