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2023年12月31日 (日)

「離析(りせき)」解説ページ

1606134  画像は秋田の友人からの
プレゼントです。

 さて、先々週の話。
友人のAさんから以下のような電話が。

「何しよるん?
18番(某ゴルフ練習場の打席)が空いとるぜぇー。
早よう来にゃあー」と。

で、私は以下のように応える。

「おっ、久しぶり!
いつもんたん?
元気やった?

今、飯食うて、コーヒー飲もうと
思いよったとこよ。

実は、あんたが居らん間にな、『わしが見ちゃるけん、
〇〇(某ゴルフ練習場名)に来い!』いう人がおってな、
今、わしは〇〇(某ゴルフ練習場名)に行きよるんよ」と。

「ほうかな。
〇〇(某ゴルフ練習場名)いうたらどこなん。
何処に在るん?」と、Aさんが尋ねる。

で、私は、〇〇(某ゴルフ練習場名)の所在地を伝えた後、
次のように、続けた。

「そうよ。今、思い出したわい。
あんたの賞金¥○000―預かとったんよ。
今から、行くけん待っとてや」と。

するとAさんは、「今からやったら、10時半ぐらいやな?」
と尋ねるので、私は、「そうやなぁー。」と答えて
自宅を後にした。

 そして!
という話の続きは、後段にて。

先ずは、『論語(吉川幸次郎 中国古典選5 朝日文庫)の中から
抽出した「先進せんしん第十六 第1章」(の後半部分)をご覧に。

 最初に、読み下し文を。

冉有ぜんゆうわく、
いまの顓臾せんゆは、固かたくして費に近ちかし。
いまらざれば、後世こうせいかならず子孫しそん
うれいを為さん。
孔子こうしわく、
きゅう、君子くんしは夫の之れを欲ほっす曰うを舍きて、
しかも必かならず之れが辞を為すを疾にくむ。
きゅうや聞く、国くにを有たもち家いえを有たもつ者ものは、
すくなきことを患うれえずして、均ひとしからざるを患うりょう。
まずしきをう患うれえずして、安やすからざるを患うりょう。
けだし、均ひとしければ貧まずしきこと無く、やわらげば
すくなきこと無く、安やすければ傾かたむくこと無し。

れ是くの如ごとくなるが故ゆえに、
遠人えんじんふくさざれば、則すなわち文徳ぶんとくを脩おさめて
って之れを来たす。

すでに之れを来たせば則すなわち之れを安やすんず。
いま、由ゆうと求きゅうや、夫子ふうしを相たすけ、遠人えんじん
ふくせずして、而しかも来たすこと能あたわざる也なり

くに分崩離析ぶんぽうりせきして、而しかも守まもること
あたわざる也なり

しこうして干戈かんかを邦内ほうないに動うごかさんことを
はかる。

れ季孫きそんの憂うれいは、顓臾せんゆに在らずして、
蕭牆しょうしょうの内うちに在るを恐おそるる也なり

 次に、現代訳を。   

冉有ぜんゆうが次のような言い訳を。
「今、顓臾せんゆは、堅固な要害で、(季氏の領地)費に近いのです。
今、取らなければ、後世、必かならず子孫の憂いとなるでしょう。」
孔子は以下のように言った。
「求よ、君子は之これが欲しいというのを棚上げして、
しかも必ず、その言い訳をするのを嫌う。
私、丘きゅうは次のようなことを聞いている。
『国を治め、家を治める者は、
少ないことを心配しないで、等しくないことを心配する。
貧乏であることを心配しないで、平和でないことを心配する。』
思うに、等しければ、貧しきことも無く、
平和であれば少なきこともなく、平穏であれば危険も無い。
それ故に、遠方の人が悦服しなければ、
文教や学問による徳を修めて遠方の人を呼び寄せる。
既に遠方の人々が来れば、その人々を安心させる。
今、子路と冉求は、季氏を補佐していながら、
遠方の人々が悦服せず、しかも招き寄せることもできない。
魯の国がちりぢりばらばらになっているのに、
しかも守ることもできない。
その上、戦争を国内に起こそうと画策している。
私は、季孫きそんの憂いは、顓臾せんゆにあるのではなく、
季孫の門内(塀の内側)にあるのを恐おそれる」。

