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2012年3月10日 (土)

「億中」解説ページ

Ranten1202095 画像は秋田の友人からのプレゼントです。

 「今度はM社が危ないぞぉー」
とおっしゃるKさん。

 なんで…?

私をはじめとした複数の聴き手が、
その理由を尋ねる間もなく、Kさんは次のような説明を。

「SさんがM社に行った(再就職した)」
「Sさんが行った先は必ずつぶれる(倒産する)!」

「Sさんが一番最初に勤めたところはA社で、次がK社。
そのどちらもつぶれた」。

「あの人が行った先は必ずつぶれる!」

「だから、今度はM社が危ない!」と…。

 これって、ひょっとして憶測!?

 では、「憶測」と「億中」は、何がどのように違うのか?

早速、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 朝日文庫の「先進せんしん第十一」 第19章からの引用を主に、始まり、はじまりぃ~♪

 まずは、訓読です。

わく、
かいや其れ庶ちかき乎
しばしば空むなし。
は命めいを受けずして、貨殖かしょくす。
おもんぱかれば則すなわち屢しばしば中あたる。

 次に、その現代訳です。

孔子が言った。
「願回は理想像に近い男だろうね。」
「だが、彼はよく貧乏している」。
「子貢は誰の命も受けないで、金もうけをしたね」
「彼の憶測はよく当たる」と。

 続いて、吉川博士の解説のごく一部です。

・願回は、なにかあるものにちかいだろう。
それが、回也其庶乎、という五字の意味であるに相違ない。

・回也其庶乎の五字は、具体的に何を意味するか。
庶の字が、何かの状態についての完全さの一歩手前にあることを意味することは疑いなく、ちかし、という和訓も、それによって生まれている。

では、何にちかいのか、「ちかい」の補語は何なのか、諸説紛紛であるが、私はまえの条と関連させ、
<中略>
欠点がなく、完全にちかいのは、願回だろうかね、と孔子がいったと見ては、どうかと思う。

・「屢空」、この二字についても諸説があるが、普通の説では、「空」とは経済的な空虚さ、すなわち貧乏と見る。

・願回こそは完全に近い男だが、かわいそうにしょっちゅう貧乏ばかりしている。そういって、次にあらわれる子貢の富裕さと、対比した。

・つぎに、「賜は命を受けずして、貨殖す焉」、
賜とは子貢である。

「貨殖」とは、商業による利殖を意味する。

・不受命の三字については、読み方が一定しない。
<中略>
経済的な環境は、不可知な運命に、しばしば左右されるのに、そうした運命を受けつけずして、金もうけをした、というのが、1つの説である。

そのほかの説として、孔子の命令を受けつけずして、金もうけをした、という説と、君主に仕えてその命令を受領するという境涯に立たずに、自由人として商売をした、という説、などがある。

・おしまいの焉の字は、いつものとおり、その状態が持続的、継続的なものとしてあったことを示す語気である。

・最後の、「億則屢中」、この四字は、もっとも難解である。
億の字は、古注に「是非を億度す」、新注に「億は意度なり」、なにごとかを推測するという動詞だとするのである。つまり、臆測の臆と同じになる。

億にせよ、臆にせよ、つくりの「意」はこころを意味するから、こころのはたらきを意味する動詞が、億であり臆であるには相違ない。

「中」の字も動詞であって、去声に読み、命中、的中を、意味する。

そうして、「則」の字は、いつものとおり、「億する」という前提の行為から、「屢中」という結果が、おこるという関係を示すこと、いうまでもないであろう。

要するに、「億則屢中」の四字は、推測をすればしばしば的中する、と、子貢の頭のよさをほめた言葉となる。

推測の対象が、なにであるかは、明言されていない。
皇侃や邢ヘイは、子貢の推測がよく的中した例として、「春秋左氏伝」に見えた挿話をあげる。
<中略>
しかしまた、「億」の字の対象として、別のものを考えることも、不可能ではあるまい。

上の「命を受けずして貨殖す焉」と連ねて、「億」とは商業的な推測、すなわち投機とも読めそうである。
投機がしばしば的中する、おかしな奴だ、という意味とすることも、一説であろう。

 う~ん、
「吉川博士の解説のごく一部」とはいえ、あまりにも長い!

 つかれたぁ~…。

 もぉ~、ここらへんで店じまいを…、と思いつつも、
このまま放置できぬのがオイラの悪癖(性分)!?

 まずは、「億」とは、「億度」「意度」であり、
なにごとかを推測するという動詞なのか否か…?

 早速、その熟語の意味や、この論語の章に登場する
その他の熟語の意味を『角川新字源』にて調べてみることに。

 すると、「意度」という熟語の記載は見当たらずも、
以下のような熟語とその意味が!

【憶測】おくそく=【億度】おくたく おしはかる。あて推量する。臆測

【屢空】るくう しばしば食料や生活物資に欠乏する。〔論・先進〕「回也其庶乎、屢空」

【貨殖】かしょく 財産をふやすこと。金もうけ。〔論・先進〕「賜不受命、而貨殖焉」

 ちなみに、「屢中」は…?
と同書にて調べてみるも残念、その記載には遭遇できず。

その代わりに、次のような熟語が!

【億中】おくちゅう おしはかってうまくあたる、あてる。〔論・先進〕「億則屢中」

 また、「庶」の字に関する熟語は…?
と同書を検索してみれば、次のことばが。

【庶幾】しょき ①こいねがう。希望する。②賢人。孔子が願回を評して、道に近いと言ったのに基づく。

 う~ん、
冒頭のKさんの話は、あくまで興味本位の当て推量!

すなわち、いい加減な憶測であり、億中とは似て非なるもの!
と私は思う。

 じゃあー、億中と憶測の差、すなわち、その違いは!?

という話と、私(筆者)の億中と憶測についての体験談は、
また後日のお楽しみ!

 では、あなたにお伺いします。

 あなたが「億中おくちゅう」、すなわち推し量れば、
必ず言い当てるもの(こと)には何があります?

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