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2018年4月 7日 (土)

「未能信(いまだしんずることあたわず)」解説ページ

Dsc02424_2 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、30年近くも昔の話。

当時勤めていた企業にて
主任のA君を係長に推挙した。

このサプライズに対して、
A君は次のように言う。

「係長になりたくありません!」と。

そして、その理由が!

という話は、
後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の一章、
公冶長こうやちょう第五 第6章を篤とくと、ご覧あれ~。

 最初に、訓読(読下し文)を。

膝雕開しっちょうかいをして仕つかえしむ。
こたえて曰わく、
れ斯れを之れ未まだ信しんずること能あたわず。
よろこぶ。

 次に、現代訳を。

先生は弟子の膝雕開しっちょうかいに仕官をすすめた。
弟子の膝雕開しっちょうかいが、答えて言うには、
「私はまだ役人になる自信がありません」。
これを聞いた先生は、お喜びになった。

 続いて、吉川博士の解説を。

・膝雕開しっちょうかいというのも、
弟子の一人である。

膝雕が姓で、開が名、
ただし本来の名は啓けいであったが、

啓の字が漢の景帝の実名であったため、
尊者の名を敬避するという風習から、

今の本は同じ意味の開の字に
書き改めたのだという。

・孔子は、この膝雕啓ないしは膝雕開に、
役人になれとすすめた。

すると弟子はこたえた。
私はその点では自信がありません。

孔子はそのこたえをうれしがった。

・自信とは自分の学問なり道徳に対する
自信であって、それらに対する自信がない
から、仕官などは、と見る説もあるが、

そうではなく、役人になることそれ自体に、
自信がない、と読んだ方がよいように、
私は思う。

公務員になりたい人は、いつの世にも
多いが、その責任の重さを思えば、

良心のある人は、躊躇の気もちをもつのが
当然である。

 んっ?
「未能信いまだしんずることあたわず」とは、

「自信がありません。」と、
吉川博士は訳しておられる。

また、「説」とは、
「うれしがる」ことだと。

 じゃあ、『角川新字源』には
どのように?

と、「未能信いまだしんずることあたわず」という語句を
検索してみた結果は…。

残念!
ヒットしない。

すなわち、この語句の記載に
遭遇できない。

ならば、「自信」とは?

と、同書にて検索してみた結果は以下の通り。

【自信】じしん 自分の価値・能力・正しさを
信じる。

 んっ、
だとすれば…。

「自分の価値(値打ち)や能力を、
私はまだ信じることが出来ません。」

と、膝雕開しっちょうかいは答えた?

という解釈でも良いのかなぁ…。

すなわち、「未能信いまだしんずることあたわず」とは、
「自信がない」ということではなくて、

「自分自身の能力を信じることが出来ない!」
という意味で、

とどのつまりが、「自信がない。」
という意味になるのかいなぁ…。

 次に、「説」とは、
「よろこぶ」ではなくて、
「うれしがる」という意味?

すなわち「説よろこぶ」=「うれしがる」で
いいのかなぁ…? と思いながら、

角川新字源』にて、付録の「同訓意義」を
見た結果は以下の通り。

よろこぶ

【説・悦】えつ 気に入って喜ぶ。
心に満足してうれしく思う。

したがって「悦服」というが「喜服」とは
いわない。
また、「喜事」というが、「悦事」とは
いわない。

 おっ、
「説」=「喜ぶ」=「うれしく思う」。

う~ん、
人はうれしく思うから、喜ぶのか?
それとも、喜ぶからうれしく思えるのか…。

そんな小難しい話はさておき、
冒頭の続きを。

 冒頭のA君は、昇格したくない理由について
次のような意味のことを。

「主任なら、主任手当てがついて、
残業代もつきます。

でも、係長になったら、
残業代がつきません。

ですから、係長になったら、
実質、給料が下がります。

なので、辞退します」と。

 おぉ~、
A君は「花より団子」!?

もし、この会話をオーナー社長が聞いたなら、
どんな反応を!?

ちなみに、この企業においては、
そのポストに必要な資格要件や
資質等についての明確な決まりがなかった。

それ故に、「この人が、この役職を?」と
首をかしげたくなるような人々が、
それぞれの地位や役職についていた。

その理由について、くだんのオーナー社長は
次のようなことを。

「資質や資格要件を備えた人間を上にあげるやり方と、
上に引き上げてから資質や資格要件を備えさせる、
という2つ方法がある」と。

 孔子は言う。
「夫の人ひとの子を賊そこのう」。

現代訳は次の通り。

「あの未熟な若者を、重要な地位につけるのは、
本人のためにならない」。

これに対して、弟子の子路は次のように答える

「その地位につけて、実践で育てるのです。
何も書物を読むことだけが学問ではありません」と。

これを聞いた孔子は次のように。

「是の故ゆえに夫の佞者ねいしゃを悪にくむ」、
「私は強弁をする人間がきらいなのだ!」と…。
くわしくはこちら 「民人と社稷」解説ページ

つまり、孔子に言わせれば、
くだんのオーナー社長は、

「強弁をする人間で、佞者ねいしゃだ」という
扱いになるのであるが…。

 ちなみに、「佞者ねいしゃ」という語句を
角川新字源』にて検索した結果は以下の通り。

【佞人】=【佞者】ねいしゃ 口の達者な人。
へつらい者。

 では、あなたにお伺いします。

あなたはどんな部下をお好みでしょうか。

・「わしがわしが」という自信家。

・「未能信いまだしんずることあたわず」という人、
すなわち「自信がありません」と答える部下。

 さ~て、
あなたはどちらのタイプがお好み?

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