 続いて、吉川博士の解説を一部割愛してお送りすることに。

・冉有はさらに弁解していった。
しかし先生、現在あの顓臾城は堅固な要害で、
しかも季氏の領地である費ひの城と接近しています。

いま取っておかなければ、将来きっと子や孫の代の
心配になりましょう。

・孔子。求よ、実際はのどから手が出そうなのに、
欲しいと口に出していうのをよして、何でもかんでも強引に
言葉をかざる人間を、君子は憎悪する。お前はそれだ。

・君子疾夫舍之、而必爲之辭一 くんしはかの
これをほっすというをおきて、しかもかならずこれがじをなすをにくむ
とつづけて呼んだのは、新注による。

古注は、君子疾夫の下に注がはさまれ、
したがって古注系統の和訓も、それだけを一句として、
君子疾 くんしはかれをにくむと訓ずる。

・孔子はさらにいった。わたしは聞いている。
国を有たもち、とは諸侯。
家を有たもち、とは大夫、
すなわち家老。つまりともに領土の所有者であるが、

それらの人人の心配は、人口の過少が心配でなく、
不平均を心配とし、
貧乏を心配せずして、不安を心配する。
そう私は聞いている。

なぜそうなのかといえば、平均であれば貧乏はなく、
平和であれば寡少はなく、
平安であれば危険な
傾斜はない。

<中略>

だからこそ、遠方の人間が慕いなびかぬときは、
文化的な徳をおさめて、
それを招き寄せ、
すでに招き寄せ得たならば、それらを安定させる。

しかるにいま、お前たち由ゆうと求きゅうとは、
ご主人の補佐者でありながら、
服従しない遠くの人を
招き寄せ得ず、国家が分裂崩壊してばらばらになろうと
するのに、もちこたえられない。

そうして国家の中で兵力を動かすことを考えている。
君たちは顓臾が子孫のうれいになるだとうというけれども、
わしは心配する、

季孫の家の憂い、心配は、顓臾などにあるのではなく、
すぐ目の前の衝立ての
中で起こるだろう。

・「蕭牆」とは、門の中に目かくしとしてある衝立ての
へいであって、
いえの中のごく近い場所をいう。

<後略>

 吉川博士は、「分崩離析ぶんぽうりせき」とは、
「分裂崩壊してばらばらになる」ことだとおっしゃる。

じゃあ、
角川新字源(小川環樹・西田太一郎・赤塚 忠 編)には
どのように? と思い、この一章の「分崩離析」他、
後半部分の語句を検索してみた結果は以下の通り。
 
・【文徳】ぶんとく 礼楽(礼節と音楽)によって
人々を心服させる徳。
文教や学問による徳。
〔論・季氏〕「修文徳以来之」

・【分崩離析】ぶんぽうりせき 人民の心が君主からはなれ、
ちりぢりばらばらになる。〔論・季氏〕

・【干戈】かんか ①たてとほこ。②武器の総称。③戦争

・【蕭牆之憂】しょうしょうのうれい 内から起こる心配ごと。
家族・身内などのうちわもめ、内乱など。

蕭牆は門の内側に、ついたてのように立ててある土べい。
転じて門内。家庭内。〔論・季氏〕

 これらの熟語や語句は、ほぼ、吉川博士の解説通りにて
別に目くじらを立てて詮索する必要はなしと私は判断したものの、

「君子疾夫舍之、而必為之辞一 くんしはかのこれをほっすと
いうをおきて、しかもかならずこれがじをなす
」という成句を知りたい思いで、
角川新字源』を検索したものの、同字書には記載がその記載が
見当たらない。

そこで、『論語新釈(宇野哲人 講談社学術文庫)の[語釈]を見れば、
以下のような掲載が。

○之これを欲ほっす=その利を貪むさぼるのである。
○之これが辞を為す=辞ことばを飾って弁解するので
ある。

以上のように、2つの[語釈]に分かれていたので、
宇野博士の「通釈」を見れば次のような記述が。

君子は己の心中に利を貪むさぼっていながらこれを舍いて言わないで、別に辞ことばを飾って人を欺あざむく者を
深く悪にくむのである。

さらに、『論語(金谷 治訳注 岩波文庫)の現代訳を見た
結果は、次の通り。

〔欲ほしいくせに〕それを欲しいとははっきりいわないで
おいて、
何とかそのいいわけをするというようなことを、
君子くんしは憎む。

ちなみに、吉川博士は以下のように。

実際はのどから手が出そうなのに、欲しいと口に出していうのをよして、何でもかんでも強引に言葉をかざる人間を、
君子は憎悪する。

なるほど!
三者三様の言い回しであっても、意味は同じ。

 そこで、「分崩離析」という四字熟語を2つに分けてみては?
と思い、『角川新字源』にて、検索してみた結果は以下の通り。

【離析】りせき はなればなれになる。ばらばらになる。
〔論・季氏〕「邦分崩離析」

おっ、
「はなればなれ・ばらばらになる」!

 そっかぁ。
ゴルフの練習場が、離れ離れになれば、
心も離れ離れになる?

同じ練習場で、一緒に練習していたときは、
離れ離れにも、ばらばらになったような気もしなかったが、
練習場が、離れ離れになれば、気持ちも離れ離れになる。

でも、Aさんの呼び出しに応じ、打席を前後にして練習しながら、
他愛もない会話を交わしていれば、

一心同体とまではいわないまでも、
心が通じ合えているような気持ちに私はなった。

言葉を換えれば、離れ離れにも、
ばらばらになったようにも、私は感じなかったが…。

 では、あなたにお伺いします。

あなたは、どんな状態になったとき、「離析りせき」、
すなわち、「はなればなれになる。ばらばらになる」という
思いや気持ちを感じましたか?

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