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2017年7月 2日 (日)

「硜硜然小人哉(こうこうぜんとしてしょうじんなるかな)」解説ページ

1706182 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、Kさんが次のように。

「受付でもらった図書カードは、
会社にもらった物やから
金庫の中に入れんとかんといけん。
あの図書カードはどこにある?」と私に尋ねる。

この問い(言い種)に、
私は一瞬、「ええっ!」と
言い出したい感情を抑えて、

「所詮しょせん、この男はこの程度か。」
と思い直し、次のように返す。 

「わかりました。
後でお持ちしましょう」。

 で、どうした!?
という話は後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の一章、
子路しろ第十三 第20章の中程の条をご覧あれ~。

最初に、訓読(読下し文)を。

わく、敢えて其の次つぎを問う。

わく、宗族そうぞくは孝こうを称しょうす、
郷党きょうとうは弟ていを称しょうす。

わく、敢えて其の次つぎを問う。

わく、言げんかならず信しん
おこない必かならず果

硜硜然こうこうぜんとして小人しょうじんなる哉かな
そもそも亦た以って次つぎと為す可し。

 次に、現代訳を。

弟子の子貢がいった。
「思い切って、その次(「士」の2番目)をお尋ねします」。

孔子が答えた。(先生は次のようにおっしゃいました)。
「一門の人々からは、『親孝行者だ』と称賛され、
村里の人々からは『よく目上の人々に仕える男だ』と
称賛される者。それが、その次(2番目の「士」)だね」。

弟子の子貢がいった。
「思い切って、その次(3番目)をお尋ねします」。

孔子が答えた。(先生は次のようにおっしゃいました)。
「言葉には信頼がもて、
行動に決断力がある。

堅苦しくつまらない人物ではあるが、
まあ、それでも、その次(3番目の「士」)に
位置付けてもいい人物であろうよ」と。

 続いて、吉川博士の解説を。

・子貢。よくわかりました。

それが理想型であるとして、その次に
位する者の条件を、おたずねしてよい
とすれば、おたずねいたしたく思います。

孔子のこたえ。

「宗族」とは、広範囲の同姓の者が一族と
された当時において、それを指す言葉で
あるが、それら宗族の者たちから、「孝」

すなわち親に対する道徳であるが、
それを中心とする道徳者だと呼ばれる。

また一万二千五百軒が「郷」であり、
五百軒の部落が「党」であるが、

そうした地域全体からは、「弟」すなわち
兄弟に対する友愛、それを中心とした
道徳者であると呼ばれる者が、
その資格を持つ

・子貢。もう一つ次のものを
うかがってもいいでしょうか。

孔子。言葉には必ず信頼がもて、
行動は必ず果敢である。

窮屈にかど立った小人物ではある
けれども、それをその次のものとして
よいであろう。

・「硜硜こうこう」は憲問第十四に、孔子の打つ
けいの音の印象を、ある人が批評した語と
しても使われている(詳しくはこちら「硜硜こうこう
解説ページ」)。

かど張った印象をいう擬態語である。

・「そもそも」と訓ぜられる「抑」の字は、
句のはじめに来る助字であり、

固定した解釈を与えにくいが、
ここでは判断に余裕をおくものとして、
附加されている。

 おぉー、吉川博士は詳しい現代訳とともに、
以下の5つの語句についても、細かい説明を。

・「宗族」
・「郷党」
・「孝弟」
・「硜硜」
・「抑」

疑り深く、かつ、しょうもないことや
細かな事が気になる私は、

じゃあ、『角川新字源』にはどのように?
と、検索してみた結果は以下の通り。

・【宗戚】そうせき=【宗族】そうぞく 一家。一門。父の系統の親族。

・【郷党(黨)】きょうとう ①むらざと。周代の制度で、五百家を党、一万二千五百家を郷といった。
②論語の編名。

・【孝弟】【孝悌】こうてい よく父母や目うえの人に仕えること。
〔論・学而〕「孝弟也者、其為仁之本与」

・【硜】コウ/キョウ 意味(形声。音符巠(ケイ→カウ)「硜硜こうこう」は、 
ア.かたい石を打つ音。
イ.磬けいという石の楽器の音。
ウ.かたい音の形容。
エ.人物の小さくかたくるしいさいま。
〔論・子路〕「硜硜然小人哉」
イ.いやしいさま。〔論・憲問〕「鄙哉硜硜乎」

・【抑】よく そもそも 
ア.あるいは。それとも。
イ.いったい。さて。
ウ.それにしても。それはさておき。
だがしかし。

 これらの検索結果からは、
多少の差異や細かい語句の異同はあっても、

大勢には影響なし!

と考えた私は、これら5つの語句の意味や
解釈については深く詮索せず、不問に付すことに…。

 あれっ、
吉川博士と
田中角栄元首相は同じ?

どちらも、故人であることに変わりはないが、
「硜硜然小人」であったか、否かについては

残念ながら、私にはそれを判断するための
知識も技量も度量もない。

が、田中角栄元首相の場合は
日中国交正常化に力を尽くした際に、

「言必信、行必果」と書かれた色紙を
故周恩来首相から渡され、喜び勇んで帰って来た人、

すなわち「硜硜然小人哉こうこうぜんとしてしょうじんなるかな
と評された人物、つまり彼は、「第3等の人物だ」と、

どこかの誰かが、記しているのを
私は何かの機会に、どこかで見た記憶が…。

 さて、冒頭の続き。

「会社の金庫に入れとかんといけん!」
とKさんが主張する図書券は、

額面500円の物が1枚のみであった。
が、既に、私の手元にはない。

同行していた部下に、私は
「貰っとったら(貰っとけ)」と言い、

彼の労力に報いるためのほんの気持ち
として、既に、私の手から彼に渡っていた。

で、私は恥も外聞もなく、
彼に、次のようなことを。

「あの受付で貰った500円の図書券な、
『あれは会社の物やから、

会社の金庫の中に入れんといけん』いうて
Kさんが言いよるんやけど、どうした?」

と私は事実のみを告げて、
彼に尋ねた。

すると、彼は次のように。

「ええっ、
あんなもんまで、金庫に!?

随分細かい人ですねぇー。」
と驚嘆の声を上げた後、

「ここにありますけど」と言い、
怪訝そうな顔をして差し出した。

ちなみに、額面500円の図書券を
「会社の金庫に入れる必要がある」と
主張した人物は、

先のリンク先(「硜硜こうこう」解説ページ)にて
ご紹介した人物と同じく、
2代目のオーナー社長であったが…。

 これら2つの卑近な事例のみで、

2代目オーナー社長
=「硜硜然小人哉こうこうぜんとしてしょうじんなるかな

などというレッテルを貼るのは
愚の骨頂。

 では、あなたにお伺いします。

あなたの上司はこせこせとした小人、それとも大人、
すなわち、どっしりと構えた徳の高い人?

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