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2017年10月 8日 (日)

「知徳者(とくをしるもの)」解説ページ

Dsc02083 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、二昔前、
すなわち20数年も昔の話。

とある企業のオーナー社長Mさんが、
私に以下のようなことをおっしゃる。

「ある所へ行きましたら、
購買の担当者が、
こなんことを言うんですわ。

『安かったら、それでいい!』と。

義理も人情も、何にもない話で、
要は、『金・金・金』ですわっ。

つまらん世の中になったもんですなぁ。」
と、お嘆きになる。

 あれっ?
ひょっとしてぇ…。

ある所とは、私が当時勤めていた企業のことで、
購買の担当者とは、私のこと!?

という話は、
後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選4 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の一章、
衛霊公えいれいこう第十五 第4章を篤とくと、ご覧あれ~。

 最初に、訓読(読下し文)を。

わく、
ゆう
とくを知る者ものは鮮すくなし。 

 次に、現代訳を。

先生がおっしゃいました(孔子が言った)。
「由ゆう(弟子の子路しろの実名)よ。
徳のわかる人が、ほとんどいなくなったね」と。

 続いて、吉川博士の解説を。

・子路よ、道徳を認識する者は少ないね。

・諸注多く、前前条(詳しくはこちら「固窮」解説ページ
の、気の早い子路の言葉に対し、
それをたしなめたものと見るが、

そう見ない方が、味わいが深いのでは
あるまいか。

・孔子があるときにはいだいた絶望、
それは絶対の絶望でなく、

魯迅ふうにいえば、虚妄なる絶望、
それを語る相手として、
子路は適当な人物であったのではないか。

 んっ?
「虚妄なる絶望」とは…。

吉川博士は、「(全集十六巻『絶望の虚妄なる』参照)」
とおっしゃるけど、私は生憎、その全集を持ち合わせて
いない。

そこで私は、以下のような
構図を考えてみた。

「絶対の絶望」vs「虚妄なる絶望」

 そして次に、「絶対」とは?
と、『角川新字源』を見てみれば、
以下のような記載が。

【絶対(對)】ぜったい 他物を待って存立するのでなく、完全独立で、無条件、無制限なこと。
英語のabsoluteに当たる。対義語:相対。

 う~ん、
「相対」は分かるけど…。

「絶対」は、難解!

そこで、
「absolute」とは?

と、手元の『英和辞典』を見れば、
以下のような6つの和訳が。

①全くの。完全な
②絶対(的)な
③専制の
④無条件の,無制限の
⑤確実な
⑥〘文法〙独立の,絶対の

この和訳を見て、私の頭の片隅を過ったのは、
次のような気づき(疑問?)。

あれっ、
「絶対」とは、
「all or nothing」!?

 続いて、「虚妄」とは?

と、『角川新字源』にて検索してみた結果は
次の通り。

【虚妄】きょもう/きょぼう 〘仏〙うそいつわり。
実のないのを虚といい、真に反するのを妄という。

 う~ん、
「虚妄なる絶望」とは、
「嘘・偽りの絶望」…?

いかに、気が置けない弟子の
子路との対話であったとしても、
聖人孔子が、嘘・偽りなど言う筈がないし…。

もっとも、孔子は聖人であっても、
完全無欠の人、すなわち「絶対」者ではないが…。

だとすれば、人間孔子が、一時的に気が滅入り、
塞ぎ込んだ時、すなわち憂鬱な気分に陥った時に
感じた挫折感のことを

吉川博士は、「虚妄なる絶望」、
すなわち「虚うつろ(空。気まま)なる絶望」
という魯迅ろじん。Lu‐xunの言葉を引用して、
この時の孔子の心情を言い表わした?

 そういえば、「論語」の中には、
以下のような一条も。

「道みちおこなわれず、
いかだに乗りて海うみに浮かばん」
詳しくはこちら「取材」解説ページ)

吉川博士はこの時の、孔子の心境を察して、
「放恣(気まま)な空想」と訳しておられるが…。

いずにしても、「希望」も「虚妄」も
「絶対的」なものではなく、「相対的」なものであり、

人間は周りの人々や物事、環境に左右される
生き物である!

ということを吉川博士は
おっしゃりたかった?

 ちなみに、吉川博士が引用された、
「魯迅ふうにいえば、虚妄なる絶望」とは?

ネット(詳しくはこちら「絶望の虚妄なること」によれば、

1950年代に魯迅ろじん。Lu‐xunが引用して有名になった
ハンガリーの詩人(ペテーフィ・シャーンドル)の
一節にて、

「絶望の虚妄なること まさに希望に相同じい」
すなわち、「絶望も希望も同じで、虚うつろ(空)なもの」
だと。

 おっ、
だとすれば…。

「般若心経」!?
すなわち「色即是空、空即是色」の世界?

