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2017年2月18日 (土)

「不言不語(いわずかたらず)」解説ページ

1610103 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、かれこれ半世紀、
すなわち、50年程も昔の話。

就業時間が過ぎるや否や、
とある先輩は、私のそばに来て、
突然、次のようにおっしゃる。

「成人、おめでとう!
成人したお祝いを今晩やろう。

俺が奢ってやる!」と。

 で、私はその夜、
彼が通っていた食堂に
初めて行くことに…。

それが土曜日の夜のことで、
翌日は久しぶりに、仕事がお休み。

で、我ら2人は当該食堂の
営業時間内に入店した後、

その店(食堂)のビールがなくなるまで、
飲み明かした(そんな記憶がある)。

その途中で(22時ごろ?)、
店(食堂)は閉店。

で、店主(大将)も加わっての会話中に、
女将さんが、ご主人(店主)に向かって、
次のように尋ねる。

「ねぇー、今晩のおかず(副食物)、
何にする。何がいい?」。

この問いに対して、即座に、
ご亭主は答える。

「お前、ワシと30年近くも一緒に居って、
まだ、わしの好きな物が分からんのか!?」。

この返事を聞いた女将さん、
即刻、以下のように返す。

「夫婦や言うても、
元々は赤の他人やさかいな。

あんたが、何が好きか、嫌いかを
はっきり言うてもらわんと、
私には分からんわいネッ」

と、女将さんは、
ご亭主にやんわりと答える。

と同時に、女将さんは
そのふくよかな顔をほころばせ、

我々二人の方に視線を送りながら、
ニンマリと微笑みかける。

 この時の女将さんの微笑みを
いま、ここで察すれば、次の通り。

ご亭主を相手に、
我々2人を味方につけて、
3対1の数で勝負!

その結果、数の力で、
勝った。勝利した!

つまり、女将さんは、
言いたいことが言えた!

日頃の積もり積もったうっ憤を
晴らすことが出来た!

という満足感一杯の
笑みであった。

 一方のご亭主はと言えば…。

・「男のお喋りはみっともない!」

・「男は黙って○○ビール!」

・「サイレンス・イズ・ゴールデン」。
すなわち、男は寡黙が良い!

・「言わず語らず」が
男の生き様!

と教えられて育った
世代の人間であった。

で、ご亭主は一瞬、
苦々しい思いを顔に浮かべはしたものの、
黙って、サントリービールを飲み干した。

 さて、お待たせ!

では、孔子はどのように?

と、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 
朝日文庫を見てみれば、郷党きょうとう第十には
以下のような一章が。

 早速、同書からの引用を主に、
話を展開していくことに。

 先ずは、訓読(読下し文)を。

ろうに語かたらず。
ぬるに言わず。

 次に、現代訳を。

食事をする時には会話をしない。
寝る時には発言をしない。

 続いて、吉川博士の解説を。

・「語」と「言」は、近似した言葉であるが,
区別すれば、対話が語であり、
ただの発言が言である。

・古注には、注が全くない。

「寝ぬるに言わず」の方はともかくとして、
「食ろうに語らず」は、そのまま読めば、

食卓での会話を禁ずることになり、
あまりにも厳格な教えである。

・徂徠は、解釈して言う、
ここの「語」の字も、先の述而篇の
「子不怪力乱神」の語と同じく
詳しくはこちら 「怪力乱神」解説ページ)

「誨言也」、教訓の言葉という特殊な
意味なのであって、教訓めいた言葉を、
食事のときにはひかえたのだとする。

 ん?
吉川博士は次のようにおっしゃる。

・語=対話
・言=発言

では、『角川新字源』にはどのように?
と検索してみた結果は以下の通り。

・【言】げん 語り合う意でなく、
自分が言い出す。
また、言葉で言い表わす。

ものをいう。
〔論・憲問〕「高宗諒陰、三年不言」

・【語】ゴ/かたる。 かたらう。
なりたち]形声。言と、音符吾(たがいの意→互)とから成り、たがいにことばを
かわす、「かたる」意を表わす。

 おぉ~、
納得 !!!

「言」と「語」の解釈については
吉川博士のおっしゃる通り!

But、吉川博士は、
この一章の解釈については、

「古注には、注が全くない」と言い、
歯切れが悪い。

 じゃあ、
他の参考書(本)には、
どのように?

と『論語新釈』 宇野哲人 講談社学術文庫を
開いて見た結果は、以下の通り。

通釈
「食くらふに語かたらず。
ぬるに言ものいはず。」

語釈
○語る=人の言に答えること。
○言ものいふ=自ら言うこと。

 ちなみに、同書(『論語新釈』)では、
当該一章は、前の章に組み込まれており、
独立した一章としては扱われていない。

 では、前述のご亭主は、
言いたいことを言わずに我慢した!?

すなわち、「食事中には会話をしない!」
という孔子の教えを厳守した!?

また、「寝るときには言ものいはず」という
孔子の教えも守った!(のであろうか…?)

すなわち、我々二人が帰った後で、
このご夫婦は、「不言いわず不語かたらず」を貫き通して、

食事の時間を楽しんだ後、
1つの布団を共にしたのであろうか?

それとも、夫婦仲良く、
語り合った!?

あるいは、各々、好き勝手なことを言い合い、
犬も食わぬ夫婦喧嘩へと発展していった
のであろうか…。

 では、あなたにお伺いします。

「言わず語らず」という言葉を目にしたあなたは、
何(どんなこと)を思い出しましたか?

 << 「不言いわず不語かたらず」解説ページ 附録 >>

 この一章、すなわち、「食不語、寢不言」を見た
私の脳は、次のような反応を。

 あれっ?
「言わず語らず」という文句(語句)を、
どこかで聞いた記憶が!

あれは確か…。

遠い昔(小・中学生の頃?)の話で、
誰か、昔の歌手が歌っていた歌謡曲の中に…?

と思い、私は早速、PCを起動し、
次のように入力してググった。
すなわち、グーグルにて検索した。

言わず語らず 昭和の歌謡曲

 すると、あった!

「高原の駅よさようなら」
というタイトルの曲の中に、
この一節(語句)が!

その1番の歌詞が、
以下の通り。

高原の駅よさようなら: 二木紘三のうた物語より転載。

しばし別れの夜汽車の窓よ
云わず語らずに心とこころ
またの逢う日を目と目で誓い
涙見せずにさようなら

 あれっ、
「言わず」が、
「云わず」になっている!

誤植!?
それとも…。

ちなみに、「いう(いふ)」の「同訓意義」を
角川新字源』にて見てみれば、
以下のような文言(記載)が。

【云】うん 人のことばや、古書の引用や、
伝聞を示す。

〔論・学而〕「子貢曰、詩云、如切如磋、
琢如磨」

ということは(もし、「云わず語らず」であれば)、
この歌詞の意味は以下のようになる。

「ものを言わない(発言しない)」し、
「語り合わない(会話も対話もしない)」
のではなくて、

「人のことばや、古書の引用や、人づてに聞いたことを
語り合わなかった」となるが…。

ちなみに、他のサイトでは、
「いわず」や「言わず」になっている。

 さて、真偽のほどやいかに!?

すなわち、当時の歌詞は、

・「いわず」であったか、
・「言わず」と書かれていたのか、
・それとも、「云わず」と表記されていたものか…?

残念ながら、そこまでの記憶は、
私の頭の中には無く、
また、私は寡聞にして知らない。

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