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2018年5月20日 (日)

「不伐(ほこらず)」解説ページ

Dsc02744 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、二昔、
すなわち、20数年も前の話。

とある人(仮に、Aさんとすれば)、
Aさんは、その上司(新任の社長)を評して、
以下のように。

「あのオッサンは、
『誰某は、わしが引き上げってやった』とか、

『誰某には何をどうしてやった』、
『こうしてやった』という自慢話はするけど、

自分が誰かにしてもらったことについては
何も言わんし、そんな話はわしも聞いたことがない。

とにかく、自慢話ばかりするオッサンやから、
部下を始めとした周りの人々からは、
煙たがられているし、孤立しとる。

そんな人間なんよっ。
あのオッサンは!」

と、新任の社長をこき下ろす。

 で、私は答える。

「えっ、
そうなん!?

あの人は…」

という話の続きは、
後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 
朝日文庫からの引用を主に始まる、以下の一章、
雍也ようや第六 第15章を篤とくと、ご覧あれ~。

 最初に、訓読(読下し文)を。

わく、
孟子反もうしはんほこらず。
はしって殿でんたり。
まさに門もんに入らんとす。
の馬うまに策むちうって曰わく、
えて後おくるるに非あらざる也なり
うますすまざる也なり

 次に、現代訳を。

先生(孔子)は以下のようにおっしゃいました。
「孟子反もうしはんは手柄を誇らなかった。
彼は戦場から敗走するとき、殿しんがりをつとめた。
そして今しも、城門に入ろうとする時、
自分の馬に鞭を打って、次のようなことを。
『私は進んで殿しんがりを務めたのではありません。
ただ馬が走らなかったのです。』と言った」。

 続いて、吉川博士の解説を。

・孟子反もうしはんとは人名であって、
孔子と同時の魯の人。

・伐ほこるとは、自己の功績を誇ること
である。

・この条は、孟子反が、自己の功績を
誇らない、謙虚な人物であることを、
賞讃したのであって、

賞讃さるべき事実として述べるのは、
魯のくにが斉のくにと戦争をして
負けたとき、

奔而殿、奔とは敗れた魯の軍隊が
退却したことであるが、

そのときに孟子反は勇敢にも、
殿、しんがりをつとめた、

しかも謙虚な彼は、
「将まさに、門に入らんとして」、

門とは魯の国都である
曲阜きょくふの城門である。

見事にしんがりをつとめおえて、
今や城門に入ろうとするとき、

敢えて後おくるるに非ざるなり、
わたくしはわざわざあとへさがって、

しんがりをつとめようとしたわけでは
ありません。

ただ私の馬がわるくて、
早く進まなかっただけです。

そういって、馬を策むちでたたいて
見せた、というのである。

<後略>

 んっ?
吉川博士は、以下のようにおっしゃる。

・伐ほこるとは、自己の功績を誇ること。

・奔而殿、奔とは敗れた魯の軍隊が退却したことで、
 殿、しんがりをつとめた。

・策むちでたたいて。

 じゃあ、『角川新字源』にはどのように?
と、検索してみた結果は以下の通り。

・【伐】バツ 意味③ほこる。④てがら(功)。
 てがらを自慢する(ほこるの同訓意義)。
 
・【奔】ホン 意味①はしる。ウ.にげだす。
 やぶれる。「出奔」

 国を立ちのくのにも用いる。
 出奔。(はしるの同訓意義より)。

・【殿】デン 意味②しんがりア.退軍のとき、あとにふみとどまって追撃を防ぐ軍勢。

・【策】サク 意味①むち。馬を打つむち。「箠策すいさく

意味②むちうつ。〔論・雍也〕「策其馬、曰、非敢後也、馬不進也」

 あれっ?
この辞書によれば、

「其の馬うまに策むちうって、曰わく」
となっている。

すなわち、この辞書には
読点が1つ多い。

じゃあ、
他の参考書(市販の文庫本)にはどのように?
と、見てみれば…。

いずれの本(3冊の文庫本)全てに、
読点は見当たらない。

が、上記4つの語句(伐・奔・殿・策)の意味は
吉川博士の解説とほぼ一緒!

と、一安心したところで、
冒頭の続きを。

 Aさんは、新任の社長を評して
「今度の社長は自己中の人で、嫌われ者!」
と、暗に、言わんばかり。

で、私は次のように。

「あの人(新任の社長)は高卒ながら、
T社(一部上場企業)の支店長にまで
上り詰めた、という話を聞いたことがあるし、

60歳を過ぎてから、
自動車の運転免許証を取得した、
という話も聞いたんよ。

それで、今度の社長は努力の人で、
将に、『六十而六十化(60にして60化す)。』、

すなわち、いくつになっても、
チャレンジ精神が旺盛な人やから、

『あんた(Aさん)も、ええ上司に恵まれて
幸せな人やなぁ。遣り甲斐があるやろう。』と、
ワシは思うとったんやけどなぁ…。」と答える。

すると、即、Aさんは
次のように返す。

「そうはどっこい。
問屋が卸すもんか。

あのオッサンは、
好き・嫌いが激しいから、

うち(某社の現地支店)に来ても、
昼飯は〇〇(某高級料理店)を予約して、
そこにしか行かんのよ。

それと同じで、自分の言いなりになる
人間には優しいんやけど、

ちょっとでも、文句を言うたり、
自分に逆らう者には辛く・厳しくあたる
ヤバイおっさんなんやから。

そんなオッサンやから、今度の社長には
B(Aさんのライバル)は、受けがええんよ。

反対に、わしは煙たがられとるから、
いつまで続くか(いつ辞めるか)、分からんわい。」

と、Aさんは言い、
新任の社長を迎えた時点で、ふさぎこみ、
退職まで考えているようで…。

反対に、「わしが、わしが」と言い、
自慢話ばかりをするライバルのBさんは、
新任の社長を迎えて、ほくほく顔。

 では、あなたにお伺いします。

あなたのお好みは、謙虚な人、
それとも、手柄話の好きな人?

 さ~て、
どっち!?

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