などと、また、また、私は
余計な道草をくってしまったようで…(汗;)

 さて、冒頭の続き。

M社長は、毎年、盆・暮れ時には、
地元の漬物を携え、当時私が勤めていた
オーナー社長を訪ねて来られるのが習わし
であった。

そのついでに、私の所にもお立ち寄りになり、
世間話をした後、お帰りになるのも恒例であったが…。

その狙いは、自社の営業所と
当時私が勤めていた企業との関係性を確認したり、
取引先企業の現状や動向、風向きや、

購買担当者の人となりを、
「自らの目・口・耳と感覚で診る」ことである!?
と私は考えていたが…。

 そのM社長が、
「義理も人情も、何もない話で、金・金・金ですわっ。」

とおっしゃった購買の担当者が、
仮に、私であったとすれば!

私は以下のようなことを。

「そうですか。
そんなお話がありましたか。

おっしゃる通り
「つまん世の中になったもんです」ねっ。

ですが、仮に、購買の担当者が
『義理も人情も、何もない、金の亡者』ならば、

最近の営業パーソンは、『徳』はもちろん、
知識も知恵も常識も何にもない、
無い・無い尽くしの若者ばかりで

面白くも可笑しくも、また、人間としての味わいも
何も無い御用聞きばかりになったもんですねっ。

彼ら営業パーソンは、
「会社の看板を背負って歩いている!」
という教えや考え、自覚など、
毛頭ないのでしょうかねぇー。」

などと、私は余計な一言、
そのときの率直な気持ちを
そのまま伝えていたかもしれない…。

 では、あなたにお伺いします。

あなたは、「知徳者とくをしるもの」、
すなわち「道徳がわかる人」で、
なおかつ、実践している人ですよねっ。

    <<< 「知徳者とくをしるもの」解説ページ >>>

 さて、「知徳者とくをしるもの」とは、
「道徳を認識する者」
と吉川博士は訳しておられる。

 では、『角川新字源』には、
どのように?

と検索してみたものの、次の熟語はあっても
「道徳を認識する者」という記載はない。

【知徳】ちとく ①知恵と人徳。
②知識と道徳。«同義語:智徳ちとく

 そこで、吉川博士がっしゃる「道徳」と「認識」を
角川新字源』にて検索してみた結果は以下の通り。

・【道徳】どうとく ①人のふみ行うべき正しい道。

・【認識】にんしき ②知ること。見分ける。
【認識不足】にんしきぶそく 物事に対する考えがじゅうぶんでない。

 次に、「鮮すくなし」を同書(『角川新字源』)にて
検索してみれば、巻末の付録、「すくない(すくなし)」の
「同訓意義」を見よ、と。

で、見た結果、以下の3つの
すくない(すくなし)」が。

・【寡】か たっぷりとない。寡徳。

・【少】しょう ちっとばかりしかない。
 
・【鮮】せん ほとんどいない。
〔論・学而〕「巧言令色鮮矣仁」

 んっ、
「寡徳かとく(徳が少ない)」という熟語があるならば、
「鮮徳」という熟語は?

とかすかな希望を抱いて
検索してみたものの、残念!

「鮮徳」という熟語を検索してみて味わったのは、
「やっぱりな」、という落胆と虚しさ、
「虚妄なる絶望」感のみ。

 で、気を取り直して、
そもそも、「徳」とは?

と、『角川新字源』にて、【徳】の[なりたち]を見てみれば、
以下のような記載が。

とく(心と、正しい意と音とを示す直チョク→トクとから成る)が原字。
教育漢字(徳)は省略形による。

 おっ、
「徳」とは、
「心が正しい」という意味!?

ちなみに、『論語新釈』(講談社学術文庫 宇野哲人)を
見れば、以下のような記載が。

[語釈]
〇徳とく=義理を悟さとり得たのをいう。

 ちなみに、「義理」とは?
角川新字源』を見れば、以下のような記載が。

①正しいすじ道。
②人が行うべき道理。

蛇足ついでに、「道理」とは、
角川新字源』によれば、

「人のふみ行うべき正しい道」という意味で、
「道徳」と、まるっきり同じ意味。

 じゃあ、
「義理も人情もない人」といえば、

「徳も人情(人間らしい心のはたらき、情け)もない人」
ということになる。

だとすれば、最近のバイヤーも
セールスパーソンも

「人間の皮を被った生き物」
ということになるが…?

なんとなれば、
義理、すなわち、「正しいすじ道」も、

「人が行うべき道理」=「徳」も
認識できない(知らない)」上に、

「人間らしい心の働き、情け」もない
自己中の人たちばかりなのだから…。

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