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2016年4月24日 (日)

「没世(ぼっせい)」解説ページ

1603191 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 「あの瞬間(とき)、わしは、
『死ぬるときは、こうやって
死ぬるんやろうなぁ…』と思うたわい」と、
オーナー社長のTさんがおっしゃる。

で、私は次のように尋ねる。

「気分が悪くなったので、
社長室のソファに横になられたのですか?」と。 

すると、T社長は
以下のように答える。

「そうよ。
机の前に坐っとったら
ちょっと頭がフラフラしだしてのぉー。

それで、ソファに横になったんやけど…。
その瞬間、これが、『死ぬる』ということかいのぉー、
と思うただけで、その後のことは何も、
もぉー、覚えとらん。

死ぬる時は、きっと、こんなような風にして
わしは死ぬるんやろうのぉ…。」

と、T社長は、自身が世を没えるであろう、
と思われる時のことを、自らの体験を通して
感慨深げに語るのであったが…。

 では、世を没える、
すなわち、「没世」とは!?

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の
「衛霊公えいれいこう第十五」 第20章を
とくとご覧あれ~♪

 最初に、訓読(読下し文)を。

わく
君子くんしは世を没おわるまで
しょうせられざるを疾にくむ。

 次に、現代訳を。

孔子が言った(先生がおっしゃいました)。
「教養人は生きている間に、
名声が得られないことを恥じとする」と。

 続いて吉川博士の解説を。

・「没世」とは、その人がすでに亡くなった
のちの死後のことである、と皇侃の「義疏」
には説くが、この説はむしろ有力ではない。

この世の生を没おわるまで、つまり生前の
うちに、なんらの名誉をもたないのを、
君子はきらう、と読む説のほうが
有力でもあり、妥当である。

子罕第九の、「四十五十にして聞こゆること
無くんば、斯れ亦た畏るるに足らざるのみ」
と考え合せるとき、一層そう思われる。

・清の銭大昕せんたいぎん
「十駕斎養新録じゅうがさいようしんろく」には、
いろいろと証拠をあげて、名誉は君子の
忌避すべきものではないことを説いている。

さらにまた「史記」の「世家」では、
孔子がその死に先立ち、
一生の結論として、「春秋」の著作を
はじめようとするときの言葉として、
この条を引く。

また「史記」は、「伯夷はくい列伝」第一にも、
この語を引く。

 さて、どうでもいいようなこと、
しょうもない・些細なことにこだわり、
徒に、時間とエネルギーを浪費して、
紙幅を汚すのが、小生(筆者)の悪癖。

 悪癖その1.吉川博士は、
「君子は生前のうちに、
なんらの名誉をもたないのを、
きらう」とおっしゃるけど…。

「名誉」と「名声」とは、どのように違う?
と思い、『角川新字源』を見てみれば、
以下のような熟語と、その意味が。

【名論】めいろん ①名誉。名声。
②すぐれた議論。

 では、「名誉=名声」か?
と、『広辞苑』を見れば、以下のように。

めいせい【名声】ほまれ。よい評判。
「名声を博する」

めいよ【名誉】①ほまれあること。
よい評判を得ること。ほまれ。

どうやら、「名誉=名声」にて
問題・悩みは、解決!?

 次に、「疾」は、「きらう」か「恥じる」か?
と、『角川新字源』を見れば…。

【疾】シツ 意味⑥やむ(病)。
ア:病気にかかる。いためる。
イ:なやむ。うれえる。心配する。
〔論・衛霊公〕「君子疾世而名不称焉」 

 あれっ、
この辞書によれば、「疾」は「にくむ」ではなく、
「やむ(病)」、すなわち、「なやむ。うれえる。
心配する」?

 では、他の参考書(「論語」と名のつく本)には
どのように? と手元の文庫本2冊を見れば…。

いずれも、「にくむ」と訓読して、
「悩みとする」「悪にくむ」という現代訳が。

ちなみに、「悪にくむ」とは、『角川新字源』によれば、
「好」の対義語で、「たいそういやがる」意味だと…。

じゃあ、「疾」は、「にくむ」と読んで、
その意味は、「きらう」でも、「恥じる」でも
OK・ノープロブレム! 
なのかなぁ~…?

 また、「没世」とは、「その人がすでに亡くなった
のちの死後のこと」か、あるいは、「生前のうち」か?
と、『角川新字源』を見れば、以下のような記載が。

【没世】ぼっせい 一生涯。終生。生涯を終える〔論・衛霊公〕「君子疾世而名レ一不称焉」 同義語:没歯。

どうやら、この一章の「没世ぼっせい」とは、
「生涯を終える」まで=「生前のうち」に
であり、死後のことに非ず。

 さて、お待たせ。
冒頭のT社長の評判・名声やいかに?

 T社長は、生前に名声を博した人?
すなわち、「生前の偉業や名誉・名声が
後世まで、語り継がれる人物だったのであろうか…?

ちなみに、当の本人は、
「名を称しょうせられざるを疾にくむ」、

すなわち「生前のうちに、なんらの名誉を
もたないのをきらう」人であったのかといえば、

私は、T社長からそのような悩みを聞く機会も、
また、会社の行く末や家族のことを心配して
患えることも無かったように記憶しているが…。

 そのT社長が、とある日、
私に次のような話を。

「おまえな、『虎は死して皮を留め、
人は死して名を残す』、

あるいは、『虎は死んで皮を残し、
人は死んで名を残す』というけどやな、

「死んだら終わりよ。

なんぼ、『ええ人やったけどなぁ…』
と周りの人々から言われてもやな、

『死んでも、何も残ってなかった。
あったのは借金だけやった。』
と言われるのも、また辛いもんよのぉー。

企業もそれと同じやっ!

潰れてしもうた後でやな、
なんぼ、『ええ会社やったけどな…。』と
言われても、会社がつぶれてしもうたら、
お終いよ!

だから、せいぜい値切って、
原価を下げる努力をせないかん!

それもやな、会社が元気なうちに
わしが生きてるうちにやな、
『業界一の値切り屋』と言われるように
ならんとのぉー。

わしが死んでから、会社が潰れてから
そう言われても、何もならんぞっ!

だから、今の内、会社もわしも元気なうちに、
お前は一所懸命頑張って、『えげつない奴』と
言われるような人間を目指すことよっ。

 それとやなぁ…、
「立つ鳥、跡を濁さず」というけどやな、

先日亡くなった、S社のM社長のように
「何もなかったように、静かに、眠るように、
死ぬるのも、ええことはええやけどなぁ…。

死んでからでも、『あの人のお蔭!』と
言われる方が、ええわいのぉー。

死んでからも、糞味噌にけなされるのは
堪らんけんのぉー。

企業もそれと同じよ。

もし、倒産でもしたらやな、
それこそ、大変ぞっ!

会社が順調に行きよるときには、
何ぼ、ええように言われていてもやな、
潰れてしもうたら、糞味噌に言われるぞっ。

だから、潰さんようにせにゃいかん!

そのためには、原価を下げて
儲ける努力をせんとのぉ!

それからの、お前はやな、
『業界一の値切り屋、東田!』
と言われるような人間を目指すことよっ。」
と、T社長は話を終える…。

 では、あなたにお伺いします。

「没世ぼっせい」、すなわち、生前の内に、
あなたはどんな評判や名声を得たいのでしょう?

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