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2014年2月23日 (日)

「勝残去殺(ざんにかちさつをさる)」解説ページ

1402014 画像は秋田の友人からのプレゼントです。

 「自己都合により退職する」と届け出た
社員の名を、仮にTさんとすれば、その彼、
Tさんの言い分は以下の通り。

「僕が友達に、『M社を辞めるんよ』と言ったところ、
『どうしてあんないい会社を辞めるん!?』と
友達に言われたのですが…。

今のM社は、
いい会社でも何でもありません!

経営者は社員をモノ、

つまりカネ儲けのための道具
と考えているようにしか、私には思えません。

そんなM社には夢も希望も、
未練もありません!

だから辞めるんです」と。

 では、「いい会社」、すなわち周囲の人々から
優良企業と評価されていたM社は、どのような理由や経緯で、
社内外からブラックまがいの企業と評価されるまでに転落して
いったのであろうか…?

というここだけの話は、
後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 朝日文庫
からの引用を主に始まる、以下の「子路しろ第十三」 第11章を
とくとご覧あれ~♪

 最初に、訓読(読下し文)を。

わく
善人ぜんにんくにを為おさむること百年ひゃくねん
た以って残ざんに勝ち殺さつを去るべし。
まことなる哉かなの言げんや。

 次に、現代訳を。

孔子が言った(先生のお言葉である)。
「古い言葉に、『善人でも、百年も国を統治すれば
残忍な人間を感化し、死刑を不要にできる』というけど、
本当だね、この言葉は」と。

 続いて、吉川博士の解説を。

・孔子が古語をあげて、それに賛成した章である。

・「残に勝ち殺を去る」の「残」の字は、「論語」では、
ここだけに見えるが、「説文」ではその意味を、
同子音の「賊」の字におきかえて、「残は賊也」と
訓じ、「賊」の字はさらに、「害する也」、
「人を害する也」などと訓ぜられる。

しからば、「残」とは、横暴なもの、暴力によって
人を害いじめるもの、の意である。
また「殺」は、ここでは死刑、さらには死刑に
該当するような事件、を意味する

・ひとつの侯国の政治を、善人が百年間行ったなら
ば、横暴なものに勝ち、死刑をなくすことができる
であろう、という古い言葉があるが、その言葉は
真実だと、孔子が言った。

・百年は、ひとりの政治家が地位にありうる時間では
ない。それで新注には、「相継ぎて久しきを言う也」。
つまり複数の善人が、つぎつぎに執政となることだとする。

これは私個人の考えであるが、単数の善人が
執政となったならば、百年間は平和が保てる、
というふうにも読めるように思う。

もしそうよむことを許されるならば、善人為邦で
句を入れ、百年の二字は下へつづけて、よめる。

・「善人」という言葉は、<中略> おおむね善意
ある人の意であり、必ずしも最上の人格である
「聖人」とは、同じ概念でないであろう。

「亦た以って残に勝ち殺を去る可し矣」と、
「亦」の字が入っているのも、聖人の政治ならば
きっとそうなるが、善人でも、やはりまず、
と断定を弱める語気のように思われる。

りょうの皇侃おうがんは、ここに注して、
「善人とは賢人を謂う也」といっている。

 あれっ、
吉川博士は個人的見解と断っているものの
次のようにおっしゃる。

「単数の善人が執政となったならば、
百年間は平和が保てる」と…。

 しかし、冒頭のM社には、
この吉川博士の個人的見解は通用しなかった。

 その発端は、かねてから後継者の資質に
疑義を抱いていたメインバンクが、創業者の急死を機に、
素早い行動を開始したのである。

某銀行の支店長は、創業者の告別式の翌朝、
M社を訪れ、後継者に対して以下のように迫った。

「従業員数が多すぎる。
従業員を減らさなければ、融資をストップする」と。

 このメインバンクの脅しに、
未熟な後継者は抗し切れず、
早速、指名解雇へと走ることに…。

つまり冒頭のM社は、メインバンクの横暴に勝てず、
社員を解雇する道を選択したのである。

 その結果M社からは、冒頭のTさんのような社員が、
雪崩を打ったかのように続出するのであった…。

 かくして、創業者が30年間もかけて築いたM社の信用、
すなわち、周りの人々から「優良企業」と評されていたM社は、
一朝にして、ブラック企業への道を歩むのであった…。

 ちなみに、タイトルの語句を
角川新字源』にて検索した結果は以下の通り。

【勝残去殺】しょうざんきょさつ/ざんにかちさつをさる 残忍な人間を感化して、悪いことをさせないようにし、死刑などをいらないようにする。〔論・子路〕

 では、あなたにお伺いします。

あなたの周りの企業で、「勝残去殺ざんにかちさつをさる」、
すなわち、「横暴なものに勝ち、ひとりの社員も解雇しなかった」
というレジェンド(伝説)の経営者を一人、お教えください。

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