リンク集

« 大賚(おおいなるたまもの) | トップページ | 帰心(きしん) »

2023年10月 8日 (日)

「帰心(きしん)」解説ページ

1308124_20231008134601  画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、30年近くも
昔の話。

Aさんが、私に次のようなことを。

「社長とアンタがキャッチボールしながら、
うちの決算書をつくるんやから、わしはええんよ。」と、
言いながら、暗に、不満の矛先を私に向ける。

で、私は以下のように答える。

「えっ?
わしが、〇〇(子会社名)の決算書を!?

わしは〇〇(子会社名)の決算書を見たことがないんで、
何がどうなっとるのか知らんし、
それに、〇〇(子会社名)の決算書は、
社長とB子(経理の担当者)が、作りよるんやろ?」と応えた。

すると、Aさんは!
という話の続きは、後段にて。

 先ずは、『論語(吉川幸次郎 中国古典選5 朝日文庫)の中から
抽出した「堯曰ぎょうえつ第二十 第1章」の第5段をご覧に。

 最初に、読み下し文を。

権量けんりょうを謹つつしみ、
法度ほうどを審つまびらかにし、
すたれたる官かんを修おさむれば、
四方しほうの政まつりごとおこなわる。
ほろびたる国くにを興おこし、
えたる世を継ぎ、
逸民いつみんを挙ぐれば、
天下てんかの民たみこころを帰す。
たみに重おもんずる所ところは、食しょく、喪そう、祭さい
かんなれば則すなわち衆しゅうを得
しんなれば則すなわち民たみにんず。
びんなれば則すなわち功こうり。
こうなれば則すなわち説よろこぶ。

 次に、現代訳を。   

はかりとますめを念入りに正して統一する、
法律や制度を明らかにして、
廃止した役所を整え正して復興すれば、
四方の国々の政治は正しく行われる。
滅亡した国くにを復興し、
子孫が絶えて、あとつぎのない家を継承・復興し、
世を逃れ隠れている人を挙用すれば、
天下の人々は、警戒心を持たずに近づき従う。
重視するのは、人民の食、喪、祭である。
寛容であれば、多くの人々の心を得
まことがあれば、人民は委任する。
機敏であれば、功績が大きい。
私心がなければ、喜ばれる。

 続いて、吉川博士の解説を。

・以上を、皇侃、邢昺、劉宝楠の説により、第五段とする。
かれらの説によれば、堯舜の「二帝」、
夏殷周の三王朝を創業した
「三王」が、共通して行った政治の
要諦だというのである。

ただし新注は、前半を前につづけ、周の武王の事蹟とする。
「尚書」の偽「武成」篇に、「絶世を継ぎ、逸民を挙げた」事実が
あるからである。

その点、朱子の偽「古文尚書」に対する態度は、
不徹底であった。

そうして最後の「寛則得衆」等の四句、
これを諸聖王に共通のもので
あるかも知れぬ、とする。

・「権」ははかり、「量」はますめ。まずそれを謹厳に統一する。
過去の中国では、政府の収入は大きな権量、
支出は小さな権量によることがあったが、そうあってはならぬ。

・「法度」は法律規制の意であろう。それに念を入れる。

・また必要な役所で廃止されたものを修正復興する。
そうすれば、四方に対する政治が浸透する。

・「滅びた国を興し」とは、第一次大戦にポーランドが、
第二次大戦に
イスラエルが、列国の協力によって
復興したような事態をいう。

・「絶えたる世を継ぎ」、当然世襲さるべき家で
絶滅していたのを、
再び継承復興する。

・「逸民」とは、環境の不良のために社会から逸はじき出されて
いた個人、語は微子第十八にも見えた。それを抜擢する。
そうすれば、世界中の人間が、心を帰服させる。

・次の「所重民食喪祭」については、
古注、新注で読み方がちがう。

さきの訓読は、しばらく朱子により、
「民に重んずる所は、
しょく、喪そう、祭さい」としたが、

古注の孔安国は、「民」の字を下につけて、
重視する所のものは四つ、民、食、喪、祭、とする。

その理由として、「民を重んずるは国の本なれば也、
食を重んずるは
民の命なれば也。
喪を重んずるは哀を尽くす所以ゆえん也。
祭を重んずるは
国の敬を致す所以ゆえん也」。

