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2016年9月 3日 (土)

「能勿労乎(よくねぎろうことなからんや)」解説ページ

1604131 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

「お前、聞いたか?

常務はいつもあれやけんのぉ…。

『徹夜したんかぁ?
朝飯を取ろうか?』やとっ!

普通(の人)は、言うやろっ?

『徹夜したんか? ご苦労さん!」と。

それが、常務の場合は、
『ご苦労さん』の一言もなく、
いきなり、『朝飯取ろうか?』やけんのぉ…。

ホント、嫌になるし、
遣り甲斐ものうなるぜっ!」

と、Tさんは苦虫を噛み潰したような顔で
私に語り掛ける。

 一方の私はと言えば!
という話は、後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の一章
(「憲問けんもん第十四」 第8章)を篤とくとご覧あれ~♪

 最初に、訓読(読下し文)を。

わく、
れを愛あいす、
く労ねぎろうこと勿からん乎
ちゅうなり、
く誨おしうること勿からん乎

 次に、現代訳を。

孔子が言った(先生がおっしゃいました)。
「愛するからには、
ねぎらわずにおれようか。
誠実であるからには、
指図・指南をせずにおれようか」と。

 続いて吉川博士の解説を。

・愛するというからには、
ねぎらい、いたわらずにおれようか。

ねぎらわず、いたわらないのは、
真実の愛でない。

・人に対して忠実であろうとする以上、
教訓忠告をせずにおれようか。

教訓も忠告もしないのは、
真の忠実ではない。

 この吉川博士の解説によれば、
冒頭の常務は、人間失格!?

もう少し詳しく言えば、
この人(常務)は、部下に対する愛情にも、
また、職務に対する忠実性にも
欠けている(疑問・問題がある)人になるが…。

 では、他の人(博士)は、この一章について
どのような解説・解釈を? と、

『論語新釈』(講談社学術文庫)にて、
宇野哲人博士の[語釈]を見てみれば、
以下のような語句とその意味(説明・解釈)が。

○能く労ろうすること勿からんや
=苦労させずにはおかれない意。

○能く誨をしふること勿からんや
=誨おしえずにおかれない意。

 あれっ
「労」とは、「苦労」させるという意味…?

 じゃあ、金谷 治博士は?
と、『論語』 岩波文庫を見れば、

「労する」と読んで、「はげます」という
現代訳が付してあり、以下のような注釈が。

はげます―「労とは勉なり。」の
読み方による。
新注では「骨折らせる」。

 う~ん、
「労」とは、
「ねぎらう・いたわる」意味なのか?

それとも、「はげます」、「骨折らせる」意味なのか?
と、『角川新字源』を見た結果は以下の通り。

【労】ロウ
・意味一.④ほねおる。くるしむ。ほねおり
・意味二.①ねぎらう。いたわる。たすける。はげます。

 おぉー、
この辞書(『角川新字源』)によれば、
「労」には、二通りの意味がありそう。

で、意味一、ならば、
冒頭の常務は、人間失格の烙印を
押されずに済みそう。

そこで、同書(『角川新字源』)にて
ねぎらう」の同訓意義を見てみると…。

以下の2つの語句とその意味が。

・【犒】コウ 軍隊に飲食物を給してねぎらうこと。犒

・【労(勞)】ろう ご苦労でしたといたわること。

 おっ、
この「ねぎらう(犒コウ)」ならば、
冒頭の常務は合格!!!

すなわち、人間失格からは
免れることになる。

その理由は、といえば、

彼は「朝飯を取ろうか?」と言い、
現場の兵隊(2人の人間)に
「飲食物を給してねぎらう」という
はからいを、実行に移そうとしたのであるから…。

 一方のTさんはといえば、
スーパーマン!?

彼、Tさんが、どのような超人であるかと言えば、
彼は、自ら営業、すなわち、くだんの案件を
受注してきて、それを設計、図面化して、
自ら、組み立て配線を行っていたのである。

また彼、Tさんは、この現場の責任者であり、
当時の役職は課長。

 ちなみに、当時の私はといえば、
途中入社の新人で、入社3か月頃。

余寒が残る時期の話で…。

 Tさんは定時、すなわち5時半過ぎに、
現場に降りて来た。

そして、私の仕掛品、
すなわち私が組立配線をしている半製品を見て、
現場の係長に次のように言う。

「明日、お客さんが立会検査に来るけん、
今日中に仕上げとかんといけん」と。

この話を聞いて、
現場を仕切る係長は次のように。

「今頃、そんなことを言われても…。」
と言い、われ関せず!という態度。

で、当時、彼(係長)の下にいた5人も、
係長と一緒に、職場を後にした(帰っていった)。

かくして、Tさんと私は
2人で徹夜する羽目に…。

 この事態に、Tさんは嫌気がさしたのか、
それとも、「これ幸い!」と判断したのか、
次のように言い、即、行動に移した。

「ちょっと、酒買うてこうわい。」
と、言ったが早いか、

Tさんは近くの酒屋まで歩いて行き、
一升瓶とつまみの入った袋を下げて
帰ってきた。

その後、彼は2階の休憩室(食堂)に上がり、
湯呑を2つ携えて降りて来た。

そして彼は言う。

「今晩、この一升で持つやろうか?」
と、私に尋ねはしたものの、

この半製品が、今夜中に完成するのか、否か?
については、尋ねもしなければ、
また心配する素振りさえも見せなかった。

 かくして、翌朝、一升瓶は空になり、
また仕掛品も、立ち合い検査を受けることが
可能な程度までには仕上がっていた。

そこ、その場に現れたのが、くだんの常務であり、
彼はいつもの通り、定刻(8:30)の1時間前に、
出勤してきた。

そして、この事態を知った彼(当時の常務)は
冒頭の言葉を発したのであるが…。

 彼、当時の常務は、名前に「忠」という字を
冠しているにもかかわらず、彼の口からは
以下のような教訓も忠告も発せられなかった。

「酒臭いやないか!
お前ら、飲酒しながら作業したんか!?」

などという叱責も、また飲酒しながらの作業は
就業規則に違反する行為である!

などと、彼、常務は、
誨えようともしなかった…。

 ちなみに、「おしえる」の同訓意義を
角川新字源』にて検索した結果は、以下の通り。

・【誨】かい 当面の指図・指南をいう。
「教」のほうは、つねづねの指導をいう。
〔論・為政〕「誨女知之一レ乎」

・【教】きょう 上から下に教える。
教えて納得させる。教化。

・【訓】くん 人の気持ちに従って導き教える。
また、物事の道理やすじ道をゆっくり説き
いましめる。

 この朝、常務の口からは、
「朝飯取ろうか?」という声は耳にしても、

職場内にて飲酒作業をした件については、
お咎めも、ましてや「誨」も「教」も「訓」も
私は聞くことも、また機会もなかった…。

だとすれば、当時の常務は
管理者として、否、人間として失格!?

 では、あなたにお伺いします。

あなたの上司の「愛と忠」に関する度合いを
百点満点で評価するとすれば、
それぞれ何点になりますか?

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