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2011年1月14日 (金)

巧言令色足恭(こうげんれいしょくすうきょう)

1012061wakakusayama 画像は秋田の友人からのプレゼントです。

 「昨日、お宅のO課長がお見えでしたよ。」
とさりげなく伝える私。

 「えっ、また何か、要らん事を言ったんと違いますか?」
不安と苦々しそうな感情を同居させた、そんな複雑な表情で、
私に尋ねるD社のSさん。

 「うん、非~常~に、いいお話を聞かせてもらいましたよー。」
と意味ありげに答え、もったいぶる私(笑)。

 「そうですかー…、やっぱり。」
少し、意気消沈したかとも思えるような表情でつぶやくSさん。

 しかし、それも束の間、
「困るんですよねー。うちの課長は。」
「あちこちで要らんことを言うので、その後始末がねー…。」
と言葉をつないだSさんは、

「それで、うちの課長はどんな話をして帰りました?」
と私の顔を覗き込んで尋ねる。

 このSさんの問いかけに、

「話の内容ですか…。」
「う~ん、それはですねー…。」
と接続詞を挟み、間を置いた後で次のように笑って答える私。

「お宅の課長によれば、『この業界をまとめるのは世話ない!』とのことでしたよ。」と。

 この私の答えに驚き、さらに問いかけるSさん。

「それで、うちの課長はどんな風に言いました?」と。

 「はい、ビックリするようなことを~」
と依然、笑いながら答える私は次のように続ける。

「具体的には、お宅(D社)と取引すれば、『今、この業界が抱えている問題、つまり、どこそこの案件で、やった・やられたなどという愚かで際限のない受注(過当)競争などしなくてよくなりますよ』とおっしゃいましたよ。」

「その理由として、『うち(D社)は、お宅(かつての私の勤務先で、仮にS社)のライバルであるA社やK社、またU社とも取引があるので、もし何かあったらいつでも連絡してきてください。うち(D社)が話合いの仲介、橋渡し役をしますから!』と力強く言っておられましたよ」。

 「それに…。どこでお聞きになったかは存じませんが、『お宅(S社)が原価割れで受注したN(固有名詞)のような案件でも、うち(D社)と取引をするようになれば、今後はそのような心配はなくなります!』ともね。」

「さも、お宅(D社)がこの業界をコントロールしている!? いやっ、お宅(D社)がこの業界をコントロールできるかのように、私には聞こえましたけどね。」

 O課長が語った内容を、限りなく忠実に再現し、つまり客観的事実に、私がO課長の話を聞いて感じた感情や思い(主観的事実)を付けたし、冷静に、しかもO課長の言葉に不信感を募らせという、そんな感情を言葉に乗せて伝える私。

 「そうでしたか…。」
「そんな夢物語、できもしないことを言わなきゃいいのにね。うちの課長は!」と申し訳なさそうに言ったSさん、

「ごめんなさい!」
とD社を代表して頭を下げた。

 そのSさん、実は知る人ぞ知る、
「巧言令色足恭こうげんれいしょくすうきょう」、つまり、「口先じょうずで、顔色を和らげ、度を過ぎたうやうやしさ(態度)で、うまく顧客に取り入る人」と周囲から揶揄されるやり手でもある。

 その論拠(一例?)として、かつて、H社のHさんいわく、

「へぇー、お宅(S社)もD社と取引しておられるのですか。」
「ちなみに、D社の営業担当者はSさんでは?」

「そう、やっぱり! 担当はSさんですか。」
「あのSさん、いつも物腰が柔らかく、常にニコニコしていて、丁寧に、
いやっ、少し気持ち悪いぐらいに、こんな感じで、話しかけてきません?」
といいながら、自らの左頬に右手の甲をあてがう所作をして、Sさんを評するHさん。

 おぉ~、お見事!
Hさんの仕草に、思わず微笑む私。

 しかし、Sさんは、孔子がいうところの「巧言令色足恭こうげんれいしょくすうきょう」の人、つまり恥ずべき人ではない!

 また、「怨うらみを匿かくして其の人を友とす」
という恥ずべき類の人でもない。

 なんとなれば、Sさんは宮仕えの人、すなわちサラリーマンであり、
一言多い「一言居士」、そんな上司の言動に困惑し、反撥はすれども、「相手を変えることはできない」ことを熟知しており、

またその上司を変える権限も有していないことを、Sさんは充分承知している。

 すなわち、Sさんはそんな上司を恥じとし、反撥はすれども。
相手(顧客)のためにできることとそうでないことを弁えた、
つまり、自分を知るエリート営業マンである。

 その営業姿勢(表情・態度)は、たとえ同業他社のセールス・パーソンからどのように揶揄されようとも、

また上司や同僚から、どんな批評や評価・判断をくだされようとも、
自分の信じた道を、是々非々で進む人であり、

Sさんは単なる口先上手のおべんちゃら屋で、中身のないピーマン、
つまり恥ずべき人ではなかった。

 ちなみに、D社はSさんを重用したという事実を記して、落着!
めでたし、めでたしです(笑)。

 では、あなたにお伺いします。

SさんとO課長、、あなたが「恥ずべき人」と思う(考える)のは、さて、どちら?

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