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2018年9月30日 (日)

「成於楽(がくになる)」解説ページ

Dsc02464 画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、かれこれ30年程も昔の話。

とある日、上司のTさんが
私に次のようなことを。

「おまえ、『シュハリ』いう言葉を知っとるか」?

で、私は「知りませんけど…。」と答える。

すると、Tさんは以下のように続ける(おっしゃる)。

「シュは『守る』と書いて、ひたすら真似ることよ。
ハは『破る』で、その殻を破ること。
リは『離れる』で、自由の境地に達することよ」と。

Tさんの説明を聞いた瞬間、
私の頭の中には、『習』の一文字が。

すなわち、殻を破って出て来たひな鳥が、
巣の中で、親鳥の真似をして羽ばたき、
飛ぶ準備(練習)をする。

そしてひな鳥は、やがて巣を離れて
自由の境地へと旅立つ!

という何かの本で見た(どこかの誰かから聞いた)話、
すなわち成長のストーリが、
私の頭の片隅を過った。

でも、私はその事には一切触れず、
目を見開き、耳を傾けて、
聞き入る準備を整えた。

すると!

という話は、
後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 
朝日文庫からの引用を主に始まる以下の一章、
泰伯たいはく第八 第8章を篤とくと、ご覧あれ~。

 最初に、訓読(読下し文)を。

わく、
に興こり、
れいに立ち、
がくに成る。

 次に、現代訳を。

先生(孔子)がおっしゃいました。
(人間の教養は、)詩経によって萌芽し、
礼によって確立し、
音楽によって完成する。

 続いて、吉川博士の解説を。

・この条は、人間の教養の順序をいう。

・道徳的興奮の出発点となるのは、
「詩経」である。

何となればそれは、正しい感情の
高揚であるから。

・つぎに教養の骨格を定立するのは、
礼を学ぶことである。

何となればそれは、人間の秩序の
法則であるから。

・最後に、教養の完成は、
音楽を学ぶことにある。

何となればそれは、
感情を法則によって整理し、
人間性の包括的な表現であるから。

 う~ん、
・詩は正しい感情の高揚であるから
道徳的興奮の出発点になる。

・礼は人間の秩序の法則であるから
教養の骨格を定立する。

ここまでの解説は
浅学菲才の身にも理解できる。

ただし、「定立」という語句の解釈については
少々、頭を悩ませるが…。

でも、最後の「楽」についての解説には
何かが欠落している感じがして、
私の腑に落ちない。

そこで、上記の「詩」と「礼」の表現方法に倣い、
「楽」についても、吉川博士の解説を以下のように
置き換えてみたところ…。

「楽は、感情を法則によって整理し、
人間性の包括的な表現であるから、
教養の完成になる」?

う~ん、
やっぱり、何か言葉が欠落している?
と感じた(思った・考えた)私は、

角川新字源』を開いてみる。
すると、次のような語句が。

【礼楽】れいがく 礼儀と音楽。
中国では古くから、
礼は社会の秩序を整え、

楽は人の心を和らげるものとして、
政治上特に重視された。

〔孝経〕「移風易俗、莫於楽
上治民、莫於礼

 んっ、
ならば、「楽」については、
この辞書の意味を参考に

以下のように言い換えてみれば(解釈し直せば)、
私にも納得できる。

「楽は、感情を法則によって整理し、
人の心を和らげるものであるから、
教養の完成になる」?

う~ん、
これでは何か物足りなさそうで…。

以下のような加筆・訂正が
必要かも!?

「楽は、感情を法則によって整理し、
ととのえたもので(あり)、
人間性の包括的な表現であるから、
教養の完成になる」。

これ(上記)を平たく言えば、
次のような解釈になる。

「音楽は人間の感情を整理・整頓して、
複雑な人間性を1つにまとめあげ、
表現したものであるから
教養の完成になる。」

おぉ~、
これなら、OK!!!

と、一人合点したものの、
果たして、このような解釈で
いいのであろうか…?

 そこで、困った時の
『論語新釈』頼み。

つまり、宇野哲人博士はどのように?

と、『論語新釈』を開いて見れば、
以下のような「語釈」と「解説」が。

語釈] 〇興おこる=善を好み悪を悪にくむ心が起ること。

〇立つ=善を行い悪を去る心が
堅く定まって動かないこと。

〇成る=完成されることで、
力を用いないでも行うことが
自然に善に合するようになるのである。

解説」 <「詩」と「礼」に関する解説は
転載を割愛>

がくは人の性情を養ってその穢けがれを
去り、滓かすを除いて純熟じゅんじゅくさせる
ものであるから、

学者が楽を学ぶならば、
純粋至善の地位に到達して
楽が大成するのである。

古人の学問には詩れいがくがあるけれども、これを学ぶのには次第があって、

まず善を好む心の起るのは
詩の力により、

次に善を行う心を定めるのは
礼の力により、

最後に楽の力によって自然に
至善の地位に達するようになるのである。

 あれっ、
「詩れいがく」の「学」は
「楽がく」の誤植かいなぁ…?

などいう枝葉末節的な
話はさておき、

宇野博士の[解説]によれば、
『成於楽(楽に成る』についての解釈は
次のようになる。

「楽の力によって自然に
至善の地位に達する」

すなわち、「成於楽(楽がくに成る)」とは、
「道徳上の最高の理想境地に到達すること」!

と、腑に落ちたところで
冒頭の続きを。

 さて、私の聴きたい意思、態度を
見て取った上司のTさんは、次のように続ける。

「バイヤーであれ、何であれ、そうやけど、
一人前になろうと思うたら、それとつい(同じ)よ。

まず、模範となる人(モデル)を見つけて、
只管ひたすらその人の真似をする。

それから次に、その人の上に出る!
その人より上を目指して努力を重ねることよ。

そして最後に、その人(モデル)から離れて、
自分の独自性や特性を発揮する。

そうしてそれが、飾らず、気張らず、
自然にできる人で、傍から見ていても、

『格好いい。真似したい。師事したい。』と
思われる人になるちゅうことやけどな、

どや、
おまえには、そうなる自信があるか?」

と、Tさんは私に尋ねた後で、
次のように。

「平たく言えばやな、

日本一に成らんでもええけどやな、
業界一を目標に、努力を重ねて、
成果を上げることよっ。

そのために必要なものが何か!?
それをお前、よぉー、考えてみぃーや。」

と、上司のTさんは言い、
いつものパターンで
話を結んだのであったが…。

 「詩礼楽は、人間の教養の順序だ」
とおっしゃる吉川博士の解説から

私はかつての上司、Tさんからお聞きした
人間の成長の順序、「守破離」という言葉を
思い出したのであるが…。

 では、あなたにお伺いします。

人間の成長の順序や過程、サイクルを表現する
言葉として、あなたが最もお気に入りの一言は?

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