ここでも「論語」の孔安国注と、偽「古文尚書」の本文
及びその孔安国伝との
間には、分裂があるのであって、
偽「古文尚書」「武成」篇の本文は、
「重民五教、惟食喪祭」であり、朱子の説をみちびくのに
都合がよい。

・そのあと、諸注とも二帝三王共通のこととする四句、
寛は寛容、信は誠実、任は信頼委任、敏は細心、功は業績、
公は公平、
説は喜悦であるが、通行本と、日本の写本本との
間には、甚だ異同がある。

日本の本は「信則民任焉」の全句がなく、
最後の「公則説」の「説」の上に
「民」の字があるものが、
往往である。

中国の本も、最も古いテキストである「漢石経」の断片には、
「信則民任焉」に一句がない。

<以下割愛>

 吉川博士は以下のようにおっしゃる。

・「権」ははかり、「量」はますめ。
・「法度」は法律規制の意
・「絶えたる世」=当然世襲さるべき家で絶滅していた(家)
・「逸民」とは、社会から逸はじき出されていた個人。
・「心を帰す」=心を帰服(つき従え)させる

じゃあ、
角川新字源』にはどのように?
と思い、検索してみた結果は以下の通り。

【権量】けんりょう はかりと、ます。

【法度】ほうど ①のり。規則。法律や制度。
〔書・大禹簿謨〕「罔法度

【絶世】ぜっせい ①子孫が絶えて、あとつぎのない家。
〔論・堯曰〕

【逸民】いつみん 世をのがれてかくれている人。
隠逸。〔論・微子〕。同義語:佚民いつみん。軼民いつみん

【帰心】きしん ②心を寄せる。なつき従う。
〔論・堯曰〕「天下之民帰心焉」

吉川博士の解説(解釈)と、この字書に記載の意味との間に、
「異同は無し!」と私は判断したものの、
この字書では、「廃官」と「滅国」、及び、その他の語句や
熟語・成句の類を確認することができなかった。

 さて、冒頭の続き。

私はAさんの問いに対して、「〇〇(子会社名)の決算書に
私は、関与していないよ.」と答えれば、Aさんは次のように。

「社長が『アンタに訊け。
アンタと相談して、どうするか決めよ』と
言うんやけど、何も聞いてない?」と尋ねる。

で、私は次のように。

「なんも。
わしは、何も聞いてないよ」と答えたのであるが…。 

Aさんは、私が「権量」、すなわち「秤はかり」と「升目ますめ」を
縦横無尽に操作して、子会社の業績を粉飾しているかのように言う。

その子会社の責任者は、Aさんであるにも拘らず、
私とオーナー社長が、Aさんの存在を無視して、
勝手に、数字を弄いじり回しているかのようにおっしゃる。

しかし、Aさんも私も、オーナー社長の指示に従っている
ただ、それだけの話であり、

「天下の民たみ心を帰す」ならぬ、
Aさんも私も、オーナー社長に「心を帰す」、

すなわち、オーナー社長に「帰心きしん」した
2人の従業員兼務役員がオーナー社長の指示に、
従順に従っているだけなのに…。

Aさんは、その従順さの程度の優劣?
否、善管注意義務を怠っている度合いの軽重を
非難していたのであろうか?

今は、黄泉の国に旅立ったAさんに尋ねる由も
伝手もない吾身ではあるが…。

 では、あなたにお伺いします。

あなたは、誰に「帰心きしん」、すなわち「心を帰服きふくさせる」、
つまり、「つき従って」いらしゃいます?

« 大賚(おおいなるたまもの) | トップページ | 帰心(きしん) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 大賚(おおいなるたまもの) | トップページ | 帰心(きしん) »

2024年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック

無料ブログはココログ