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2014年8月23日 (土)

「闕文(けつぶん)」解説ページ

1408044_3 画像は秋田の友人からのプレゼントです。

 今を去ること、
40年ほども昔の話。

とある高校の教諭曰く、

「この試験問題がちっとも分からんからというて、
決して、白紙で提出するなよ。

何か一言でも書いてあったら、
ワシは人情に厚い先生やから、
何ぼか、点をあげるから」と。  

 さて、配布された期末試験の問題を見た

当時の私は、唖然。
茫然自失。

その理由は、
「これ、試験問題に出すからな。
しっかり、勉強しとけよ!」
といった箇所からの出題がされておらず、
それ以外の箇所の記述問題が4問も!

「なんじゃ、こりゃ!?」
と思った私は、答案用紙をすべて空白にて
提出しようという選択肢を…。

などいう続きは後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 朝日文庫
からの引用を主に始まる、以下の「衛霊公えいれいこう第十五」 
第26章を篤とくとご覧あれ~♪

 最初に、訓読(読下し文)を。

わく、
れ猶お史の闕文けつぶんに及およぶ也なり
うまる者もの
ひとに借して之れに乗らしむ。
いまは亡きかな。

 次に、現代訳を。

孔子が言った(先生のお言葉である)。
「私の若い頃には、記録を担当する役人が、
疑わしい点があるときは、書かずに空白にしていた。
また馬を持っている人が、
他の人に貸してやるという風習もあった。
今はこの2つともなくなった。

 続いて吉川博士の解説を。

・「史」の字は、歴史記述、歴史書をいうのが、
後代の普通の用法であるが、古代では史官、
すなわち歴史記述を扱う官吏を意味することが
多い。
内藤虎次郎「支那史学史」参照。
ここも、その意味である。

・「闕文」とは、疑問の文字を、空格にすること
である。

むかしの史官は慎重であり、そうした態度で
あったのを、私自身、この目で見た。

また、もう一つ、この目で見たこととして、
馬を手に入れても、荒れ馬で、よく乗りこなせない
場合は、しかるべき人に貸して、馴らしてもらう、
ということがあった。

過度に自己主張をしないという点で、
「史の闕文」と同じ美徳であったが、
現在ではその風習が、どちらもなくなった。

つまり人人はいよいよがむしゃらになった。
以上古注による。

・朱子の新注もまず楊氏を引いて、
大体同じ説を述べた上、最後に胡氏を引いて、
「此の章の義は疑わし、強いて解すべからず」
と慎重な態度をとっている。

・徂徠は、「闕文」の二字は、「論語」の本文に
空格があったのの標示であり、
「史之」と「也」の間に脱落がある以上、
この章の意味はわからないと、
例によって徂徠らしい一説を立てる。

 んっ、
「過度な自己主張」=「がむしゃら」?

 では、「がむしゃら」とは?
と手元の国語辞典(『新明解国語辞典』)を検索したところ
以下のような記載が。

がむしゃら〔「が」「ら」は接辞、「むしゃ」は「むさ」「むちゃ」と同原〕周囲のおもわくや事の成否などは考えずに自分のやろうとすること思った事を強引にやってしまうことを表わす。「我武者羅」は、借字。

 なるほど、がむしゃらな人=自己主張の強い人=強引な人!
という1つの構図はできあがるが…。

問題は、「馬うまる者ものは人ひとに借して之れに乗らしむ」
の解釈(現代訳)であり、以下のどちらを
選択したらいいものやら…、
と私の悩みは続く。

・荒れ馬を馴らしてもらうために、人に貸す(預ける)のか?
・自分の持ち馬を、無償で人に貸してあげるのか?

上段の場合には「がむしゃら」という響きは通用するが、
後段の解釈(現代訳)になれば、意味は多少異なる…。

ここは1つ、空白(空欄)にでも…(笑)

と思いつつも、人情派の私は、
後者の現代訳を採用したのであるが…。

 次に、吉川博士がおっしゃる
「空格」とは?

と『角川新字源』を検索してみた結果は…。
残念!
「空格」という語句の記載に遭遇できず。

 では、タイトルの「闕文」とは?
と同書(『角川新字源』)を見れば、以下のように。

【闕文】けつぶん ①疑わしい点のあるときは、
文字を書かないであけておくこと。
〔論・衛霊公〕「吾猶及史之闕文」
②文字・語句の脱落のあること。

 さて、冒頭の続き。

答案用紙をすべて空白にて
提出しようと考えた私ではあったが…。

一時の怒りに高校生活の3年間を棒に振っては…、
と気を取り直し、虫食い問題や択一問題に取り組んだ後、
記述問題については、思案した挙句、
「白紙で出すな。何か書いておけ」
という教諭の言葉を真にうけた私は…。

「巷に雨の降るごとく」というポール・ヴェルレーヌ作の
詩の一部、以下の冒頭の部分のみを書いて提出する
という選択肢を採用!

巷に雨の降るごとく
わが心にも涙ふる。
かくも心ににじみ入る
この悲しみは何やらん?

 後日、採点が記された
答案用紙が返ってきた。

 その結果は!?

と興に乗ったところで
残念、紙幅切れ。

 この続きは
後日のお楽しみ。

 では、あなたにお伺いします。

若かりし頃,自信のない問題に対しては、
すべて白紙にて答案用紙を提出した!

とおっしゃる慎重派のあなたの体験談を1つ、
私にお聞かせください。

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