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2017年12月24日 (日)

「懐土(かいど)」解説ページ

Dsc01951 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、半世紀、
すなわち50年以上も昔の話。

何かの拍子に、
親父が真顔で言う。

「お前も、外へ出て行って
ええけんの。

誰も跡を継がんてええけん、
お前も好きなとこへ行ってええぞ」と。 

 この話の背景には、
以下のような事情が。

高校受験に失敗した跡継ぎの長男は、
地元の定時制高校に通っていた。

が、それも暫くのことで、
祖父との折り合いが芳しくなかった長男は
都会に出て行ったきりで音沙汰なし。

また、地元の高校を卒業した姉は
卒業と同時に上阪していた。

それ故にか、親父には、
祖父母を始め、周囲の人々から、
次のようなプレッシャーがかけられていた
(かもしれない)。

「跡継ぎをどうするんぞっ!?」

この時、そんなことは露ほども知らぬ私は、
「親父は何が言いたいんやろう?」
と考えることも、また話し合うことさえもなかったが…。

いま、ここで、考えるに、
ひょっとして、親父は私と話をしたかった?

それとも?
という話は、後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の一章、
里仁りじん第四 第11章を篤とくと、ご覧あれ~。

 最初に、訓読(読下し文)を。

わく、
君子くんしは徳とくを懐おもう、
小人しょうじんは土を懐おもう。
君子くんしは刑けいを懐おもう、
小人しょうじんは恵けいを懐おもう。

 次に、現代訳を。

孔子が言った(先生はおっしゃいました)。
「人の上に立つ者は、道徳を固く守り、安んじるが、
下の者は、今、ここの地に満足し安んじる。
人の上に立つ者は、法則を思うが、
下の者は、恩恵を思う」と。

 続いて、吉川博士の解説を。

・この条には二種の読み方がある。

・何にしても懐の字は、それをつねに
心に懐いだきつづける、それを懐なつかしむ、
それに懐やすんずる、という意味であるが、

・道徳者であり支配者である君子が、
なつかしみ安んずるのは、道徳、

それに対し、一般人である小人が、
なつかしみ安んずるものは、土地。

また君子が心がけるものは、
刑すなわち法則であるの対し、
小人の心がけるものは、恩恵であると、

二種の対比を説いたのであると、
古注も新注も、ひとしく説くが、

・徂徠は別説を立て、君子が、道徳を
心がければ、その結果として、

支配下の小人は土地に安住する。
つまりそれはよい政治である。

それに対し悪い政治では、
君子が刑罰を心がける。

そうすると、その結果として、支配下の
小人は、偶然の恩恵ばかりを心がける、

と、二句ずつ原因結果で
つらなっているとする。

つまり、君子徳とくを懐おもえば、
小人は土を懐おもい、

君子刑けいを懐おもえば、
小人は恵けいを懐おもう、というのが、

徂徠の説であるが、おそらく徂徠の説の
方が、すぐれるであろう。

・つまり為政篇(詳しくはこちら
「免而無恥」解説ページ)の、

「之れを道みちびくに政を以ってし、
之れを斉ととのうるに刑を以ってすれば、
民免れて恥じ無し。

之れを道みちびくに徳を以ってし、
之れを斉ととのうるに礼を以ってすれば、
恥じ有りて且つ格いたる」

と、似た言葉となる。

<後略>

 んっ?
吉川博士は
「刑すなわち法則」とおっしゃる。

じゃあ、刑=法則?

と思い、『角川新字源』にて
「刑」の意味を検索してみれば…。

【刑】ケイ 意味①のり。おきて。「典刑」

 おぉ~、
「のり」=「法。則。矩」にて、

「刑すなわち法則」でOK!
と、私は納得したが…。

また1つ、
私は賢くなってしまったぁ~(^.^)/~~~

というか、己の無知さ加減に気付いた。

 次に、
「この条には二種の読み方がある」
とおっしゃる吉川博士の解説に対して、

「ほんまかいな?」と思った私は、
『論語現代に生きる中国の知恵』 貝塚茂樹(著) 
講談社現代新書 を開いて見てみれば、
以下のような1節が。

<前略>

有徳の君主があれば、
生まれ故郷を去って、
いつでもそのもとに仕官する心がけを
もっていなければならない。

生まれ故郷に執着しているのは、
教育のない農民のことだから、
そんな気を捨てないとだめですぞ、
というのです。

これがこの問答の眼目で、
あとはつけたしにすぎません。

<後略>

 おっ、
だとすれば!

親父は、出稼ぎに行った先で、
生まれ育った土地と都会の、

生活や文化の違い、
否、乖離状態に気づいた。
それを身をもって知った?

だから、親父は私に、
「お前も、外へ出て行ってええけんの。」
と言った…?

と、腑に落ちたところで、タイトルの熟語を
角川新字源』にて検索してみた結果は以下の通り。

【懐土】かいど ①現在の住居に満足し安んじる。(論・里仁)「君子懐徳、小人懐土」

意味②は割愛

 では、あなたにお伺いします。

あなたは転勤命令を断り、
成長の機会を逃す懐土かいど派、

すなわち現在の土地に満足し、安んじる人?

それとも、転勤族の1人なのでしょうか。

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