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2019年2月 3日 (日)

「席不正、不坐(せきただしからざれば、ざせず)」解説ページ

Photo  画像は「席」についてのイメージで、
角川新字源』からの転載です。

 さて、かれこれ30年近くも
昔の話。

当時、私が勤めていた企業では、
新社屋に移転したのを記念して
「社員一同が揃った写真を撮ろう」と。

当時の私は、出しゃばりや晴れがましいこと
に関しては、あまり好きでも得意でもなかった。

で、撮影のために、整列したとき、
私は一般社員と一緒に後方に立っていた。

すると、オーナー社長のTさんが、
私の顔を見て次のように!

という話の続きは
後段のお楽しみ。

 先ずは、『論語』 吉川幸次郎(著) 中国古典選3 
朝日文庫からの引用を主に始まる以下の一章、
郷党きょうとう第十 第11章を篤とくと、ご覧あれ~。

 最初に、訓読(読下し文)を。

せきただしからざれば、
せず。.

 次に、現代訳を。

孔子は席(敷物)が曲がっていたときは、
その敷物を正し(直し)てから坐った。

 続いて、吉川博士の解説を。

・いまの中国人は椅子を用いているけれども、
これは唐ごろからおこった風習であって、

 それまではいまの日本人のように、
坐っていた。

 孔子のころも、無論そうであった。

 ただし、いまの日本と違うところは、
いまの日本では、床
ゆかいたの上に、
すっかりたたみが敷きつめてあるが、

 古代の中国では、
坐る場所だけに、たたみがおかれ、
坐る場所がうつるのに応じて移動した。

 それがすなわち「席」である。

 つまりわれわれの生活では、
座ぶとんの役目をする。

 席の材料は草であることが多いが、
竹のたたみもあった。

 <中略>

 ・さてところで「席正しからざれば坐せず」とは、
たたみの位置が、きちんとした方向に向いて
いなければ、坐らない、という風にも読め、

 しからば孔子は、非常な潔癖家であって、
座ぶとんがひんまがっていると、
腹を立てて、ぷいと横を向いた、

 という風に読まれがちであるが、
そうではなく、坐る前には、たたみの位置を
きちんとするのが、当時の礼儀であったため、

 きっと、きちんと向きを直してから坐った。
そうしないうちは坐らなかったことだと、
劉宝楠は説く。

 劉宝楠の説は、恐らく正しいであろう。

 したがってこの条は、
「席正しからざれば坐せず」というのが、

 伝統的な日本の読み方であるけれども、
「席は正さざれば坐せず」と読むほうが、
より適当であろう。

 んっ、
吉川博士の解説には、

「席」とは、「たたみ」であり、
「座ぶとん」であると。

じゃあ、『角川新字源』にはどのように?
と検索してみた結果が、冒頭の画像であり、

そこには、「むしろ」「ござ」「しきもの」
という語句はあっても、
「たたみ」「座ぶとん」という文字はない。

 そこで、さてどうしたものか?
と悩んだ挙句に開いて見たのが…。

Photo_2講談社学術文庫の
『論語新釈』(宇野哲人博士)で、
左図はこの一条の写し。

 あれっ、
「席」については、冒頭に掲載した
角川新字源』の「席」の図と同じ!?

で、同書によれば、「席は敷物である」
という「語釈」とともに、

「不正とは席が動いたり曲がったりしているのをいう」
との「語釈」も。

 ちなみに、岩波文庫の『論語』(金谷 治 訳注)に
記載されている現代訳は以下の通り。

坐席がきちんとしていなければ坐らない。
[必ず整えてから坐られる。]

 んっ、
坐席?

坐席となれば、敷物ではなく、
読んで字のごとく、坐る席のことになるが…。

ここにも、「席」=「たたみ」、「座ぶとん」の
字句は見当たらない。

なれど、[必ず整えてから坐られる。]という
表現のみを拝借すれば、

冒頭に紹介したT社長の
お心・お考えと一緒!?

で、これ幸いと、「席」についての白黒はつけず、
冒頭の続きへと、エスケープ(Escape)、
すなわち退散、逃げることに…。

 さて、冒頭の続き。

T社長は私に向かって
以下のようなことを。

「何でお前が、そんな所に居るんぞ!?
こっちへ来んかや。」

といいながら、最前列の椅子席へと
私を誘う。

ちなみに、私はその最前列の「椅子席」が

曲がっていたからとか、
椅子がガタガタと動き、坐り難かったとか、
社長と一緒の列に並んで座るのが嫌だった!

などという訳でも何でもなく。
ただ単に、お尻がこそばゆい、

すなわち、照れくさい、恥ずかしい。
そんな気持ちだけのことではあったが、

T社長はそんな些細なことでも、
「必ず、整えてから坐られる」。

すなわち、曲がった(間違った)ことを
正してから、坐られる方であった…。

 では、あなたにお伺いします。

あなたは席、すなわち座布団や敷物、
あるいは椅子席が曲がっていた場合には
必ず、正(直)してから坐られます?

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