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2017年1月29日 (日)

可得而聞也(えてきくべきなり)

1610104 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、「先代の教えを
皆(社員)に伝えるのが、
あんたの役目やからな!」
とSさんは私におっしゃるが…。

この言葉の裏には、
以下のような言葉が隠されている。

・先代のオーナー社長に仕えた人々が、
今ではあんた(私。筆者)一人になった。

つまり、他の幹部社員は
辞めてしまって居なくなった。

・だから、あんた(私。筆者)には、
先代の教えを皆(社員)に伝える
責任と義務がある。

・「以心伝心」、
すなわち「無言のうちに、相手に分からせる」

という手法を駆使するのではなくて、
積極的に、言葉を発して、先代の教えを
皆(社員)に伝えよ!

いうのであるが…。

 そういえば、とある日、
先代の後継者も私に、次のようなことを。

「(息子の)わしよりも、(他人の)あんたの方が、
親父(先代)と接していた時間が長いんやからなぁー。」

というのであるが…。

この言葉の裏には、
次のような言葉が隠されている。

先代の教えが、親から子へではなくて、
親(先代)から社員の一人(私。筆者)に
伝承された!?

つまり、先代は血縁関係よりも、
地縁関係ならぬ、社縁関係を優先させた、
という件(くだり。否、皮肉、やっかみ?)になるが…。

当の本人、すなわち当時の私(筆者)には、
そのような意識や考えなど毛頭なかった。

が、周りの人々はそのような目で
当時の私を見ていたのかもしれない。

で、時には(必要に応じて?)、
私はそのような言葉や扱いを受けた。

その卑近な一例としては、
次のような宴席での会話が。

とある企業のオーナー社長Tさんが、
驚いたような口調で、
以下のような問いを私に。

「あんた、Wさん(先代の性)とは、
親戚でも何でもないんな!?

縁もゆかりもない(縁戚関係がない)人、
赤の他人なん!?」と。

この問いに対して、私は即座に、
次のように答えた(答えることが出来た)。

「はい、私とW社長とは、
縁もゆかりもない赤の他人です。」

が、冒頭のSさんのリクエストに対して、
当時の私は、返答に窮した。

その理由の一つは、
前述の通り、

すなわち私にはそのような特別の意識もなく、
また、周りの人々がそのような目で
私を見ていたことにも気づかなかった。

つまり、私は他の幹部社員と同じ立場で、
当時、数人(5、6人)いた幹部社員の中の一人、
ぐらいにしか、私は考えていなかった。

というのも、先代のオーナー社長Wさんは、
事あるごとに、次のようにおっしゃっていた。

「それぞれの部門長が、それぞれの立場で
責任と権限を行使して、社業進展に努めよっ!」

と、おっしゃる通り、オーナー社長の下に、
5、6人の幹部社員が、横一線に並んでいた。

で、「部門間に渡る問題が発生した場合は
合議制で決めよ。」と、先代はおっしゃる。

言葉を換えれば(裏を返せば)、
以下のようにもとれる。

「それぞれの部門に対して、
他の部門長は口出しをするな!

つまり、「それぞれが、自主独立の立場で
切磋琢磨せよっ!」と。

 また、先代は
「ああせぇー、こうせぇー」と、
事細かく指図する人ではなかった。

先代が私に、常におっしゃったのは
以下のような言葉や問いであった。

・「お前、よぉー、考えてみぃ―やぁー」

・『こんな時、社長ならどうするやろうか?』
と考えてみぃー。
そうしたら、答えはすぐわからいやっ」と。

 ところが、とある日のこと、
その先代から私に、以下のような内線電話が。

「忙しいか?
すまんが、ちょっと、来てくれんか?」

とおっしゃるので…。

私が即刻、
社長室に出向いたところ、

親子3人が、困惑したような表情にて
鳩首協議をしていたようで…。

先代はその協議中の内容を、
私に搔い摘んで話し終えた後、
次のようにおっしゃる。

「ということなんやけどなぁー。
どうしたらいい?」と、私に尋ねる。

で、私は即座に答える。

「部門長のMさんはどのように
おっしゃってるんですか?」と。

すると、先代は
次のようにおっしゃる。

「それが、『できん!』と言うてのぉー。
その一点張りなんやがのぉー…
どうしたらいい?」と。

で、私は答える。

「じゃあ、私が行っても、
返事は同じだと思いますが…。

とりあえず、Mさんのところに行って、
事情を聞いてきましょう!」と。

つまり、先代の口からは
「ああせぇー、こうせぇー」という細かい指示は
「不得而聞也(得て聞くべからざるなり)」。

すなわち、細かい指示を
私は聞くことができなかった。

が、先代は相手がアクションを起こしたくなる、
否、起こさざるを得なくなるような問いを
発するのが、得意な人であった。

したがって、バブルがはじけた四半世紀、
すなわち、25年程も前にも、以下のような言葉、

「これは構造不況の問題やからな、
回復には時間がかかるぞっ!」

という言葉は、
「可得而聞也(得て聞くべきなり)」。

が、だから、「どうせぇー、こうせぇー」
という細かい指図は、
「不得而聞也(得て聞くべからざるなり)」。

 もし、私が、「では、どのように対処すれば?」
と尋ねたならば、きっと、次のような答えが!

「どうしたらいいかは、皆と相談してから、
よぉー、考えてみぃ―やぁ。」

と、先代はおっしゃって、

各部門間の連携と協調、
並びに、学習の必要性について、

私は、暗黙の裡に、
聞くことになったであろう!?

かように、先代の口からは
「自発的行動や主体的な考えを促す問いは、

「可得而聞也(得て聞くべきなり)」、
すなわち、聞くことが出来た。

が、具体的な行動についての指示は、

「不得而聞也(得て聞くべからざるなり)」、
すなわち、私は聞くことが出来なかった。

つまり、先代の頭の中には、
以下のような思い、答えがあった?

「答えは相手が持っている!」

「わしが相手(幹部社員)の
思考回路に働きかけたら、

相手は、わしが考えている以上の答えを
きっと見つけてくる!」と…。

 その先代が、とある日、
私に、以下のような言葉を。

「お前な、『あんな方法もある。こんな選択肢もある』
と、お前が言うたらやで、相手(社員)は
どうしたらいいか、分らんなるぞっ!

だからな、『こうせぇ!』と
お前がちゃんと、指示しちゃらんかいっ!」と。

 あれっ、
先代は、私には
以下のようにおっしゃっていたのに…。

・「よぉー、考えてみぃ―やぁー」。

・「困った時にやぁ、
『こんな時、社長ならどうするやろうか?』
と、考えみぃ―やぁ」と。

 さては、先代は
「人を見て法を説く人!?」

それとも、「人を見て法を説かんかい!」
と、先代は私に教えたかったのであろうか…。

 では、あなたにお伺いします。

あなたが、上司の一言に一瞬、戸惑った記憶、
それはいつ、どんな場面で、どんな言葉でした?

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