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2016年1月24日 (日)

「将命(めいをおこなう)」解説ページ

1510102 画像は池田修三展からの1枚で、
秋田の友人からのプレゼントです。

 さて、社長室にて上司のTさんと
内密な打合せをしている最中に
突然、内線電話の呼び出し音が。

徐に、受話器を取ったTさんは、
発信者(取次の者)の声に耳を傾けた後、

不機嫌そうな顔と声で、
次のようにおっしゃって、
受話器を置く。 

「『居らん』言うてくれ」。

かと思えば、上司のTさんは
時と場合に応じて、以下のような使い分けも。

「『ちょっと待っとてくれ』
言うてくれんか」

と、「将命者」、すなわち「命を将おこなう者」、
つまり取り次ぎの者に、優しい声で答える。

 この違いが、何かといえば!
などという話は後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選5 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の
「陽貨ようか第十七」 第20章を篤とくとご覧あれ~♪

 最初に、訓読(読下し文)を。

孺悲じゅひ、孔子こうしを見んと欲ほっす。
孔子こうし、辭するに疾やまいを以ってす。
めいおこのう者ものを出づ。
しつを取って歌うたい、
れをして之れを聞かしむ。

 次に、現代訳を。

孺悲じゅひが孔子に面会を求めた。
孔子は病気だといって会おうとしなかった。
取り次ぎの者が戸口を出るのを見計らい、
孔子は瑟しつをとって歌い、
孺悲じゅひにその声を聞かせた。

 続いて吉川博士の解説を。

孺悲は人名であり、古注に「魯の人也」。

「史記」の「弟子列伝」には見えないが、
「礼記」の「雑記ざっき」下篇には、

魯の哀公の命令により、孔子について
「士喪礼しそうれい」を学び、

その聞き書きを文献にしたと、
この人物についての記載がある。

この人物が、あるとき孔子に会見を
希望した。

事情・理由は、不明であるが、
孔子はかれに会いたくなかった。

それで、病気といって断った。
孔子は本当は、病気でなかった。

それで「命を将おこのう者」、とは
取り次ぎの者であるが、

それがドアを出て行って、
断りの言葉を述べたと思うころ、

「瑟しつ」というのは、
一種の琴であるが、それを引き寄せて、

うたをうたい、うたごえが、孺悲の耳に
はいるようにした。

実際は病気でないことを知らせ、
今日わたしが会わないのは、

別の事情、おそらくは孔子に
会見を拒絶させる原因が、

孺悲のほうにあるという事情を、
婉曲に知らせ、反省をさせたのである。

まえの条くわしくはこちら「言不盡意」解説ページ)
いうように、「言うこと無き」孔子の、
一つの場合であった。

 さて、孔子は、「会見を拒絶させる原因が、
相手にあるということを婉曲に知らせ、
反省させた」というのであるが…、

冒頭のTさんは、初対面の人とは
なぜか会いたがらなかった。

で、命を将おこなう者、すなわち取次の者に、
「『居らん』言うてくれ」と言い、
初対面の人には、居留守を使って、
門前払いをくわせた。

つまり、Tさんに初めて会おうとする人には、
「紹介者が必要だ!」ということを
知らしめるための、Tさん流の婉曲な
意思表示だったのかもしれない。

また、「『ちょっと待っとてくれ』言うてくれや」と
Tさんが取次の者に答える面会者の場合は、
親しい間柄の人々や目下の知人に限られた。

そして、その場合は、内密な話の中身、
すなわち話の内容が重要で、そちら(内密な話)に
優先権がある! と判断されたときでもあった。

が、Tさんはその内密な話に集中しすぎてか、
面会者がしびれを切らしそうになるときが
しばしばあった。

そこで、命を将おこなう者、すなわち取次の者が、
「○○様がお待ちですが…」
と再度、内線電話をかけてくる。

すると、Tさんは取次の者に、再び、
「ちょっと待っとってもろうてくれや」
と答える場合と、以下のようにおっしゃるときが。

「よっし。後は、お前に任せる。
お前が好きなようにせぇー。」と私におっしゃった後、

取次の者には、「上がってもろうてくれや」と
とおっしゃり、来客を社長室へといざなう。

 一方、社長室を後にした私はといえば、
そんなとき、すなわち、上司のTさんから
私に一任された場合であっても、
相手(サプライヤー)には、必ず(といっていいほど)、
次のように伝える。

「社長が『そうしてもらえや』と言いよるんやけど…。」
と私は言い、天の声を活用することを忘れなかった。

それが私のバイヤーとしての
常套句の1つでもあった。

 あれっ、
これって、ひょっとして…。

私は「将命」、すなわち命を将おこなう者、
つまり、私は単なるメッセンジャーボーイ!?

 ちなみに、『角川新字源』にて
タイトルの熟語を検索した結果は以下の通り。

【将命】 意味一.しょうめい 将軍の命令。
意味二.めいをおこなう 命令を承って取り次ぐ。
将は、奉の意。〔論・憲問〕「童子将命」

 では、あなたにお伺いします。

「将命めいをおこなう」、
すなわち「命令を承って取り次ぐ」場合、
あなたが一番大切にしていることは何でしょうか!?

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