リンク集

« 女器也(なんじはうつわなり) | トップページ | 枉道(おうどう) »

2015年11月22日 (日)

「枉道(おうどう)」解説ページ

1510081 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 「わし辞めることにしたんよ」
というHさん。

「どうして?」と尋ねる私に、
Hさんは以下のように語り始める。

「実はな、わし、K君には
ちょっと色をつけとったんよぉ。

いつも、無理ばっかり
言うとるからなぁ…。

それが、何でか知らんけど、
副社長にバレてもうてぇーなぁー。

それで、副社長が『辞めよ』と言うんで、
しゃあない。辞めることにしたんよ。」と、

Hさんは退職を決意した経緯について
覚悟を決めた顔と声で淡々と語る。

 このHさんを評して、
口さがない人は次のようにのたまう。

「口は〇〇士、心は詐欺師。
世渡り上手の罰当たり」と。

 では、Hさんはついに、
その罰が当たった!?

などという詮索は後段に譲り、先ずは、
『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選5 
朝日文庫からの引用を主に始まる以下の
「微子びし第十八」 第2章を篤とくとご覧あれ~♪

 最初に、訓読(読下し文)を。

柳下恵りゅうかけい、士師ししと為りて、
たび黜しりぞけらる。
ひとわく、
まだ以って去る可からず乎
わく、
みちを直なおくして人ひとに事つこう、
いずくに往くとして三たび黜しりぞけられざらん。
みちを枉げて人ひとに事つこう、
んぞ必かならずしも父母ふぼの邦くにを去らん。

 次に、現代訳を。

柳下恵りゅうかけいは司法長官となって
3度、退けられた(罷免された)。
で、ある人が尋ねた。
「あなたはそれでもまだこの国を去らないのか!?」
柳下恵は答えた。
「正しい道を以て人に仕えれば、
どこへ行っても、3度は退けられることを免れない。
正しい道を曲げて、人に仕えるくらいなら、
どうして魯のくにを去る必要があろうか!?」と。

 続いて吉川博士の解説を。

・柳下恵は、まえの衛霊公第十五(くわしくはこちら
「窃位」解説ページ
にも見えたように、
孔子より百年ばかりまえの、魯の賢人。

・「士師」は、司法官のかしらである。
柳下恵は三度その職に任命されたが、
三度とも罷免された。

ある人がかれにいった、「あなたはまだ
この国を見すてることができないのか」。

柳下恵はいった、「方法をまっすぐにして
人に仕えるかぎり、どこのくにに行った
ところで、三度の罷免を免れまい。

方法をゆがめて人に仕えれば、
罷免にならないであろうが、
それもどこへ行っても同じである。

だとすれば父母のくにであるこの魯のくにを
立ち去る必要がどこにあるか」。

 う~ん、
「柳下恵は3度、司法長官に任命されて、
3度、罷免された」。

とこが、冒頭のHさんは
1度も罷免されることなく、
トントン拍子に出世した。

まず、子会社の責任者に任命されて、
業績を挙げ、工場長に昇格した。

その後、製造部長を経て、
取締役に就任した。

 周りの人々はHさんの出世ぶりを妬んだのか、
Hさんを評して、「風見鶏」とか「詐欺師」などという。

そして当の本人、Hさん自身も、それらの言葉を
否定するでもなく…。否、自認していた。

そのHさんの心の奥の方には、
以下のような自負があった。

「自分は時の権力者や実力者を見抜く眼力、
あるいは嗅覚・触覚が優れており、
それらの人々に取り入ることができる!」。

Hさんはこの能力をフルに活用して3度、
すなわち度々、行動に移して、
昇進・昇格を重ねていった。

たとえば、中途採用で入社したHさんは、
まず、配属された部署の係長に取り入った。

暫くして、当該係長の実力(権力)の程を知った
Hさんは、次にその部署の実力者に取り入った。

それからHさんは、その企業のナンバー2に取り入り、
最終的には、企業のトップ、すなわちオーナー社長に
取り入って、お気に入りとなった。

 ところが、Hさんの嗅覚は年齢と共に衰えたのか、
世代交代の兆しには鈍感であった。

否、この時ばかりは、枉道を自認するHさんが、
直道を選択した!?

すなわち、次期オーナー社長の
人となりを見抜いたのか、
Hさんは彼に尻尾を振らなかった。

否、彼、次期オーナー社長に
Hさんは嫌悪感さえ抱いていた。

 以心伝心!?
次期オーナー社長のKさんも
それを敏感に察した(感じた)のか?

それとも、社内に巣食う政治家に踊らされたのか、
Kさんは、Hさんを「黜ちゅつ」、すなわち、しりぞける
選択をして、行動に移した。

かくして、Hさんは路頭に迷う(かもしれない)道を
選択したのであった…。

 一方、この暴挙を首尾よく成し遂げた
Kさんは、次に!

という続きは、
またの機会に譲り、タイトルの語句他を
角川新字源』にて検索した結果は次の通り。

【枉道】おうどう ①正しい道をまげて、
人にこびる。〔論・微子〕
②まわり道をする。

【直道】ちょくどう ①正しい道。〔論・衛霊公〕
「斯民也、三代之所以直道而行也」

【柳下恵】りゅうかけい 春秋時代の魯の大夫。
姓名は展獲、字あざなは禽きん
賢人で物事にこだわらず、
孟子もうしに「聖の和」と評された。
柳下という地がその知行地で、
死後、恵とおくり名されたので、
柳下恵という。

【士師】しし 官名。古代の裁判官。司法官。

【黜】チュツ 意味(形声。音符出シュツ→チュツ)しりぞける(しりぞく)(退)。しりぞけられる。

 では、あなたにお伺いします。

「枉道」、すなわち「正しい道をまげて人にこびる」人が
あなたの周りには、何人いらっしゃいます?

それらの人々は、どのような経緯で、
「枉道」を往くことになったのでしょうか!?

« 女器也(なんじはうつわなり) | トップページ | 枉道(おうどう) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「枉道(おうどう)」解説ページ:

« 女器也(なんじはうつわなり) | トップページ | 枉道(おうどう) »

2024年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック

無料ブログはココログ