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2011年1月 7日 (金)

「巧言令色足恭」解説ページ

1011292 画像は秋田の友人からのプレゼントです。

 さて、「巧言こうげん令色れいしょくすくなし仁じん
といえば、ご存知!
論語の学而篇がくじへん第三章に見える孔子の言葉ですね。

 そしてその現代訳は、口先上手で、表面づらがいいのは中身が無い。つまり真の愛情が少ない!
という意味でしたね、

 では、それに「足恭すうきょう」を付け加えるとどうなるか!?

 早速、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 朝日文庫の「公冶長こうやちょう第五」からの引用を主にお届けします。

 まずは、訓読、すなわち読下し文です。

わく、
巧言こうげん、令色れいしょく、足恭すうきょう
左丘明さきゅうめい、之れを恥ず。
きゅうも亦た之れを恥ず。
うらみを匿かくして其の人ひとを友ともとす、
左丘明さきゅうめい、之れを恥ず。
きゅうも亦た之れを恥ず。

 次に、その現代訳(直訳)です。

孔子が言った(先生の言葉である)。
「口先上手で、表面づらがよく、度を過ぎた恭うやうやしさを
左丘明さきゅうめいは恥とした。」
「私(丘)もまた左丘明同様、これを恥とする。」
「憎み嫌っているのに、それを隠してその人と友達づきあいすることを
左丘明さきゅうめいは恥とした。」
「私(丘)もまた左丘明同様、これを恥とする」。

 続いて、吉川博士の解説の一部です。

・まず人名についていえば、左丘明さきゅうめいとは、
「春秋左氏伝しゅんじゅうさしでん」の著者であり、盲人の学者であったとする説と、それとこれとは別人だとする説とがある。

要するにどういう人かよく分からない。

・また「丘」は孔子の実名、一人称として用いられている。

・一条の意味は、巧言すなわちお世辞、令色すなわちうわべの愛嬌、それと足恭、これについては二説あり

 -足の字をスウと発音し、足り過ぎた丁寧さというのが一説、

 -普通の音のソクに発音して、足どりを恭うやうやしくするというのがまた一説であるが、

要するに三者ひっくるめて、内容のともなわない空虚な態度、それを左丘明は、卑屈なことだとしたが、私も同様にそれらを卑屈な行為だと思う。

また、その人を嫌悪しながら、しかも嫌悪を匿かくして友だちづきあいをする、というのを、左丘明は卑屈なことだとしたが、私もまた同様に、それを卑屈な行為だと思う。

・この条の文章のたくみさは、「左丘明之れを恥ず、丘も亦た之れを恥ず」というところにある。

はじめにいったように、左丘明というのはどういう人物かよくわからない。

したがって、その孔子に対する関係もよくわからないのであるが、孔子の後輩、もしくは弟子で、左丘明はあったとして読むとき、もっともおもむきが深くなる。

・二つの不道徳に対する反省、というよりも反撥、「之れを恥ず」の恥の字は、反撥をこそ意味するであろうが、反撥は、まず左丘明におけるものとして提起され、孔子みずからの反撥が、それにかぶさることによって、最も強い反撥となる。

・二つの不道徳のうち、私がことに重要と思うのは、後半の「怨みを匿して其の人を友とする」ことであって、いやな人物だと思いながら、いろんな関係でやむなくつきあうということが、われわれの場合にも多いが、それは恥ずべき不道徳なのである。

 う~ん、
いつ見ても、この本(『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 朝日文庫)に記載されている吉川博士の解説はすばらしい!

 そのわけは、聞き語りを元に構成されたものであるゆえに、読む人に語りかけているように、私には感じられる。

 特に、この章の解説中において、「孔子の後輩、もしくは弟子で、左丘明はあったとして読むとき、もっともおもむきが深くなる。」
というくだりは、なるほど! 
と私は得心がいくのであるが、
あなたの体験からのお考えやいかに…?

 それでもなお、疑り深い? 私は
角川新字源にてタイトルの語句を検索してみる(笑)。

・【巧言令色】こうげんれいしょく 口先じょうずで、顔色を和らげて人にこびへつらう。〔論・学而〕

【令色】れいしょく ①顔色をやわらげて、人にこびる。〔論・学而〕「巧言令色、鮮矣仁」 ②やさしく美しい顔。

・【足恭】すうきょう 度をすぎたうやうやしさ。〔論・公冶長〕

 う~ん、
この検索結果(内容)のみでは、少し、さびしい!(笑)

 そこで、「広辞苑」にて、これらの熟語を検索してみた。

・こうげん【巧言】言葉を飾って巧みに言うこと。くちさきのうまいこと。また、その言葉。

・こうげんれいしょく【巧言令色】[論語学而「巧言令色鮮矣仁」] 口先がうまく、顔色をやわらげて人を喜ばせ、こびへつらうこと。仁の心に欠けることとされる。

・れいしょく【令色】 ①[論語学而]他人の気に入るように顔色をよくし飾ること。 ②容儀を正した顔つき。

・すうきょう【足恭】 [論語公冶長「巧言令色足恭、左丘明恥之、丘亦恥之」](スウは慣用音。「足」は過ぎる意)うやうやしさの度が過ぎること。おもねりへつらうこと。すきょう。

 んんっ?
「すきょう」!?
ということでさらに検索すると、

・すきょう【足恭】⇒すうきょう

とあり、なるほど納得!
正しい音読みが「すきょう」で、「すうきょう」は慣用音かー…。

 そこまでは、さすがに吉川博士の解説にも、
また「角川新字源」にも見当たらなかっった!

なんで?(笑)

 さらにいえば、同じ辞書であっても、
「広辞苑」と「角川新字源」では、その意味が多少異なる!?
と思われる箇所が散見される。

 なんで?(笑)

などと深堀をすればするほど、
あぁ~、どうにも止まらない♪

今夜もまた眠れそうにない!(笑)

 かように、私の好奇心は、肩の凝りも目の疲れも、はたまた食事までも忘れ、さらには老いの将まさに至らんとするのまでも知らず、
楽しんで以って、憂いを忘れさせてくれるのであった~♪(笑)

 では、あなたにお伺いします。

 あなたが恥とする、つまり嫌悪(反撥)する人は、どんなタイプの人ですか?

 えっ、
私のようなタイプ!?(笑)

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