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2017年2月 5日 (日)

「不説(よろこばず)」解説ページ

1610101 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 25年ほども昔の話。

とあるコンサルタントによる
社内研修での一コマ。

その外部講師(コンサルタント)が、
突然、私に、次のような質問を。

「常務の趣味は何ですか?」

で、私は答える。 

「ゴルフと古典を読むぐらいですかねぇー」
と在り来たりの返事をする。

すると、講師は以下のような言葉を。

「ほぉー、
素晴らしいですねぇー。
古典を読んでおられるのですねぇー」。

で、私は
照れ笑いを浮かべながら
次のように答える。

「いやぁー、
読むというよりも、かじる。

すなわち、『知らないことを知る楽しみ』を
味わうという程度ですかねぇー」と。

すると、くだんの講師は、
その場に居た全員に伝えるかのように
次のような言葉を発する。

この言葉を耳にした
私は不説(説よろこばず)!

講師がどのようなことを言ったので、
私は不満をかこち、不機嫌な顔つきに
なったのか!?

という話は
後段のお楽しみ!

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の一章
(雍也ようや第六 第28章)を篤とくとご覧あれ~♪

 最初に、訓読(読下し文)を。

、南子なんしを見る。
子路しろよろこばず。
夫子ふうしれに矢ちこうて曰わく、
れの否しからざる所ところの者ものは、
てんれを厭てん、天てんれを厭てん。

 次に、現代訳を。

先生(孔子)が、
南子(衛の国王の夫人)に、お会いになった。
弟子の子路は不満であった。
先生が子路に誓って言った。
「もし、私の行為がよくないものであったならば、
天は私を見捨てる。天が私を見捨てるであろうよ」。

 続いて、吉川博士の解説の一部を。

・南子なんしとは衛えいの霊公れいこうの夫人で
ある。もと宋そうのくにの姫君であるが、

さとにいた時から不品行を取り沙汰された
淫乱の婦人であった。

にもかからわず、孔子は衛のくにで、
この婦人に謁見した。

<中略>

・「子路説よろこばず」。この謁見に対し、
子路は大変不機嫌であった。

「夫子之れに矢ちこうて曰わく」。

「矢は誓也」であり、
子路の不機嫌に対し、孔子がきっとなって、
いった言葉であるにちがいないが、

予所否者、天厭之、天厭之、
という誓いの解釈は、諸説紛紛である。

しばらく朱子の新注によって解釈すれば、
もしも私のしていることが道にはずれたこと
であるならば、天から見放されるあろう。

つまり、この謁見も、自分としては、
自分の考えがあってしたことであって、
道にはずれたこととは思っていない。

もし道にはずれたことであるならば、
天が見すてる。

おまえが見すてるよりさきに、
天が見すてるであろう。

最後の判断は、天にまかせる。

<後略>

 うん?
吉川博士は、「子路説よろこばず」を
「子路は大変不機嫌であった。」と
訳しておられる。

では、『角川新字源』にはどのように?
と【説】の字を検索してみれば…。

「意味🈪」には、「よろこぶ」とあり、
巻末の「同訓意義」を見よと。

で、巻末の「同訓意義」を見た結果、
よろこぶ」には、9つの漢字が!

その中から、次の2つの
よろこぶ」のみを、転載することに。

・【説・悦】えつ 気に入って喜ぶ。
心に満足してうれしく思う。

したがって「悦服」というが
「喜服」とはいわない。

また、「喜事」というが、
「悦事」とはいわない。

・【喜】き 「怒」の対。うれしがる。
きげんがよい。

 あれっ、
この辞書によれば、

「説」は、「不機嫌」よりも、
「不満」の方が、適訳なのになぁ…。

また、「矢は誓也」とおっしゃるので、
同書(『角川新字源』)にて検索してみれば…。

【矢】シ/や 意味③ちかう。同義語:誓・質。

 OK、納得!
「矢=誓」にて。

でも、「質」も
「ちかう」?

と、少しだけ脱線して、「質」という語句を
同書(『角川新字源』)にて検索してみた
結果は次の通り。

【質】🈩 🈔シ 🈪シツシチ
意味🈪①ちかいのしるし。ちかい(盟)

 う~ん、
また1つ、私は
賢くなってしまったぁ~。

 次に、「予所否者」と「天厭之」を
角川新字源』にて検索してみるも、残念、
遭遇できず!

前者(「予所否者」)は理解できるものの、
後者(「天厭之」)の「厭つ」が…?

と思い、『角川新字源』にて
【厭】を検索してみた結果、

「厭」=「すつ(すてん)」という、
読みにも、またその類の意味にも
遭遇できず。残念!

 では、ではと、
『論語新釈』 宇野哲人 講談社学術文庫を
見れば、以下のような記載が

[語釈]
○厭つ=棄て絶つこと。
○天てんこれを厭たん=之は「予」をさす。

 また、同書(『論語新釈』)には、
「所否」を「すまじき所」と読み、
以下のような語釈が。

○すまじき所=礼に合わず道に由らない所をいう。

ちなみに、『角川新字源』には
「厭=たつ=棄て絶つ」という読みにも、
またその類の意味にも、遭遇できず。

で、私は「説よろこばず」!

すなわち、少々、「不満」を託かこちながら、
冒頭の続きを。

 さて、件くだんの研修講師は
参加者全員に向かって、
以下のようにのたまう。

「常務のような人(上級管理者。難しい顔をした人?)
でも、私が声をかけて、褒めてあげれば、悦ぶし、
顔もほころぶでしょ!

ですから、皆さんも、
部下や同僚・後輩に対しては
声かけを躊躇ためらわない、欠かさないこと。

そして次に、その人の良い所を見て、
さりげなく褒める!

という細やかな心配りを皆さんが、
今日から、心がけて実践すれば、
社内は活性化して、業績もアップしますよっ!」と。

 この一言、
すなわち、以下のような語句を
耳にした私は、説よろこばず!

「常務のような人でも
褒めてやれば、悦んで、顔もほころぶ。」

とは、なに!?

具体的には、
どのようなこと(意味)で、何が言いたいの?

・常務のような人とは、どんな人!?

・私はブタ!?

すなわち、私は「褒めれば、(ブタも)木に登る」
類の人間!?

もう少し、解り易く言えば、彼、
すなわち件くだんの研修講師の一言に対して、

当時の私の頭の中には、
以下のような不満が!

・私にレッテルを貼っている!?

・一般化、すなわち、私個人を、
一括りにして、評価しようとしている!?

と感じた私の頭の中は、そんな不満が充満して、
次第に不機嫌になっていった…。

 では、あなたにお伺いします。

あなたは誰のどんな一言で、説よろこんだり、
また、説よろこばず。

すなわち満足して悦よろこんだり、
また不満を覚えて、不機嫌になるのでしょうか?

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